古処 誠二 「中尉」

戦争ものです。
古処誠二さんの戦争ものは、
リアル感が素晴らしいです。
古処さんは現在40代。
元自衛隊員だったんですよねぇ。
絶対顔を見せない人で、
雑誌のインタビューでも
背中とかサングラスの横顔しか
お見受けしたことがなかったんですが、
今はどうかなぁ。
今回の物語は、
終戦を迎えるビルマでの
現地民と日本兵の緊迫する心理戦です。
ビルマのある村でペストが発生して
軍医と軍医を護衛する軍曹が対策に向かいます。
軍医の怠惰な態度に苛立つ軍曹。
しかし軍医はある考えを持っていました。
そんなある日、現地民によって軍医が拉致されます。
ところが、軍曹は軍医の拉致に疑問を持ちます…
軍医と現地民は敵ではなく
計画的犯行ではなかったのか…
軍曹の思いと軍医の思いが一致しているのであれば、
軍医は日本兵を捨て
現地民として生きてゆく事を選んだ事になります。
もし本当に拉致されたのであれば、
軍医はすでに殺されている…
果たして軍医は生きているのか…
軍医が軍曹に語りかけます。
「人の世というものは
妬みと嫉みと恨みから縁が切れないのだ。
平和で満ち足りた世の中であってもだ。
三年半ものあいだ戦災を受け、
敗れた軍隊を前にしていながら
人の心と和を保ち続けるビルマの人々は、
すなわち奇跡のような人々なのだ。
不逞の輩はごく一部でしかないのだ。」
いつもありがとうございます

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