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香納 諒一 「夜の海に瞑れ(つぶれ)」

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「癌に冒された老ヤクザを故郷の淡路島まで運べ。」


舞い込んだ依頼はたやすいはずだった・・・。

だが、謎の追っ手の襲撃によって、

老人吉野と親友が拉致される。

しかも、その老人は、五十年以上前にシベリアの捕虜収容所で、

凍土に葬られたはずの男だった・・・

組織を裏切った老ヤクザ吉野の本当の狙いは何か。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


香納諒一の小説で三番目位に好きな作品。

一番は、「さらば狩人」

二番は、「炎の影」

三番が、「夜の海に瞑れ(つぶれ)」

で、今作品に登場する安本兄弟が

「さらば狩人」にも登場する。

兄は俊敏で頭も良い。弟は図体がデカく腕力は凄いが頭が弱い。

この二人のキャラが気に入って、香納さんは、別の作品にも

登場させたかったと言って「さらば狩人」に登場させたとのこと。




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香納 諒一「さらば狩人」

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今度の依頼はどこかキナ臭い。

標的を横取りされた殺し屋の安本兄弟は、

暴力団に加えて産業スパイ、公安、CIAまでが入り乱れての

熾烈な争いの渦中で、

失踪した妹をひたすら探す山人(マタギ)の娘と出逢う。

やがて不気味な気配とともに浮上する、

コンピューター業界の均衡を劇的に崩壊させかねない新型チップの謎!

ある大物右翼が綿密に画策した、

日米半導体戦争に新たな地平を拓く巨大な陰謀とは何か―。

香納作品の中で一番好きな作品。

何度か再読した。

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安本兄弟。兄の芳郎。

少し頭の足りない弟の辰雄。

弟がマタギの娘を気に入る。

娘は、兄の芳郎に魅かれる。

そんな所もさらっと折り込んでいるので、

やわらかさもあり、引き込まれて読めた。


『岡村は、きちんと処理したんだな』

いきなり訊かれ、弟は何も言わずにうなずいた。

サンドイッチで口の中が一杯で、

咄嗟に声が出なかったのだ。

あわてて飲み下し、

改めてはっきりとうなずき直した。

「大丈夫さ、兄貴に心配をかけるようなことは、何もない」

『なんだかおかしな匂いがするぜ』

弟の言葉にかぶせるようにして、

兄は声を低くして言った。

相変わらず、視線は窓の外へ向けたままだ。

辰雄はすこし不安になって顔を曇らせた。

兄は煙草をもみ消して新しいハイライトを取り出した。

弟が口を動かすことも忘れ、じっとうつむいているのに気づいて苦笑する。

『いいから食っちまえ。』

兄が微笑んだことにほっとした。

考えるのは兄貴の仕事だ。

俺はそんな頭はない。

辰雄は、兄が微笑んでいれば、

不思議と不安が消えていく。

兄貴の言う通りにやってりゃあ、

なんでも必ずうまくいくのだ。





プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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