宮本 紀子 「狐の飴売り・栄之助と大道芸人長屋の人々」

贅沢三昧の放蕩息子「栄之助」が、
家を飛び出し飴売りをしながら、
生きて行く術を身につける物語です。
お金はいつも財布に欲しいだけ入っているのが当たり前。
吉原で遊び呆けて跡取りとしての店の仕事は全くしない。
ある日、弟と自分の許嫁が子供を孕む程の仲になっている事を知り、
「こんな店、弟にくれてやるわ!」と
啖呵を切って飛び出します。
それからの栄之助の
あまりに世間を知らない自分への情けなさが描かれます。
頼った先は乳母だったお滝。
息子彦吉と飴売りの店をやっていた事から、
栄之助も仕方なく飴売りで暮らす事になります。
大道芸人ばかりが住む長屋での栄之助の暮らしは、
じょじょに彼を逞しくしていきます。
長屋の面々もそれぞれが悲しくも辛い過去を持つ者ばかり。
貧しいながらも一人一人日々を精一杯生きます。
そんなある日、
弟の女房となったはずの、
栄之助の元許嫁である喜代が、
栄之助の長屋で身を寄せる事になります。
お腹にはこれから産まれて来る子供を抱えながら、
泣きながら栄之助を頼る喜代に何があったのか…
喜代と弟の仲は…
栄之助と長屋の面々が織りなす
お節介が、始まります。
栄之助は長屋で暮らす事で、
人を幸せにすることを学びます。
「要はあいつがあいつの思う幸せになってくれりぁそれでいい。
それが俺の幸せよ。」
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宮本さんの本は今のところ4つしか出していません。
女性時代小説作家さん頑張れ!
いつもありがとうございます

宮本 紀子 「跡取り娘」
宮本 紀子 「始末屋」

時代小説です。
吉原で遊んでおいて
お金を支払わず逃げた客の取り立てをする仕事のお話。
貧しい農家で暮らしていた直次郎。
貧しさゆえ妹が15歳で身売りさせられます。
直次郎は、故郷を捨て妹を探しに江戸へ行きます。
やっと見つかった妹は病気になりやがて亡くなります。
直次郎の取り立てには、
命を削って働く妹の面影がいつも付いて回り、
金を払わず逃げる客へ容赦をしない取り立てをします。
ある日、吉原でも花魁である真鶴から
取り立ての依頼を受けます。
逃げた客を探索していくうちに、
亡くなった妹と関わりのある人物が浮上します。
妹を死に追いやった人物とは…
直次郎の非人間的感情が、
だんだんと薄れ、
仕事に対しての考えが変わっていきます。
妹や花魁の真鶴、
そして取立て屋の娘とのそれぞれの女性としての想いが
切なく描かれています。
続編があると良いなぁ。
いつもありがとうございます
