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藤沢 周平  「又蔵の火」

藤沢周平
「又蔵の火」

2019101101.png

短編5編収録

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帯の写真の仲代達矢さんが出演したのが「帰郷」と言う作品。

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仲代さんさすがです。役にぴったり!

・・・・・・・・・・

表題の又蔵の火より、帰郷が好きです。

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仲代達矢さん演じる老いた渡世人の宇之吉が、

親分の罪を被って故郷を逃げ通し、

帰って来た時には女房にするはずの女は

娘を産んで亡くなっていた…

宇之吉は娘のために

一世一代の博打を挑み娘を助けます…

その後、娘との暮らしは選ばず宇之吉は、

病を抱えたまま故郷を離れます…

・・・・・・・・・・・・・

藤沢周平さんの荒涼とした自然描写と、

闇の人間模様が、悲しくもあり切なくもあります…

・・・・・・・・・・・・・・

アジア初の快挙!
仲代達矢主演 史上初8K時代劇「帰郷」カンヌにてワールドプレミア決定!
・・・・・・
観たいなぁ~
https://www.jidaigeki.com/kikyo/




いつもありがとうございます
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藤沢 周平 「暁のひかり」

藤沢 周平

 「暁のひかり」

20190709暁のあかり


6つの短編集です。

悲しい市井物が5つ。

皮肉なユーモアがありクスっとする物語が1つ。

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1.暁のひかり
2.馬五郎焼身
3.おふく
4.穴熊
5.しぶとい連中
6.冬の潮

・・・・・・・・・・・・

「暁のひかり」は

自分で身を落として賭場で働く市蔵と

足が悪く体の弱い娘との出会いと別れ・・・

市蔵の落ちてしまった人生は

元へ戻す事が出来なかった・・・

市蔵はそれなりに自分で自分の人生にケリを

つける最後が悲しいです・・・

・・・・・・・・・・・・・・

「馬五郎焼身」

幼い娘を失った馬五郎の荒くれ様が

手をつけられない程になった原因とは・・・

誰に対しても馬五郎は昔のような穏やかさで

接する事は出来なくなっていました。

娘を失って女房と別れた馬五郎・・・

そんな馬五郎は最後の最後に

自分の本当の思いを身を投げ出してケリをつけます。

馬五郎の人生の最後があまりにも悲しいです・・・

・・・・・・・・・・・・・・

「おふく」

同じ長屋の幼友達のおふくが

売られて行きます・・・

御酒蔵(みきぞう)とおふくの二人の

胸の内の想いの表現が素晴らしいです。

青年になりおふくを探し歩く御酒蔵。

おふくはすでに他所へ売られていました・・・

それからの御酒蔵は、やくざの親分の下

荒れた暮らしをするようになります。

ある日の危ない仕事を逃げ切った御酒蔵は、

江戸を離れます・・・・

三年後に戻った御酒蔵は偶然おふくを見掛けます。

あんなに探したおふく・・・

目の前で見かけたおふくは、

もう御酒蔵の世界とはかけ離れていました・・・

御酒蔵のこれからの人生のやるせなさが

しみじみ切ないです・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

「穴熊」と「冬の潮」は

物語として悲しいものと言うより

闇のような暗い読後感でした・・・

・・・・・・・・・・・・・・

「しぶとい連中」が

この短編集の中で一番好きです。

クスっとユーモアがあって

なんとも幸せな先行きが見えて安心出来ました。

身投げしようとした母と

幼い子供2人を助けた賭場で働くやさぐれた熊蔵。

母子との出会いが熊蔵の人生を変えます。

子供達が可愛らしくて他の悲しい物語と違い、

生き生きと感じ思わず応援したくなりました(^^)

頑張れ熊蔵!



いつもありがとうございます

藤沢 周平  「神隠し」より「小鶴」

藤沢 周平

「神隠し」より

2019070501.png

11の短編集です。

その中の「小鶴」。

武家の夫婦の元に

記憶を無くした娘「小鶴」が来ます。

いつも激しい夫婦喧嘩をする子供のいない二人。

ある日夫が、

記憶を無くし途方にくれる武家の娘

「小鶴」を助ける事から、

夫婦にとって充実した日々が続いていました。

本当の娘のように過ごす日々は、

夫婦にとって、

永遠に続いて欲しいと思うのでした。

しかし、娘との別れがやって来ます。

娘が何故記憶を無くしたのかが判明します。

そこには夫婦喧嘩への強い恐怖がありました。

娘はある武家の長女でしたが、

自分の両親の不仲が原因で

心に大きな傷を受けていました。

そして記憶をなくす程辛い出来事が起こっていたのです。

娘を探し続けていた親族によって帰って行く小鶴…

いつも盛大な喧嘩をしていた夫婦は、

短い期間でしたが、

娘として三人で過ごした貴重な経験を

味わうことが出来たのです。

それからの二人は、

ときおり夫婦喧嘩をしますが

今までとは違い迫力のない喧嘩となるのでした。


いつもありがとうございます

藤沢 周平  「驟りあめ (はしりあめ)」

藤沢周平

「驟りあめ (はしりあめ)」

20190627はしりあめ

10編の江戸の町で懸命に生きる人々の物語。

「捨てた女」と言う物語が、

結末は違いますが、

フェデリコ・フェリーニ監督の

「道」と言う映画を思い出しました。

何をやってものろまで

生きる術の下手な女を捨てた男が、

人を刺して遠島の刑になり、

10年後戻って来ましたが、

すでに女はいませんでした。

一人でどうやって暮らしているのか…

男はこれから先の自分の身の振り方よりも、

女を探すことが自分にとっての

たった一つの望みとなっていました…

・・・・・・・・・・・・・・・・

表題の「驟り雨」は、

一人の盗人が軒下に潜んで雨宿り中に、

病い持ちの母親と幼い娘と出会い、

自分の人生が変わると言う物語です。

・・・・・・・・・・・・・・・

「遅い幸せ」は、

どうしようもないやさぐれだ弟の為に、

嫁ぎ先から離縁し出戻った姉が、

前科持ちの桶職人から救われる物語。

弟が博打場からの借金を返す為に

姉が身を売るよう脅される所を

前科持ちの桶職人が救います。

どんな前科だったのか、

博打場の親分に仁義を切る啖呵により、

姉は救われます。

・・・・・・・・・・・・・・・

貧しいながらも、

後悔と諦めのままで終わらない

救われる物語でした。



いつもありがとうございます

藤沢 周平  「彫師伊之助捕物覚え・消えた女」

藤沢 周平 

「彫師伊之助捕物覚え・消えた女」

2019062401.png
いゃ〜!

久々に面白いハードボイルドでした‼️

読みながらワクワクと言うか、

先を急ぎたくなる持って行き方は、

流石に藤沢周平さん!

伊之助は元岡っ引きでしたが、

現在は彫師として普通の暮らしをしてる男です。

ある日、岡っ引きの時の親分に

「行方不明になった娘おようを探して欲しい」と

依頼を受けます。

父と娘二人で暮らしていましたが、

娘盛りの時におようはヤクザな男と駆け落ちをしてしまい、

父親との縁を切っていました。

ところが、ある日父親の元におようから文が届きます。

「おとっつぁん たすけて」

たったこれだけの文から、

伊之助の探索が始まります。

ここからの緻密な探索行動が、

実はおよう探しだけではない、

大きな闇の悪党へとつながって行きます。

面白い!

マジで面白いです。

藤沢周平さんのストーリーだけではない

情景や感情表現の秀逸さが、

読みてを飽きさせず、

奥深い動きや流れにワクワクします。

終盤では、深い失望が描かれます…

しかし、そこからの奇遇が伊之助を走らせます。

そして…

最後の最後に描かれた一行が、

胸がいっぱいになるような

グッと来る描写になっています。

伊之助シリーズは3巻出ています。



いつもありがとうございます

藤沢 周平  「時雨のあと」

藤沢周平

「時雨のあと」

201906時雨のあと

1.雪明かり

2.闇の顔

3.時雨のあと

4.意気地なし

5.秘密

6.果し合い

7.鱗雲

・・・・・・・・・・・・・・・

「果し合い」は、

仲代達矢さんで映像化されていましたね。

年老いた部屋住みの厄介者大叔父(仲代達矢)の

身の回りの世話をしてくれる優しい姪の美也の為に、

切腹覚悟の一世一代の果し合いに向かうお話。

後悔ばかりだった不遇の自分の人生の最後を、

姪と想いを寄せ合う下級武士の為に

行動を起こす潔い武士の姿を描いています。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「雪明かり」は

山田洋次監督の「隠し剣鬼の爪」の元になっています。

父の後妻の連れ子由乃と

養子に出された血の繋がりのない兄の絆の物語。

嫁に行った由乃ですが、

婚家でのあまりに惨めな扱いの事実を知った兄が、

婚家から無理やり背負って

由乃を救い出すシーンが泣けます。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「時雨のあと」は、

兄を信じ切っている妹の姿が本当に泣けます。

仕事中の怪我により

兄は日雇いの苦しい暮らしをしており、

だんだんと憂さ晴らしのために

博打にのめり込みます。

妹は兄が怪我で仕事がうまく行かない事で

自ら身を売って兄を助けます。

博打に使う為のお金をせびりに来ても、

妹は兄が飾り職人としてお金が必要なのだと

借金してまで兄に渡します。

そんな姿を日々見ていた博打場の頭に

きつく諭され妹の為に心を入れ替える兄。

頭に諭される中で、

兄は小さい頃を思い出します。

両親に死なれ、兄妹が親戚に預けられた時、

兄が親戚に叱られ、

晩飯抜きだといわれ泣いていた時に、

妹が兄に寄り添います。

親戚は妹を呼びに来て飯を食えと言いますが、

妹は頭を振って兄から離れません。

そして

「兄ちゃんが食べないから、

あたいも食べない」と

兄の肩につかまっていた事を思い出し、

涙をこぼし、いままで妹を騙していたことを

後悔するのでした。

「時雨」って、涙ぐむとか、

涙を落とす事という意味もあるんですねぇ。

兄の涙のあとは、

妹のために向かう事を意味しているのでしょうか…

とても素敵な物語でした。

・・・・・・・・・・・・・・・

「意気地なし」も良かったなぁ。

女房に死なれ、乳飲み子を抱えながら

情けなく背中を丸めるだけの伊作と

赤ん坊の世話をする同じ長屋に住むおてつの物語。

男手一つで乳飲み子を育てることは

並大抵ではありません。

仕事をしながら乳や夜泣き、洗濯に飯…

途方に暮れ、

赤ん坊と心中しようとする伊作を

おてつが叱り飛ばします。

そして・・・

伊作に向かって言うおてつのセリフが、

二人の未来と赤ん坊を救う事になります。

暗いばかりではない

慎ましくも穏やかで幸せを思わせる物語に

ほろっとしました。



いつもありがとうございます

藤沢 周平  「夜消える」

藤沢周平

「夜消える」

201906夜消える

1.夜消える
2.にがい再会
3.永大橋
4.踊る手
5.消息
6.初つばめ
7.遠ざかる声

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藤沢周平さんは凄いですねぇ。

女の心の声、

男の独りよがりの弱さ、

子供の目を通して見る家族の姿、

亭主とかみさんの悲哀などの表現が

読み手の中に入って来て、

ため息まで聞こえて来そうです。

中でも「消息」が良かったです。

・・・・・・・・・・・・・・
「消息」

お店奉公の亭主作次郎が

五年前理由も言わず出て行ってしまいます。

5年ぶりに見かけた亭主作次郎は、

次から次へと引越しを繰り返していました。

やっと見つけ出した亭主の作次郎は、

お店の若旦那と番頭から

店の金500両もの使い込みの身代わりをさせられ

追い出されていました。

お上が行方を捜していると因果を含められた為、

居所を転々とするしかなかった作次郎…

作次郎への非道な扱いに、

おしなはお店の大旦那に直談判します。

若旦那の不始末を押し付けた事を、

詫びられましたが、

元の店に戻る気は無く、

作次郎とおしなと子供の3人は、

住まいも変え改めて一からやり直すのでした。

5年の間のおしなの我慢と作次郎の辛さが、

女房として女として親としての強さを

しっかりと描いていて引き締まる物語でした。



いつもありがとうございます

藤沢 周平  「日暮れ竹河岸」

藤沢周平

「日暮れ竹河岸」

再読。

201906藤沢周平

安藤広重の浮世絵を借景にした

数ページの短い19の物語。

男と女、親と子、夫婦、友と友、

そして一人の男、一人の女…

それぞれの悲哀を

目の前の浮世絵を眺めるが如く描いています。

悲しみ、切なさ、孤独な「思い」や「想い」を、

美しい風景描写で淡く優しく彩っています。

中には、寄り添う人への有難さと

前向きさも描いている物語もあり

(桐畑に雨のふる日)

読み手はフワッと心が落ち着きます。

藤沢周平さんの描写の細やかさと美しさに、

ストーリーだけではない、

文章表現に読後静かな感動を味わえました。



いつもありがとうございます

藤沢 周平 「夜の橋」

2019041801.png

9つの短編。

表題の「夜の橋」

博奕に溺れた民次のせいで夫婦別れしたおきくが、

半年ぶりに民次を訪ねてきます。

嫁に欲しいと言っている人がいると、

民次に相談に来るのですが、

心の底では、民次とやり直したい、

再婚話を止めて欲しいと思うおきく・・・

もう自分には関係ないと

一旦は突き放す民次でしたが、

相手が博打にはまる番頭で、

おきくを金づるにする魂胆であることを突き止め、

危険を顧みず相手の男と対峙します。

どん底に落ちて改めて当たり前の暮らしに

目覚める民次。

おきくの民次を想う気持ち・・・

気持ちを受けとめ体を張る民次・・・

二人の再起の物語でした。

・・・・・・・・・・・・・・・



いつもありがとうございます

藤沢 周平 「蝉しぐれ」 


蝉しぐれ (文春文庫)蝉しぐれ (文春文庫)
(1991/07)
藤沢 周平

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清流とゆたかな木立にかこまれた城下組屋敷。
普請組跡とり牧文四郎は剣の修業に余念ない。
淡い恋、友情、そして非運と忍苦。
苛烈な運命に翻弄されつつ成長してゆく少年藩士の姿を、
精気溢れる文章で描きだす待望久しい長篇傑作!

・・・・・・・・・・・・・・・

下級武士の少年から成長する物語。

淡い恋や疑惑の切腹による父親の死。

まだ15歳で家督として母を守り家を守り。

苦難と忍耐のはてに得たものは・・・

・・・・・・・・・・・・・・・


「いちめんの青い田圃は

早朝の日射しをうけて赤らんでいるが、

はるか遠くの青黒い村落の森と接するあたりには、

まだ夜の名残りの霧が残っていた。

じっと動かない霧も、

朝の光をうけてかすかに赤らんで見える。

そしてこの早い時刻に、

もう田圃を見回っている人間がいた。

黒い人影は膝の上あたりまで稲に埋もれながら、

ゆっくり遠ざかって行く。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・


いつもありがとうございます

藤沢 周平 「たそがれ清兵衛」


たそがれ清兵衛 (新潮文庫)たそがれ清兵衛 (新潮文庫)
(2006/07/15)
藤沢 周平

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下城の太鼓が鳴ると、いそいそと家路を急ぐ、
人呼んで「たそがれ清兵衛」。
領内を二分する抗争をよそに、
病弱な妻とひっそり暮してはきたものの、
お家の一大事とあっては、秘めた剣が黙っちゃいない。

その風体性格ゆえに、
ふだんは侮られがちな侍たちの意外な活躍を描く、
痛快で情味あふれる異色連作全八編。

・・・・・・・・

八編それぞれの作品名が面白いですねぇ。

1.たそがれ清兵衛
2.うらなり与右衛門
3.ごますり甚内
4.ど忘れ万六
5.だんまり弥助
6.かが泣き半平
7.日和見与次郎
8.祝い人助八

・・・・・・・・

「たそがれ清兵衛」

出世や家禄増を願う事より、

一番大切な妻の無事を願う清兵衛。

優しいとか愛情深いという表現では物足りない清兵衛の姿に、

人として生きて行く上で一番の幸せが何かを

教えてもらった思いでした。

男達への応援歌として読むも良し、

夫婦の愛情のあり方として読むも良し。



いつもありがとうございます

藤沢 周平 「暁のひかり」


暁のひかり (文春文庫)暁のひかり (文春文庫)
(2007/02)
藤沢 周平

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壷振りの市蔵は、賭場の帰り、
大川端で竹を杖に歩く稽古をする足の悪い少女に出会う。
ひたむきな姿に、
ふとかたぎの暮らしをとりもどしたいと思う市蔵だが、
所詮、叶わぬ願いだった―。

江戸の市井を舞台に、
小さな願いに夢を見ながら、
現実に破れていく男女の哀切な姿を描く
初期の傑作短篇6篇を収録。

・・・・・・・・・・・・

「暁のひかり」
「馬五郎焼身」
「おふく」
「穴熊」
「しぶとい連中」
「冬の潮」

・・・・・・・・・・・・

「暁のひかり」

 今にして思えば、
おことは市蔵がもう戻ることが出来ない世界から
声をかけてきた、
たった一人の人間だったように思うのである。

おつなや、小梅の伊八、富三郎がいて、
油煙を煙らせる賭場があるところではなく、
人々が朝夕の挨拶をかわしたり、
天気を案じたり、
身体のぐあいを訊ね合ったりし、
仕事に汗を流し、
その汗でささやかなしあわせを購う(あがなう)場所。
そこに戻ることが、
どんなに難しいかは、
さっき会ってきた親方の源吉を思い出せばわかる。




いつもありがとうございます

藤沢 周平 「麦屋町昼下がり」


麦屋町昼下がり (文春文庫)麦屋町昼下がり (文春文庫)
(1992/03)
藤沢 周平

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不伝流の俊才剣士・片桐敬助は、
藩中随一とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎と、
奇しき宿命の糸にむすばれ対峙する。
男の闘いの一部始終を緊密な構成、
乾いた抒情で鮮烈に描き出す表題秀作の他、
円熟期をむかえたこの作家の名品を三篇。
時代小説の芳醇・多彩な味わいはこれに尽きる
、と評された話題の本。


・・・・・・・・・・・・・・・
1.「麦屋町昼下がり」
2.「三ノ丸広場下城どき」
3.「山姥橋夜五ツ」
4.「榎屋敷宵の春月」
・・・・・・・・・・・・・・・

武士物で闘いの場面の表現がさすがの藤沢周平。

市井物が好きなので、ななめ読みしましたが、

臨場感は伝わりました。

血なまぐさいばかりではなく、

ちょっとユーモアもありました。

「麦屋町昼下がり」が良かったかな。


いつもありがとうございます

藤沢 周平 「夜消える」


夜消える (文春文庫)夜消える (文春文庫)
(1994/03)
藤沢 周平

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酒びたりの父親が嫁入りの邪魔になると娘に泣きつかれた母親、
岡場所に身を沈めた幼馴染と再会した商家の主人、
五年ぶりにめぐりあった別れた夫婦、
夜逃げした家族に置き去りにされた寝たきりの老婆…。
市井に生きる男女の哀歓と人情の機微を鏤骨の文章で綴る珠玉の短編集。
単行本未収録の名品七篇。


・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.夜消える
2.にがい再会
3.永代橋
4.踊る手
5.消息
6.初つばめ
7.遠ざかる声
・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.夜消える
6.初つばめ
が良かったです。

「夜消える」は

身内の為に苦労してきた事と引き換えにして来たものへの

やるせなさ・・・

戻る事の出来ない時間・・・

老いて行く事へのあきらめ・・・

なんとももの悲しさも感じます。

「初つばめ」は以前も読んでいたのですが、

再読するたびにちょっとずつ印象が違う読後感です。

その時々の自分の状況で

読み方が変わってくるのでしょうねぇ。

可哀そうとかみじめとか、

悲しいという哀れさだけで終わらせず、

強さと幸いを呼び込む女性を描いているのが救われる思いです。


いつもありがとうございます

藤沢 周平 「闇の穴」


闇の穴 (新潮文庫)闇の穴 (新潮文庫)
(1985/09/27)
藤沢 周平

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わたしを棄てた男が帰ってきた。
大江戸の裏店でそっとともした灯を吹き消すような暗い顔。
すさんだ瞳が、からんだ糸をひくように、
わたしの心を闇の穴へとひきずりこむ――。
ゆらめく女の心を円熟の筆に捉えた表題作。
ほかに、殺人現場を目撃したため、
恐怖心から失語症にかかってしまった子供を抱えて働く寡婦の
薄幸な生を描く「閉ざされた口」等、
時代小説短編の絶品七編を収める。


・・・・・・・・・・・・・・・・
1.木綿触れ
2.小川の辺
3.闇の穴
4.閉ざされた口
5.狂気
6.荒れ野
7.夜が軋む
・・・・・・・・・・・・・・・・

3.闇の穴
5.狂気
6.荒れ野
7.夜が軋む

人の闇の部分を物語ってちょっと怖いです・・・

再読したい作品ではないかな・・・

ミステリーっぽくて読後、読み手をぞわ~ってさせます。

際限のない闇ほど恐ろしいものはないですね・・・

1.木綿触れ
2.小川の辺
4.閉ざされた口

この三作品は哀しかったり切なかったり、

でも潔かったり前向きだったりと

いつもの藤沢作品という感じで良かったです。



いつもありがとうございます

藤沢 周平 「日暮れ竹河岸」


日暮れ竹河岸 (文春文庫)日暮れ竹河岸 (文春文庫)
(2000/09)
藤沢 周平

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戸の十二カ月を鮮やかに切りとった十二の掌篇と
広重の「名所江戸百景」を舞台とした七つの短篇。
それぞれに作者秘愛の浮世絵から発想を得て、
つむぎだされた短篇名品集である。
市井のひとびとの、陰翳ゆたかな人生絵図を
掌の小品に仕上げた極上品、全十九篇を収録。
これが作者生前最後の作品集となった。


どうしてこうも切ない男と女の人生があるのか・・・

もうやり直せない人生に後悔する人・・・

やり直し歩み出せるのに足踏みしてしまう人・・・

暮らしに追われ自分を諦める人・・・

それぞれの思いと想いが7~8ページだけの短篇の中に

凝縮されて秀逸です。

風景が目に浮かびしばしタイムスリップできました(笑)

装丁がとても素敵です。



いつもありがとうございます

藤沢 周平 「雪明り」  


新装版 雪明かり (講談社文庫)新装版 雪明かり (講談社文庫)
(2006/11/16)
藤沢 周平

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女性の捉えかたが秀逸な傑作短編8本を収録美しく心優しい女の哀れ、
世の片隅で生きる博徒のせつなさ。武家社会の終息を予感する武士の慨嘆。
小さくも己の世界を懸命に生きる人々の姿を暖かく描く短編集!

貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。
深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。
武家社会の終焉を予想する武士の慨嘆。
立場、事情はさまざまでも、
己の世界を懸命に生きる人々を、
善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、
巧みな構成と鮮やかな結末とあいまった魅惑の短編集。

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1.恐喝
 
 三つの時に両親に死なれて、伯父の勘七に引き取られた。勘七は早死にした妹が残したたった一人の子供を不愍(ふびん)がったが、伯母のおはつは、なぜか執拗に竹二郎を苛めた。おたかの下の麻吉が、竹二郎と同年だったことも理由だったようである。もっともそれはかなり大きくなってから気づいたことである。鮮明にひとつの記憶がある。勘七はうだつの上がらない左官の下職だったが、おはつはその頃から近くの小料理屋に、通いの仲居で勤めていた。商売柄おはつは毎晩のように酔って帰った。そして四半刻もすると、大てい近所構わずの喧嘩が始まり、喧嘩になるとおはつは、決まり文句のように竹二郎を飯ばっかり喰らう厄介もの、と罵った(ののしった)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.入墨
 
 突然瀬戸物が割れる音が、静かな店の中に響いた。卯助が立ち上がっていた。卯助の右手には、底が欠けて鋭い割れ口を見せている銚子が握られている。不思議なものをみるように、乙次郎は近づいて来る卯助を眺めて声をかけた。「どうかしたか、じいさん。これはお遊びじゃねえんだ。近寄ると怪我するぜ」だが卯助はゆっくりした足の運びを止めなかった。二人に近づくと、足をひらき腰をためるように落として、銚子を逆手に持ち替えた。「お父っつぁん、やめて」お島が叫んだのと、乙次郎が牧蔵を突き離して、卯助に向き直ったのが同時だった。卯助はそのまま踏み込んでいた。

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3.潮田伝五郎置文

 潮田は、どういうわけで勝弥に果たし合いなど申し込んだのだろう。七重にはいくら考えても解らない。潮田伝五郎は、ある時期弟のまわりにいた男たちのなかで、一番目立たない人間だった。辛卯の年の暮、屋敷から救い出してくれたのが、伝五郎だと知ったときは驚いたが、偶然だろうと思っていた。果たし合いは、伝五郎の方から申し込んだと聞いている。どうのような理由からそうなったかを語る者は誰もいない。七重に解っているのは、一人の男が、いまの七恵にとって大切な人間の命を奪ってしまったことだけである。・・・あのような眼でみられるいわれはない。七重は、憎悪を含んだ眼で自分を見つめてくる潮田の老母に、憤りを感じた。風もない、穏やかな日射しの中で、二人の女は、なおしばらくきつい眼でお互いを見合った。

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4.穴熊

 「町人」刀を下げたまま、黒い影が引き返してきた。塚本伊織だった。・・・斬られる。と浅次郎は思った。「お前も、この女と寝たか」「へい」浅次郎は顫(ふる)える歯を噛みしめて、辛うじて答えた。「申し訳ござんせん、旦那」「お前が悪いわけではない。悪いのはこの女だ」塚本は暗い声で言った。月明りを背にしていて、表情は見えなかった。「だが、二度とわしの前に顔を出すな。今度出会ったときは斬る」塚本は言うと、くるりと背を向け、橋に戻るとしゃがみ込んで、倒れている佐江の身体を抱き起こし、背負った。「旦那」浅次郎は橋に駆け上がった。血の匂いが鼻を衝いてきた。橋板は夥しい(おびただしい)血に黒く染まっている。「斬っちまったんですかい」言ったとき、浅次郎は不意に涙がこみ上げてくるのを感じた。涙声で言った。「何も殺さなくとも、よかったんじゃありませんかい。むごいことをなさる」歩きかけていた塚本が、ゆっくりと振返った。「これは、わしに斬られる日を待っていたのだ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.冤罪
 
 ・・・ああして、兄はこれからも城に通い続けるのだ。と源次郎は思った。妻子を養うためには、同僚を過失で死なせたことにも、死んだ同僚が冤罪を着て家を潰されたことにも、眼をつぶり、口を噤み(つぐみ)、ひたすら事なかれと通い続けるのである。そういう兄を、非難出来ないのを、源次郎は感じる。兄の生き方は、どこかもの哀しいが、源次郎の非難など受け付けない強靭なものを秘めているようにも思われた。まるめた背が、源次郎が七つの時に死んだ亡父に似てきた、と思う。その背に、兄は小禄ながら五代にわたって続く堀家の、すっしりとした重味を背負って、城と屋敷の間を往復している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6.暁のひかり

 今にして思えば、おことは市蔵がもう戻ることが出来ない世界から声をかえてきた、たった一人の人間だったように思うのである。おつなや、小梅の伊八、富三郎がいて、油煙を煙らせる賭場があるところではなく、人々が朝夕の挨拶をかわしたり、天気を案じたり、体のぐあいを訊ね合ったりし、仕事に汗を流し、その汗でささやかなしあわせを購う(あがなう)場所。そこに戻ることが、どんなに難しいかは、さっき会ってきた親方の源吉を思い出せばわかる。

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7.遠方より来る

 ・・・しかし、気楽だろうな。と思った。喰うためには、何かしなければならないだろうが、それは城に雇われている人間も一緒である。家もなく妻子の煩(わずら)いもないというのは気楽なものかも知れないと思った。ただ人は、その孤独に耐えられないときがあるだろう。曾我平九郎が、この家に立ち寄ったのもそういうことで、いっとき人恋しかっただけかも知れぬ。

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8.雪明り
 
 ・・・由乃は、跳べと言っている。そうやって、由乃と夫婦になるしかないのだと思った。汚物にまみれ、骨と皮だけになった由乃を宮本の家から救い出したときから、そのことはわかっていたのだった。そして由乃もそれをわかっていたのだ、と思った。・・・江戸に行くのだ。菊四郎は坂に背を向けて、ゆっくり歩きだした。

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いつもありがとうございます

藤沢 周平 「初つばめ」

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驟り雨(はしりあめ)

遅いしあわせ

運の尽き

泣かない女

踊る手

消息

初つばめ

夜の道

おさんが呼ぶ

時雨みち(しぐれみち)


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「初つばめ」


誰の為に自分の体も犠牲にして生きて来たのか・・・

そんな思いをぐっとこらえ必死に働いて来たなみ・・・

弟の友吉が奉公するようになると、肩身の狭い思いをさせたくないと

勤め先を替えるなみ・・・


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友吉が連れてきた「おゆう」と言う娘と

なみの所へ挨拶に来る場面・・・

なみの思っていた二人とはかけ離れていた。

おゆうの高価な身なりに所作。

顔もほとんど上げず、友吉と共に挨拶だけして帰ろうとする・・・

友吉もすでに姉の存在は「結婚の報告」をする身内との態度・・・

二人は二人のこれからの人生があり、姉に対しては身内としてだけの

間柄であり、できればこれからはかかわりたくない存在となっていた。

なみは二人の前では何を話すにも壁があった・・・

長年、酒飲み相手の仕事をして来たなみの風体は、

あまりにもおゆうとは違い過ぎていた・・・

めでたい事だからと祝い酒を出そうとすると

おゆうは酒が嫌いだからと断られ・・・

では煮物と焼き魚だけの食事だが用意したから食べてくれと勧めると、

今から二人だけで料亭で食事して帰るからと断られ・・・


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結局は体を売って稼いで来た水商売の身内が迷惑な存在であることを

二人の顔付で理解したなみは、酒をあおり、

「ぐずぐずしてないで帰りなよ。

いかにも、あたしゃ、男に身を売って生きて来た女さ。

友吉だって、いまとなっちゃこういう身内が迷惑なんだ。

おまえらの前に顔を出さなきゃいいんだろ。安心しな。」

と啖呵を切る。


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三十四の女が、たった一人残されちゃったねと思った・・・

人っ子一人見えないさびしげな道に、ぽつんと立っている自分の姿が見えた。

その姿はこっちに背をむけて、方途に迷っているようでもある・・・


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愚痴を言ってもどうにかなるわけでもなく、

現実を受け入れ、なだめすかしてやっとここまで生きて来たなみにとって

生き甲斐を失った喪失感の大きさをどのように折り合いをつけたら良いのか。

弟が姉に対して、これまでの苦労をねぎらう言葉や態度であるなら・・・

と読みながら何度も思いました。

物語として読むのではなく、現実としてもこのような報われない思いや

状況はあるだろうなぁ・・・と思いながら・・・



しかし、この物語は、ここで終わらない。

なみが弟友吉と娘が挨拶に来るとの事でお酒やおかずを買っているときに、

今年初めてのつばめを見て、「何かいい事がある」と思っていたことが、

実は弟の事ではなかった・・・

自分の幸せを考えずに生きて来たなみにも、

本当の意味での幸せがやって来ることになるのです・・・





蝶が舞うリースの時計
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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