吉村 昭 「破船」

いや~・・・これは凄い小説を読んでしまった・・・
あまりに過酷で凄惨で悲しい物語です。
フィクションではありますが、
あまりにもリアリティがあって吉村昭さんの
筆力の偉大さを実感しました。
・・・・・・・・・・・・・
生きて行く為に村一丸となって
難破した船から食物他板切れ一枚全てを
奪う風習がある貧しい漁村・・・
・・・・・・・・・・・
穀物がほとんど採れず
漁獲も惨めな程少ない・・・
塩を作り隣村へ売りに行く。
隣村まで3日もかかる道程を
肩から血が滲む程の重い塩を運ぶ。
・・・・・・・・・・・・
9歳~12歳までの伊作の目を通して見る
過酷に生きる日々を描いています。
・・・・・・・・・・・
父親は3年の年季奉公へ行く。
遺された母親と弟妹3人と伊作。
わずか9歳にしていっぱしの大人と同じ仕事をする。
・・・・・・・・・・・
生きるか死ぬかの瀬戸際の日々を
淡々と描いていて尚更怖さを感じました。
・・・・・・・・・・・
「船には傷を負った男をふくめて四人いたが、
一人残らず打ち殺した。
かれら一人でも生かしておけば、
災いが村にふりかかる。
打ち殺すことは
ご先祖様がおきめになったことで、
それが今でもつづけられている。
村のしきたりは、守らねばならぬ。」
・・・・・・・・・・・・
難破した船が村に財をもたらす。
綿密で極秘の行いは決して他所に
漏れてはいけない・・・
・・・・・・・・・・・
後半で「お舟様」から奪った食物・穀物を得、
何とか食べものに困らない一時期の後に
悲惨な事件が起こります・・・
・・・・・・・・・・・
これは短い感想では語れない
奥深く惹きこまれる物語でした。
しかし・・・
辛すぎる・・・
いつもありがとうございます

スポンサーサイト