梶井基次郎(かじい もとじろう) 「檸檬(れもん)」

31歳で早世した梶井さんの小説。
短い物語です。
レモンと言ったら
今や米津 玄師さんを思い浮かべるかと思いますが、
こちらの梶井さんの「檸檬」も
文学小説として
学生時代に授業でも取り上げられる程の名作ですよね。
まずこの本を手に取った理由は
「丸善」150周年記念限定復刻カバーだったから。
この「檸檬」には京都の丸善が登場します。
心身共に衰弱している「私」が街を徘徊するのですが、
表通りの明るい街並みより、
裏通りのすたれ気味の街角に魅力を感じます。
歩きながらのその描写が
大変繊細で日本語の美しさに溢れています。
暗い表現がほとんどなのですが、
唯一「私」が手に取った「檸檬」の鮮やかさが
読み手に「パシッ!」と突き刺さる程。
また檸檬の色や味よりも
「檸檬の重み」に魅力を感じ、
手から伝わる重みと冷たさに
ひと時安らぎを感じる「私」。
丸善書店の中に檸檬を持って入り、
芸術本を積み上げた上に檸檬を置いて
店を立ち去るまでの「私」の思いが、
不思議な感動を与えてくれます。
戦前の丸善は書店としてだけではなく、
ハイカラな西洋の品々や
芸術本を沢山置いていたそうです。
舞台となった京都の丸善書店では、
当時芸術書にレモンを置く人が続出したそうです(^^)
いつもありがとうございます

スポンサーサイト