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アンソロジー 「家族」

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藤原緋沙子さんの「雪よふれ」が良かった。

きつい姑(しゅうとめ)の意向により、

婚家から追い出されて離縁させられた「おつや」。

亡くなった父親の一膳飯屋を

幼馴染の「清七」と堅実に営んで暮らしていた。

「おつや」の胸には、

心残りである一人息子の幸吉が

何年たっても忘れられない・・・

ある日、

おつやの友人である「おなか」が店を訪れ、

離縁後の悲惨な婚家の様子を聞かされる。

「おつや」は元亭主の長屋を訪れ、

あまりに侘びしく悲しい姿の元亭主に驚く。

一人息子幸吉は、

姑から母親である「おつや」の悪口ばかり聞かされたので

誤解しながら育った。

「おつや」は離縁したとは言え、

姑も亡くなった事で、元亭主の世話をする・・・

雪が降った日に、

幼い幸吉が「雪うさぎ」を作り、

家族三人で微笑ましく楽しんだ日を思い出す「おつや」。

その日また雪が降り出す・・・

あの日のような家族としてやり直せるだろうか・・・

切に願いながら「おつや」が空を見ながら言う・・・

「雪よふれ」・・・






いつもありがとうございます
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ぬくもり 時代小説アンソロジー 

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宮部みゆきさん、西條奈加さんが好きで

選んで読んだ作品。

やっぱり宮部さんの時代小説は良いですねぇ。

特に短編が良いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・

宮部みゆき 「迷い鳩」

老舗大店の主人がある時から

具合が悪くなって寝込むようになる・・・

お付きの女中が次々と辞めたり行方不明に・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

岡っ引き六蔵親分と弟の直次、

六蔵の女房のおよし。

そして今回の謎解きで活躍する

六蔵の妹の「お初」。

・・・・・・・・・・・・・・・・

大店の主人をろうそくに灯した毒で

抹殺しようとした下手人の思惑とは・・・

決して許せる犯行ではないが、

下手人である妻の胸の内が

六蔵の女房やお初の女心に切なさを残します・・・

・・・・・・・・・・・・・

六蔵親分のビシっとした采配と逞しさ。

女房のおよしの優しさ。

弟直次の俊敏さ。

そしてお初の感の鋭さと行動力。

4人のキャラクターが目に浮かび

わくわくしながら読み進めました。

・・・・・・・・・・・・・・

宮部さんの謎解きが面白くて

何となく結末が分かっていても

引き込まれました。

面白かったです!





いつもありがとうございます

五分後に意外な結末

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ショートショートで

本当に数ページの短いお話がいっぱい。

サスペンス物や

人情物など色々で飽きない流れ。

印象に残ったお話は、

ある殺人事件をきっかけに、

その事件の被害者である娘を

ずっと父親代わりに育てる元刑事。

この娘には

あの殺人事件を目の前にして、

どうしても思い出せない記憶があった・・・

父親は娘を残して病死してしまうんだけど、

死の間際に娘に話す「嘘」が切なすぎる・・・





いつもありがとうございます

五分後にホロリ江戸人情アンソロジー

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「保呂里長屋」の住民たちの物語を

それぞれの作家が人情味たっぷりに描いている

18の短いお話。

表紙のミケ猫ちゃんがポイント的に登場して可愛い。

吉森大祐さんの「酒日和」は、

どうしようもない甲斐性なしで、

女房子供から愛想をつかされた飲んだくれの男と、

隣りに住む田舎者で馬鹿にされながら

日々弱々しく暮らしている若者とのご縁を呼んだ

「どぶろく」のお話。

酒で身をほろぼしていた男が

田舎者の若者をお酒で身を立たす行動に

ホロリしました。

他に、何年も待っていた想い人とやっと会えた途端に、

それは自分が撒いた想い人への

裏切りとなってしまったという悲しい物語も・・・

幽霊が見える子が解決する人情物や、

何故か兄弟姉妹が争うと

亡くなった父親の壺が割れて行くという

奇妙な流れから

父親の思いが伝わる物語などなど・・・

捨て子を大事に育てた子を、

見つかった生みの親へ

渡さなければならない物語は切なすぎるぜ・・・





いつもありがとうございます

アンソロジー 「わかれ」

アンソロジー わかれ

①朝井まかて「ひってん」

兄弟同然で育った男二人の生き方と

価値観の違いによる人生のわかれ。

・・・・・・・・・・・・・

②折口真喜子「三途の川」

病死した兄と三途の川で再会した幼い弟との

最後のわかれの時の物語。

・・・・・・・・・・・・・

③木内昇「染井の桜」

武士から町人に変わった事で妻の人生が変容するも

夫に寡黙に従う姿を自分への信頼と信じた夫。

ある日あっけなく病死した妻・・・

寡黙だった妻のいかに大切な存在だったことか・・・

・・・・・・・・・・・・・・

④北原亜以子「橋を渡って」

夫の浮気は商売絡みで、

女にも妻である自分にも軽い価値観・・・

そんな妻が女一人で生きる覚悟をする為に

戻らない橋を渡る・・・

・・・・・・・・・・・・・

⑤西條奈加「十市と赤」

人間ではなく猫たちの物語。

世話をしてくれた頭が弱い十市の濡れ衣をはらす為に

先が短い老猫の赤爺と仲間が事件を解決する。

解決後、赤爺は静かに自分の人生を終わらせる為に

皆んなの前から消える・・・

十市はいつまでも「赤、赤、出ておいで」と探す・・・

・・・・・・・・・・・・・・

⑥志川節子「闇に咲く」

夫婦約束をした二人。

簪職人の女の方が盲目になった事で破談になる・・・

簪職人として一人前になる娘を見守る父親。

目が見えなくなり想い人を失うが

失った事で大切な物を得る事が出来た事とは・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

「わかれ」と言っても男女の物語だけでなく

猫も登場したりと個性的な物語6選でした。






いつもありがとうございます

アンソロジー 「いやし」

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①朝井 まかて 「藪医ふらここ堂」

②あさの あつこ 「春の夢」

③和田 はつ子 「菊姫様奇譚」

④知野 みさき 「仇持ち」

⑤宮部 みゆき 「寿の毒」

・・・・・・・・・・・・
5人の女性作家による医者物語。

①朝井まかてさんは、どうも出し惜しみしながら
話を進めている感じがイマイチ好きになれない。
だからと言って「なるほど~」などの驚きもなく
感動もないかな・・・

②あさのあつこさんは、中絶をする闇の女医者さんのお話。
女ばかりが苦労して損をして悲しみと傷を残す。
事情次第では女医者「おゑん」が患者の代わりに理不尽にたいして復讐します。
つらい思いをした「お春」の素直で優しい人柄が「おゑん」との今後の関係を作ります。

③和田はつ子さんは、医者と言っても歯医者さんのお話。
お姫様が男に騙されるという面白い設定。
歯から来る病は昔は死に至る事も多かった事で貴重な職業。
歯医者さんがお姫様の歯も心も治します。

④知野みさきさんは、家族を濡れ衣で殺された娘の物語。
仇打ちの為に身を犠牲にして仇と懇意にしている医者に近づく事から話が進みます。
娘が仇を打たずとも相手は瀕死の状態であったことから、
医者が娘の心を改めさせ今後の倖せの為に静かな動きをすると言うのが良かったです。

⑤宮部みゆきさんは、この作品の中で一番おもしろかったです。
物語の入り方かたから流れからオチまでが
短い物語に無駄なく面白くおさまっています。
宮部みゆきさんの捕物帳短編集が好きで、
特に茂七親分シリーズは一番好きです。






いつもありがとうございます

アンソロジー 「秋びより」

アンソロジー秋びより
5人の時代小説作家による

秋をテーマにしたアンソロジー。

池波正太郎「市松小僧始末」が印象に残りました。

市松小僧と名乗る摺の青年と巨体で腕の立つおまゆ夫婦の物語。

「始末」という事から誰かが市松小僧を始末するのですが、その始末をしたのが女房のおまゆ。

命がけの夫の摺り稼業を終わらせる始末が潔いです。




いつもありがとうございます

アンソロジー 「春はやて」

アンソロジー春はやて

① 平岩 弓枝 「江戸の娘」

  男勝りの剣使いのじゃじゃ馬娘と

  時代の変遷と闘う若き武士との一途な恋。

  「大きな時代のうねりの中を、

   恋一筋で生き抜いた強い江戸の娘は、

   男の胸に抱かれると花のように崩れた・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・

② 藤原 緋沙子 「夜明けの雨・聖坂・春」

  幼馴染みの恋仲を捨て婿入りした男の大店での葛藤。

  女郎へ落ちた幼馴染みの為の一世一代の賭け。

  「歩を進めるごとに吉兵衛は決意を固くする。

  冷たい雨も吉兵衛には心地よかった・・・」

・・・・・・・・・・・・・

③ 柴田 錬三郎 「桃花無明剣」

  眠狂四郎シリーズの中から、

  宿敵白鳥主膳との対決を描いた一遍。

・・・・・・・・・・・・・・・   

④ 野村 胡堂 「五月人形」

  銭形平次捕物帳シリーズ

  「でも、あの二人を縛る気にはなれなかったよ。

   悪いのは徳之助さ」

  平次は相変わらず、縛ることの嫌いな男でした。

・・・・・・・・・・・・・・

⑤ 岡本 綺堂 「お照の父」

  伝七捕物帳シリーズ。
  
  幼友達の悪党二人の因果応報。

・・・・・・・・・・・・・

サスペンスと人情物の組み合わせのアンソロジーでした。

②藤原緋沙子さんの作品は

藤原さんが藤沢周平さんの「橋ものがたり」の大ファンで

作品のヒントにしたそうです。

「橋ものがたり」は大好きな作品。

再読したくなりました。





いつもありがとうございます

アンソロジー 「悲恋」 

悲恋
 
①安西 篤子 「蘇芳」

②池波 正太郎 「寛政女武道」

③北 重人 「恋の柳」

④澤田 ふじ子 「うそつき 内蔵助の娘」

⑤南條 範夫 「行かないで!」

⑥諸田 玲子 「悲恋」

⑦山本 周五郎 「なんの花か薫る」

・・・・・・・・・・・・・・

全作品悲しい物語です。

舅と嫁の慕い合う悲しい恋・・・

秘密を守れなかった男への報復と自死・・・

ときめいた男との束の間の恋と現実・・・

大店の若旦那のなぐさめ者になった娘の悲しさと救い・・・

牢屋奉行と冤罪の父親を失った娘とのあまりに悲しい恋・・・

岡場所の女がひと時見た夢と現実・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

ストーリーが儚くも哀しい結末ばかりでした・・・

表現豊かで美しい日本語の流れが

読後しみじみと余韻を味わえました。

今回は特に、

①安西 篤子 「蘇芳」

⑥諸田 玲子 「悲恋」

⑦山本 周五郎 「なんの花か薫る」

上記三作品が心に残りました。




いつもありがとうございます

時代小説アンソロジー 「いのち」

2021040601いのち

①朝井まかて「駄々丸」

②安住洋子「桜の風」

③川田弥一郎「雪の足跡」

④澤田瞳子「瘡守」

⑤山本一力「ツボ師染谷」

⑥山本周五郎「駈込み訴え」

⑦和田はつ子「よわい桃」

・・・・・

安住洋子「桜の風」・澤田瞳子「瘡守」

が特に良かったです。

・・・・・

安住洋子さんの作品は、

小石川療養所で奮闘する若者医者の物語。

真面目で一直線な淳之助と

療養所の働き手である伊佐次が活躍。

貧乏暮らしの市井の人々を

精一杯治療し看護する姿が感動します。

・・・・・

澤田瞳子さんの作品は

「梅毒」を患いながらも

懸命にお互いを思いやる夫婦の物語。

コロナ罹患者への風評被害など

最近の世間にも通じる考えさせられる物語でした。




いつもありがとうございます

時代小説傑作選 「ねこだまり」 細谷正充編

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女性時代小説作家6人の

猫にまつわるアンソロジー。

・・・・・・・・・・・・・・

諸田玲子 「お婆さまの猫」
 ・幼馴染みを疫病でなくしたお婆さまの唯一の癒しである飼い猫と病気で苦しむ娘の為に一度だけでもお婆さまの猫を抱かせたいと思う髪結いの思い・・・

田牧大和 「包丁騒動」
 
折口真喜子 「踊る猫」
 
森川楓子 「おとき殺し」
 ・幼馴染みの男と女の悲しい物語。猫が会話して事件を解決する。

西條奈加 「猫神さま」
 ・「はむはたる」の中の物語の一つ。ねずみを可愛がる大店の病弱な男の子と長屋の逞しい子供達が猫の置物紛失の事件を解決する物語。

宮部みゆき 「だるま猫」
 ・幼い頃から家庭に恵まれずみじめな暮らしをしていた文次がなりたかった火消しの物語。

・・・・・・・・・・・・・・

猫を題材にしたサスペンスや

猫さんが活躍する物語。

特に宮部みゆきさん「だるま猫」が良かったです。

火消しになりたい臆病者の文次と

過去に火消しとなったが大きな損失を経験した

居酒屋主人との物語。

出だしから惹きこまれる流れです。

宮部みゆきさんは短編が良いですね。

素敵な文章表現があり大事な物語の一つになりました。





いつもありがとうございます

女性作家時代小説アンソロジー6選  「なぞとき」

2021100501なぞとき

和田はつ子 「五月菓子」

梶よう子 「煙に巻く」

浮穴みみ 「六花の涼」

澤田瞳子 「人待ちの冬」

中島要 「うき世小町」

宮部みゆき 「鰹千両」

・・・・・・・・・・・・・

澤田瞳子さん・中島要さん・宮部みゆきさんの

三作品が面白くて印象に残りました。

・・・・・・・・・・・・

特に宮部みゆきさんの「鰹千両」は

茂七親分シリーズの中の作品で

粋な江戸っ子の岡っ引き親分の

采配となぞときが見事です。

市井ものなので庶民の生活の雰囲気も

程よく描かれています。

棒手振りの魚売りにある時

「鰹を一匹千両で買いたい」と

大店の主人から驚きと奇妙な

申し出があったことから

茂七は何かあると探索します。

親が子を思うせつない流れ・・・

千両より価値のあるものとは・・・

茂七親分の誰も傷つく事なく締める

男前な解決方法が光っています。





いつもありがとうございます

7人の時代小説作家アンソロジー 「なみだ」

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宇江佐真理「松葉緑」

貧しい娘たちの倖せを願い、

作法他の稽古をつけるご隠居女将さんのお話。

西條奈加「カスドース」

親子三代で切り盛りする

大繁盛のお菓子屋「南星屋」の物語。

澤田瞳子「なるみ屋」に客

わけありの旅人夫婦が

常連たちが集う街道沿いの小さな居酒屋

「なるみ屋」で出会う親子との物語。

中島要「目が覚めて」

腕はピカイチだが

酒癖の悪いかんざし職人が

濡れ衣を着せられる事件が起こる事から

自らの身を顧みる物語。

以上4人の作品が良かった。

やっぱり宇江佐真理さんがダントツ!

個性的な作家さんを

一冊で読めるアンソロジー大好き!





いつもありがとうございます

6人の女性作家アンソロジー 「わらべうた」

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西條奈加さんと澤田瞳子さんの作品が良かった。

どちらも親のいない子供達の物語。

ひもじく劣悪な環境で幼い子がさらに幼い子を

守り寄り添って日々必死に生きる姿がとても

切なくなります。

静かな感動の余韻がじ~んと沁みます。






いつもありがとうございます

医療時代小説アンソロジー 「いのちを守る」(菊地仁編)

20210406いのちを守る

山本 一力 「衣替え」

藤沢 周平 「女牢」

宇江佐 真理 「名医」

藤原 緋沙子 「蜻火(かげろひ)」

渡辺 淳一 「かさぶた宗建」

・・・・・・・・・・・・・・・

昨年3月に刊行された事もあり、

解説ではコロナの問題を通して

医療に携わる方々への敬意と感謝が

丁寧に書かれていました。

・・・・・・・・・・・・・・・

宇江佐真理さんが大好きなので

宇江佐さん目的で購入しましたが、

全作品、とても読み応えありました。

・・・・・・・・・・・・・・

山本一力さん・藤沢周平さん・宇江佐真理さんは

再読作品でしたが、

改めて感動しました。

・・・・・・・・・・・・・

山本一力「衣替え」では、

少女の体の悩みをお灸を通して

治癒する鍼灸師でしたが、

少女の体だけでなく心を治癒する物語に

衣替えの意味が深く伝わりました。

・・・・・・・・・・・・・・

藤沢周平「女牢」では、

理不尽で自分勝手な夫により

借金相手に身を売られてしまった妻が

夫を刺殺して死罪になります。

かつての患者だった夫を診たことがあった

獄医の立花登と妻のプラトニック愛から

死罪になる前に夫殺しの妻から登への

ある願いをかなえるストーリーが切ないです。

・・・・・・・・・・・・・・

宇江佐 真理 「名医」

今で言う所の派遣業を営む

口入れ屋「きまり屋」の娘おふくが

女中奉公として近所の医者の家に住み込みます。

治療費をとれない程の貧しい患者へも

親身に診療をする医師の姿に

名医とはなにかを描いています。

・・・・・・・・・・・・・・

あっという間に読み終えてしまうのが

もったいなくて、

ゆっくり、ゆっくり読み終えました。

読後感満足の一冊でした(^^)





いつもありがとうございます

女性作家捕物帖アンソロジー「撫子が斬る」

撫子が斬るアンソロジー

撫子が斬るアンソロジー

8人の女性作家の捕物帖時代小説短編集。

・・・・・・・

宇江佐真理さんが入っていたので即買い。

髪結い伊三次シリーズの中の「星の降る夜」。

このシリーズは完読していたのですが、

久しぶりに読むと初めて読む作品のような

面白さがあって、あっと言う間に読んでしまいました。

やっぱり宇江佐さんは良いな~!

・・・・・・・

澤田瞳子「初雪の坂」は、

両親を殺された浮浪児の少年の復讐物語。

周りのみなし子達を守りながら、

両親を殺した住職への復讐は、

子供ながら死を覚悟して泣ける物語でした・・・

住職の悪行は、少年の復讐により表沙汰になります。

報われる思いですが、

少年の罪は罪として、罰を受け、

二度とこの地に戻る事はなくなります・・・

小さなみなし子たちは、

理解ある大人たちにより救われます。

この先の少年の幸いを祈る思いでした・・・

・・・・・・・

北原亜似子「律儀者」は、

泥棒にも泥棒ならではの矜持があって

思わずクスっとするオチでした^m^






いつもありがとうございます

おんな職人時代小説アンソロジー  「てしごと」

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6人の女性作家が作った

江戸時代に生きたおんな職人の物語です。

・・・・・・・・・・・・・・

表紙の絵が古風で色合いも渋く素敵!

・・・・・・・・・・・・・

西條奈加「姉妹茶屋」

あさのあつこ「おもみいたします」

2編が特に面白かったです。

・・・・・・・・・・・・・

西條奈加「姉妹茶屋」は

姉妹が秩父の山あいで営む「茶屋」なのですが、

くるみ餅とそばが絶品!

姉が祖父から手ほどきを受けて幼い時から修行した技。

姉と夫婦約束をした江吉が盗賊の濡れ衣を着せられます。

江戸でお金を稼いで戻ってくるまでの辛抱と

姉妹、特に姉は頑張るのですが、

思わぬ江吉の盗賊疑惑に二人の行く末はいかに・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

あさのあつこ「おもみいたします」は、

全盲のもみ師の少女が大店の主への

「凝り」の原因となっていた

不安・後悔・懺悔・疑念・辛抱・・・

それぞれを全て取り除きます。

身体の隅々の一つ一つの凝りの解明。

主人は過去と将来の店への執着により

一人苦しみ辛抱の連続。

自分を縛り付ける事で大店としての存続を維持。

そんな主へもみ師の少女が言います。

「もうがまんしなくていいです。

痛いなら痛いって叫んでください。

辛かったら辛いと吐き出して泣いていいんですよ」

主は、大人の男として初めて大泣きします・・・

陰ながら妻が主人の為にもみ師を呼んだ事・・・

主人は、改めて妻ともみ師に感謝します・・・・

そして、今まで信用していた

ある者の不正を見抜く事が出来たのでした・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

江戸時代におんなが男と同じ立場で仕事をこなす事は

大変な苦労だった時代に

男をうならせる程のプロの職人技への尊敬の思いで

女性作家6人が描いた本作は心に響く作品でした。





いつもありがとうございます


アンソロジー  「おやこ」

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池波正太郎・梶よう子・杉本苑子・竹田真砂子・

畠中恵・山本一力・山本周五郎

・・・・・・・

特に池波正太郎さんの「つるつる」は、

若ハゲの息子のコンプレックスから起こる事件と

その後の成長を描いています。

父親として息子へ信頼が長い時を経て実現します。

・・・・・・・

梶よう子さんの「二輪草」は

身体の不自由な父親と

絵師をめざす幼い息子の切ないお話。

幼いながら父親の為に必死に守る息子の姿が

どうか良い方向へ行きますようにと願う思いでした。

二輪草は、なぜ二輪草と呼ばれているのか・・・

「一本の茎から二輪の花を咲かせることが多い」

からだそうです。





いつもありがとうございます

アンソロジー  「絆を紡ぐ」

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すごいメンバーのアンソロジーです。

・・・・・・

短い物語で読みやすいです。

心に残る物語ばかり。

滝口康彦と山本周五郎は

夫婦、想いびとへの

長い年月をかけての想いが切なく哀しい。

永井路子と池波正太郎は歴史物。

永井路子さんの物語は、

信長の妹お市の娘たち

「お茶々・お初・お江」を描いています。

戦国時代を生き抜いた三人の中で、

特に「お江」の強さを描いています。

時代小説を好きになったきっかけが

永井路子さんでした。

面白いです。

藤沢周平さんは、市井もの。

妻を亡くして途方に暮れる意気地なしの男の為に、

同じ長屋に住む娘がお世話する優しい思いが、

ホロリとします。

二人の行方が幸せになるよう

祈る思いになります。




いつもありがとうございます
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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