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梶井基次郎(かじい もとじろう)  「檸檬(れもん)」

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31歳で早世した梶井さんの小説。

短い物語です。

レモンと言ったら

今や米津 玄師さんを思い浮かべるかと思いますが、

こちらの梶井さんの「檸檬」も

文学小説として

学生時代に授業でも取り上げられる程の名作ですよね。

まずこの本を手に取った理由は

「丸善」150周年記念限定復刻カバーだったから。

この「檸檬」には京都の丸善が登場します。

心身共に衰弱している「私」が街を徘徊するのですが、

表通りの明るい街並みより、

裏通りのすたれ気味の街角に魅力を感じます。

歩きながらのその描写が

大変繊細で日本語の美しさに溢れています。

暗い表現がほとんどなのですが、

唯一「私」が手に取った「檸檬」の鮮やかさが

読み手に「パシッ!」と突き刺さる程。

また檸檬の色や味よりも

「檸檬の重み」に魅力を感じ、

手から伝わる重みと冷たさに

ひと時安らぎを感じる「私」。

丸善書店の中に檸檬を持って入り、

芸術本を積み上げた上に檸檬を置いて

店を立ち去るまでの「私」の思いが、

不思議な感動を与えてくれます。

戦前の丸善は書店としてだけではなく、

ハイカラな西洋の品々や

芸術本を沢山置いていたそうです。

舞台となった京都の丸善書店では、

当時芸術書にレモンを置く人が続出したそうです(^^)



いつもありがとうございます
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金子 雅子 「お兄ちゃんが守ってあげるから」

無題

地域猫として生きる野良猫たちの物語です。

お兄ちゃん黒猫と白子猫なのですが、

本当の兄弟ではなく、

母猫に一晩置いてけぼりにされた白子猫と出会い

「この子をぼくが守る」と決意しお兄ちゃんとなります。

実はもうじき亡くなる白子猫の母猫。

誰かに子猫を託したくて一晩中探していました。

黒猫が「大丈夫、ぼくが子猫を守るから」

と母猫に言ってくれた事に安心し、

弱り切って命が消えそうな母猫は

姿を消してしまいます。

お兄ちゃん黒猫は白子猫に

地域猫として生きて行く術を教えます。

人間の玄関周りでオシッコやウンチをしてはいけない。

ゴミ集積所のゴミを漁ってはいけない。

どこで餌をもらえるか。

どこで雨や寒さをしのぐか。

獲物の捕らえ方ややさしい人間の見分け方などなど・・・

逞しく仲良く楽しく過ごしていた二匹でしたが、

かなしいお別れも経験します・・・。

本の中には絵が描かれていないので

表紙の絵で想像しながら読みました。

小学生向けの優しい本です。



いつもありがとうございます
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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