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伊吹 有喜 「なでし子物語」

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いじめに遭っている少女・耀子、
居所のない思いを抱え過去の思い出の中にだけ生きている未亡人・照子、
生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しむ少年・立海。
三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かし始める。(あらすじより)

・・・・・・・・・・・・・・

かわいい表紙のカバーをはずすと、

本自体にも切り絵のような装丁があります。

・・・・・・・・・・・・・・

なかなかハードな物語でした。

いじめられている「耀子(ようこ)ちゃん」。

体の弱いお金持ちの「立海(ちゅうかい)くん」。

自己再生と成長を誓う物語。

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決してハッピーエンドではないと思います。

これからも続く「いじめ」に対して

「耀子ちゃん」自身が顔をあげ、

美しく生きて行こうと誓う姿で続きます。

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小さい男の子「立海くん」との

短い期間の触れ合いは

一生二人にとって強く生きる支えになります。

・・・・・・・・・・・

父親が亡くなり、

だらしのない母親から見捨てられ、

ひとりぽっちで暮らしていた耀子ちゃん・・・

これだけでもありえない程泣けちゃうんですよ・・・

お風呂の焚き方でミスってボヤを出し、

やっと幼い女の子一人で暮らしていたと発覚。

それからは親戚に預けられるも

養育放棄され祖父が暮らす田舎に連れて行かれます。

・・・・・・・・・・・・・

結構長い物語の中で印象に残った所は、

祖父が学校でいじめられている耀子ちゃんの事を

先生に話す場面。

身近な親でもここまで子供の心情で

言葉に出来るかなぁと思うほど

祖父の耀子ちゃんを守る姿が感動しました。

・・・・・・・・・・・・・

そんな中、いつもいじめられていたと思っていた

同級生の男子が実は耀子ちゃんを

助けようとしていた事から仲良しになり

クリスマス会に立海くんと二人で招待されます。

その時に、いつもすり切れたみすぼらしい服の

耀子ちゃんの為に服や靴全て買いそろえた祖父。

プレゼントの袋を開ける所から

驚きと感激の耀子ちゃんのシーンがとても素敵です。

耀子ちゃんの喜びの描写が静かでありながらも

読み手に実際手に取るように伝わりました。

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大人の事情で振り回される幼い二人。

しかし、それだからこそ守ってくれる大人たちもいます。

そしていじめられるだけではない

毅然とした態度で学校に通う耀子ちゃんの姿が

あふれんばかりの希望と幸運を感じました。







いつもありがとうございます
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伊吹 有喜  「今はちょっと、ついてないでけ」

無題

バブル期に活躍した元カメラマンの浩樹。

バブル崩壊と共に転落。

保証人になったばかりに

事務所社長の負債を全部背負い込み、

田舎に帰って、朝から晩まで色々な仕事をしながら

返済に明け暮れます。

15年かけて借金を完済する浩樹。

ここからが彼の敗者復活物語となります。

浩樹と同じように

世間や会社からリストラなどで転落する登場人物が、

浩樹とのさりげない触れ合いの縁によって仲間となり、

再起をかけ出発する!

という所で物語が終わります。

転落したと言っても

誰一人自堕落な人はいません。

皆んな一生懸命真面目に働き

社会へ尽くした人ばかり。

ほんの少し世間との歯車がずれただけで

「負け組」となってしまいました。

一人一人は技術も社会性もレベルが高いのですが、

人生には時々「ついてない」時期が来てしまうものです。

再起をかけるべく積極的に動くのは

浩樹ではなく周りの人達でした。

浩樹はもう少し時が遅かったら

奮起もせず再起など考えもしなかったでしょう。

背が高くイケメンの浩樹の設定なので

40代の阿部寛をイメージしました。

題名の「ついてないだけ」と言う言い方を

「い抜き言葉」で使用しているのが

最近の作家さんらしいなぁと思いました(^^)

伊吹さん今年50歳だけど(^^)



いつもありがとうございます

伊吹 有喜 「四十九日のレシピ」

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妻の乙美を亡くし気力を失ってしまった良平のもとへ、
娘の百合子もまた傷心を抱え出戻ってきた。
そこにやってきたのは、
真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。
乙美の教え子だったという彼女は、
乙美が作っていた、
ある「レシピ」の存在を伝えにきたのだった。

・・・・・・・・・・・・
「失って初めて気が付いた。
望んだ花はなくとも、
別の美しい花がいつも咲いていたことに。
差し出された愛情を当たり前のように受け取り、
ないがしろにしていたことに。
怒りより強く後悔ばかりがわきあがり、
思いはつのる。」

・・・・・・・・・・・・
「私ね、思い出した。
レシピってお父さん、
処方箋って意味もあったね。
四十九日のレシピ。
乙母(おっかぁ)さんが私たちが
立ち直れるように残してくれた、
四十九日の暮らしの処方箋(レシピ)」

・・・・・・・・・・・
読み進めるうちにあるページから

しみじみとホロっとして行きます。

親が子を想う・・・

妻が夫を想う・・・

亡くなった後も想いつづける妻であり母である乙美へ

感謝の気持ちが溢れるせつなくも美しい物語です。



いつもありがとうございます

伊吹 有喜 「風待ちのひと」

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心の風邪”で休職中の男と、

家族を失った傷を抱える女。

海辺の町で偶然出会った同い年のふたりは、

39歳の夏を共に過ごすことに。


・・・・・・・・・・・・

大人の恋愛小説なんですが

ドロドロした描写は皆無。

お疲れの心を癒す女性の存在が光っています。

「人間には四つの季節があるんだって。
青春、朱夏、白秋、玄冬。
十代が青春。
二十代が朱夏。
四十、五十が白秋で、
それからが玄冬」



いつもありがとうございます
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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