梶 よう子 「とむらい屋 颯太(そうた)①」 「漣のゆくえ とむらいや颯太②」


「とむらい屋」 現代で言う所の「葬儀屋」さん。
人は必ず死ぬ。弔う事の重要さは分かっていても、世間の人は「とむらい屋」を縁起が悪いだの、人の死で稼いでいるだのと悪く受け取る。
反面、貧しさや理不尽さで亡くなった人たちにとって、弔う事の有り難さも丁寧に描かれています。
亡くなりかたにも色々あり、事件がらみの死に方をした人に対して、颯太自身が死因を解明するお話など、すこしサスペンス風味もあり、物語の進みが心地良いです。
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颯太自身の生い立ちが悲惨であり、なぜ「とむらい屋」を営もうとしたかが「火屋の華」で語られています。
印象的で泣けました・・・
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「火屋の華」の章より。
颯太の命の恩人である鳶の頭「権次」の言葉。
「命なんてものは、もらいもんだ。いつ何時失くしちまうかわからねぇ。けどよ、もらったもんだからこそ、大ぇ事にしねえとなあ・・・」
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「儒者ふたり」の章より。
「貧しいのは罪ではない。罪なのは、学ぶ意欲を失わせることだ。」
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「三つの殻」の章より。
「あの世で暮らす自分を思うより、逝った者を忘れないでいてやることだ。それが病死であろうと、惨たらしい死であろうと、記憶に留めてやることが、亡者(もうじゃ)を生かすことになるのだ・・・」
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