ジョン・スタインベック 「ハツカネズミと人間」

ノーベル文学賞受賞作家ジョン・スタインベック。
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からだも知恵も対照的な
のっぽのレニーとちびのジョージ。
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渡り鳥のような二人の労働者のささやかな夢。
カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、
たくましい生命力、
そして苛酷な現実と悲劇・・・
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久しぶりの外国作家作品を読みました。
大浦暁生氏の翻訳が素晴らしいと思いました。
風景描写・人物描写が秀逸で読みやすかったです。
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知能が遅れている大男のレニー
そのレニーを邪魔に思いながらも
常に守り寄り添うジョージ。
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生き物に対して執着するレニー。
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しかし生き物への愛情の注ぎ方が異常で
自分でも分からない可愛がり方をする。
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気づけばネズミも子犬も死んでいた・・・
いや、レニーが無意識に殺してしまった・・・
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自分に対しても人や動物に対しても
レニーは普通の感情や行動を起こせない・・・
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レニーにとってジョージがぎりぎり人として
暮らしていける砦だった・・・
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ジョージはレニーを可哀想がるのではなく、
自分にとってもかけがえのない相棒である。
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農場から農場へ過酷な重労働の日雇い仕事で
日々を凌いでいる二人にも夢がある。
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自分達の土地を買い、動物を飼って、
雇われるのではなく
自由に楽しく暮らす人生・・・
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その夢は現実となる事はなかった・・・
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夢を語り合う二人の活き活きとした描写が美しいです。
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ある日レニーが事件を起こしてしまう・・・
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誰かではなくジョージ自身がレニーと向き合う・・・
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最後に悲しい結末がありますが、
それよりも周りの人物たちの冷ややかな眼差しに
残酷で悲しくなりました・・・
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不思議と安らかな読後感でした・・・
いつもありがとうございます

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