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司馬 遼太郎 「人斬り以蔵」

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幕末の混乱の中で、

劣等感から命ぜられるままに

人を斬る男の激情と苦悩を描く「人斬り以蔵」他、

変革期に生きた人間像に焦点をあてた8編。

・・・・・・・・・・・・・

「人斬り以蔵」

自己流の暗殺剣法を編み出し、

盲目的な殺し屋として

幕末の世を震えあがらせた

岡田以蔵の数奇な生涯。


・・・・・・・・・・・・・・

司馬遼太郎さんの殺陣の表現は大変臨場感があり、

人の死の儚さと殺伐さと凄惨さがひしひし伝わります。

以蔵のあまりにも悲しい最後と

身分に対する劣等意識が産んだ狂気が凄まじいです。



いつもありがとうございます
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澤田 瞳子・編 「大江戸猫三昧」

無題
「大工と猫」

江戸時代のお話です。

近所でも評判の腕の良い大工の安五郎。

長屋の住人の為に棚ややぶれ戸の修理してくれました。

「仕事じゃないんで。近所に住んでいるんですから」と

手間賃をもらう事はしませんでした。

安五郎は子供達にも玩具を作ってあげました。

その玩具は手の平に乗る程の木彫りの猫でした。

安五郎には忘れられない猫がいました。

昔飼っていたゴンという不細工で無愛想な野良猫です。

ある雨の日。安五郎の家の土間に逃げ込んで来たゴン。

ずぶ濡れで、犬に咬まれたのか傷だらけ血だらけでした。

安五郎が近寄るとしゅうしゅうと言って毛をさか立てますが、

寒さでガタガタ震えていました。

餌も食べず一晩警戒していたゴンでしたが、

安五郎が翌日眼を覚ますと布団の中で丸まっていました。

その日からゴンは居候になりました。

安五郎は独り身。

田舎から大工の見習いに江戸に出て来ましたが、

腕の良さが災いし、うぬぼれて

親方や兄弟子たちとの折り合いが悪く、

あちこち渡り大工をしながら気楽に暮らしていました。

女房ももらいましたが

苦労ばかりかけた女房は二、三日寝込んで

そのまま死んでしまい、

大事にしてやれなかった後悔ばかりで

以後独り身を通していました。

ゴンが迷い込んだ時、

安五郎はふと「こいつもひとりぽっちで、いやがられながら、

あちこち居候をして生きているんだ」と思い、

この汚い猫が愛おしくなりました。

ゴンと暮らすようになった安五郎は

生きる張り合いが出来ました。

朝仕事へ出掛ける時には昼飯を作って置いてきて、

帰りには魚屋に寄って、

小魚のお土産を買って帰りました。

ゴンが来てからと言うもの、

仕事場でもケンカをする事もなくなり

穏やかな毎日を送るようになりました。

そんなある日、

安五郎は重い眼の病気にかかってしまい、

医者からはいずれ全く見えなくなるだろうと言われました。

安五郎は「もう大工の安五郎は死んだ。

もう終わりだ」と深い悲しみを感じたその時、

ふとゴンのことが浮かびました。

「もうあいつに魚を買ってやることができない・・・」

安五郎はゴンに言います。

「かんべんしてくれ、ゴン。

これまでおめえに飯を食わして来たが、

もうだめかもしれねえ。

おれの目はもうすぐつぶれてしまうそうだ。

そうしたら働くことができねぇ。

おめえに食わしてやることができない。

悪いがどっかに行って、

別の飼い主をみつけてくれ・・・」

その晩、安五郎が寝ていると

目にやさしい手の感触がありました。

ふと目をさますと、

ひんやりしたものが目に当てられています。

ゴンでした。

ゴンが安五郎の目をザラザラした舌でなめていました。

いつまでも、いつまでもなめつづけます。

一晩中、ゴンは安五郎の目をなめつづけました。

朝になり昼になり晩になり、

いく日もの夜が過ぎてもゴンはなめつづけました。

目が痺れ鈍い痛みが来て気が遠くなりかけた時、

目の中でなにかがはじけたように、

さまざまな色の火花が散りました。

どろどろしたものが流れだし、

ゴンのザラザラした舌がそれをぬぐっていきます。

左目の膜がはがれたような気がして、

明るい光が見えました。

左目が治ったのです。

ゴンが治してくれたのでした。

右目はたすかりませんでした。

でも片方が見えるようになったので、

また大工の仕事ができるようになりました。

その後、

ゴンはある日ふと出て行ってしまい

戻ってきませんでした。

出て行く晩、飯を食ってから、

ゴンが外に出たそうな様子なので、

戸をあけてやりました。

ちらりとこちらをふりかえった顏を見て、

安五郎は息がとまりました。

いつの間にかゴンの左目がつぶれて、

片目になっていたのです。

「ゴン!」と叫びましたが、

すっと闇に見えなくなりました。

それっきりでした。

ゴンは自分の目を安五郎にくれて、

いなくなったのです。

それから歳を取った安五郎は、

ある日、卒中で亡くなりました。

安五郎の前には

彫り上がったばかりの木の猫が置かれていました。

ゴンにそっくりの見事な木彫りの猫でした・・・。



いつもありがとうございます

西條 奈加 「はむはたる」

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大人に酷い目にあいながら生きて来た勝平たち孤児15人が、

大人顔負けの逞しさで

日々の暮らしで起こる小さな事件を解決して行きます。

汚い大人ばかりではなく、

勝平達に真っ当な暮らしをさせるべく

稲荷寿司の振り売りの手助けをする長谷部家やお吟さんや

周りの人々の優しさに

少しづつ心の傷を克服していく子供達がいじらしいやら、

可愛いやら、切ないやら…

シリーズ物なのでこれからも楽しみな物語です。

ちなみに「はむはたる」とは、

男を惑わせる女の外来語を

日本語に言いやすくした言葉だそうですが、

果たしてどんな「はむはたる」と子供達の関わりでありましょうか(^^)

ちょっと切ない物語です。



いつもありがとうございます

志賀 直哉 「随筆 衣食住」

三月書房より。
【三月書房の小型愛蔵本 。
1961年から56年以上ひっそりと着実な支持を得て出版され続けてきた三月書房の「小型愛蔵本」シリーズ。
しっかりと糸で綴られた本が、ひとつひとつ手仕事で丁寧につくられた函に収められた造本が魅力のひとつです。
多彩な執筆陣による珠玉の随筆が収録されています。】


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函から本を取り出す時に良さが実感できます。

するっと取り出せるんです。

絶妙の職人技です。




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函の背表紙文字は黒。

本体の背表紙は、銀色の文字刻印。

高級感が漂います。



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丁寧な手作業で製本されています。

一ミリの狂いもなく断裁され手縫いされ、

貼りつけされ、手触りが滑らかです。



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丁度文庫本サイズです。

本体は布張り。

函はザラっとした手触りの厚手紙です。


「小説の神様」と言われている志賀直哉の随筆集を

高級な本に一冊にまとまっています。

こだわりの本造りに感動します。

大事に読み大事に扱い大事に心に残るよう作られた

職人技の一級品と思います。

一冊2200円。

決して高い本ではないと思いました。

因みにワタクシは、中古本で購入でしたが・・・(^^)




いつもありがとうございます

坂木 司 「ウィンターホリデー」


ウィンター・ホリデー (文春文庫)ウィンター・ホリデー (文春文庫)
(2014/11/07)
坂木 司

商品詳細を見る


元ヤン&ホスト→宅配便ドライバーの父+しっかり者の小学生の息子
一人から二人、そして仲間と……大人気「ホリデー」シリーズ第二弾!

元ヤンキーで元ホストの大和と
突然現れたしっかり者の息子・進の
ひと夏の絆を描いた『ワーキング・ホリデー』、
その待望の続編!

冬休みに進がやって来るのを心待ちにしつつ、
自分の知らぬ間に女手一つで頑張っていた元恋人で
進の母親・由希子のことが気にかかって仕方ない大和。
しかし、クリスマス、お正月、バレンタインと
イベント盛り沢山のこの季節は、トラブルも続出で……。

・・・・・・・・・・・・・

元ヤンで元ホストで現在はハチさん便のドライバーの大和(ヤマト)
宅配ドライバーの大和(ヤマト)ってシャレっぽい(笑)

物語はすべて大和の一人称の語りで進む。
言葉使いも元ヤン風。
ですので軽い雰囲気の内容に思えがち。
しかして実態は・・・
ほのぼの泣かせるぜ!っていう箇所もあるし、
なるほどなぁと粋な箇所もあるし、
息子と元嫁のつながりが今後に期待できる雰囲気で
締めています。

犯罪まがいの事や事件という事件は出て来ません。
それぞれの心境で語られているのですが、
ちょっと息子進と元嫁さんと大和本人のストーリーが
足りないと思いました。
特に元嫁さんとの出合いから別れてしまった事についてが
もう少し濃い内容で綴られていても良かったのではないかしら。
お嫁さんのキャラがはっきりしない。

息子進に至っては、気を使い過ぎてもの悲しくなっちゃう。
親として大和も元嫁も情けないぞ!

続編があるとしたら、
もう少し事件性のある物語もあった方が
面白いと思いました。


いつもありがとうございます
蝶が舞うリースの時計
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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