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中山 有香里  「疲れた人に夜食を届ける出前店」

2023041202.png

何気ない簡単なレシピなんだけど、

簡単だからやり易くて優しい気持ちになる物ばかり。

疲れている時はねぇ…

惣菜やお弁当で済ませたいものです…

だけど少し気持ちを立ち上げて、

台所に立って自分が出来る料理をする…

何を作ったら良いか迷った時などに

この本が優しく手引きしてくれる…

可愛いイラスト入りで作り方も丁寧で優しい。

早速ポトフかクリームシチューあたり作ってみようかな。





いつもありがとうございます
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中島 京子 「花桃実桃(はなももみもも)」

2021032402.png
会社勤めを辞めた43歳シングル女子「茜」。

亡くなった父親の遺産であるアパートの大家となります。

昭和の香り漂う「花桃館(はなももかん)」。

へんてこな住人と茜の触れ合いを

ほっこり・クスっと描いています。

表紙が綺麗。

これだけでも手に取りたくなりますねぇ。

デザインて貴重。

おしゃれだから本棚にちょいと飾って置きたくなります。

それぞれの住人を短編で描いているので

花桃館自体に趣が出て、のぞきに行きたくなります(^^)

名前の通り花々がアパートを彩っているのも素敵。





いつもありがとうございます


中島 京子 「樽とタタン」

樽とタタン20210225
3歳から12歳まで小さな喫茶店に預けられた少女「タタン」。

訪れる客をタタンの目線で語られる物語。

後に小説家となった女性が幼い頃を語る9つのお話。

・・・・・・・・・・・・

訪れるお客様たちのそれぞれの人間模様が

タタンの幼い目を通して描かれているので

大人の汚い部分や闇も

ふわ~っと靄がかかるように

やわらかく表現されています。

・・・・・・・・・・・・・・・

そんな中でも

「ぱっと消えてぴっと入る」と言う章が

とても印象的でした。

人の死についての

おばあちゃんの考えが素敵です。

息子が戦死。

南のどこかの戦地から帰って来なかった息子。

骨も戻って来なかった・・・

息子はどこでどうしてどんな思いで亡くなったのか・・・

そんなおばあちゃんは、

「死んだら、ぱっと、電気が消えるみてえに、

生きてたときのことがみんな消えるんじゃねぇかなと、

おれは思ってんだ。」

と言います。

・・・・・・・・・・・・・

「マサオは戦地から帰ってこなかったしさ。

骨も戻ってこなかったんだで。

そうするとマサオは、

南の島のどこかで死んで、

六文銭も持たずに三途の川を渡ろうとして

着物をがはがされたんでべえか。

それとも南の島のどこかで、

いまでも帰りてえなぁと思ってるんだべえか。

そういうことを考えるとな、

ぱっと電気が消えるみてえに

死んでしまうんでなきゃあ、

理屈に合わねえと、おれは思ってんだ。」

・・・・・・・・・・・・・・

「マサオがどこかで、

いまでも帰りてえなぁと思ってたら、

あんまり、そりゃあ、かわいそうだんべえ。

ぱっとこう、さっとこう、

死んでしまうんじゃあないとなあ」

・・・・・・・・・・・・・・

「人が死ぬだろ。

そうすると、人はもう、そのときに、

電気が消えるみたいに、

気持ちや痛みやなんかも全部ぱっと消えて、

楽になるんだ。」

・・・・・・・・・・・・・・

「死んだ者は、

地獄へ行ったり、

そんなつれえことやなんかは、

ねえはずだと、おれは思ってんだ。

生きてるうちに、

さんざんつれえことがあって、

あの世に行ってもいろいろあるんじゃあ、

理屈に合わねえ」

・・・・・・・・・・・・・

「死んだ者は、

もう、苦労はなくなる。

痛みも、つれえことも、なくなる。

それはみんな、生きてる者の中に、

ぴっと入ってくるんじゃねえかなと思ってんだ。」

祖母はまた、とんとんと、

自分の胸を指でつついた。

・・・・・・・・・・・・・・

おばあちゃんの息子への

悲しくも思いやる死生観に

泣けました・・・。









いつもありがとうございます

中島 久枝  「日本橋牡丹堂菓子はなし六巻・はじまりの空」

20201014はじまりの空

18歳になる小萩のお菓子作りを通して成長するシリーズ物。

・・・・・

和菓子屋「二十一屋」で働く小萩18歳。

暖簾に牡丹を描いている事から、

「牡丹堂」とも言われているお店。

・・・・・

4つの物語。

敵対する輩も出て来ますが、

牡丹堂で働く一人一人がとても仲が良くて家族同然。

お客からの依頼を受けたお菓子作りを全員で考え作りだす。

・・・・・

ある日、10歳になる少年「清吉」を

口入屋から斡旋されて雇います。

幼くして過酷な生い立ちに日々びくびくする清吉を

牡丹堂の主人はじめ、

小萩も温かく見守り、受け入れます。

清吉が本当に安心して

今までの暮らしから逃れる事が出来るのか・・・

・・・・・

物語の1編に「珈琲」が出て来ます。

江戸時代、すでに珈琲を飲んでいる藩主がいたことで

珈琲に合う和菓子を頼まれる小萩たち。

飲んだことも観たこともない珈琲に

小萩たちの戸惑い悩みながらも挑戦する職人技が

冴えわたります。

・・・・・

「珈琲」の実は赤くて小さくて可愛い。

枝に連なる真っ赤なコーヒーの実を現しているところから、

『珈』は髪に挿す玉かんざし、

『琲』はかんざしの玉をつなぐ紐のことだそうで、

蘭学者の宇田川榕菴(ようあん)が名付けたとの事。

・・・・・

猫のお話も出て来ます。

飼い猫「みいちゃん」がいなくなって元気がない

一人暮らしのお茂さん。

近所のお友達がお茂さんに元気になって欲しいと、

小萩に和菓子を依頼します。

出来上がったのは色々な猫の顔で作ったお饅頭。

喜ぶお茂さんは、小萩に一緒に「みいちゃん」を

探して欲しいとお願いし、近所中を探し回ります。

そして、やっと見つかった「みいちゃん」は、

寂しい暮らしをおくっていたお茂さんの為に

ある福をもたらすのでした(^^)

・・・・・・・

ほのぼの優しい物語4編でした(^^)






いつもありがとうございます

乃南 アサ  「すずの爪あと」

20200605乃南アサ

短編集です。

解説で「モダンホラー」と表現されていました。

人の心の闇を描いていて、

もうこう言う手合いの本は好きになれなくなりました。

読後が暗くなる…

そんな中、

表題の「すずの爪あと」は、

猫目線で語られた救いのあるお話でした。

野良猫「ふく」が拾われ、

幸せな暮らしをしていた矢先に震災が起こり、

飼い主家族と離れ離れになり、

また野良猫に戻る「ふく」でした…

飼い主はその後どうなってしまったのか…

逞しく生きる「ふく」にホロッとします…




いつもありがとうございます

猫田 佐文(ねこた さもん)   「ひきこもりを家から出す方法」

202020701.png

中学生から10年間ひきこもった

景山俊冶君が抜け出すまでのお話。
・・・・・
なぜひきこもりになってしまったのか・・・
・・・・・
中学校での同級生のたった一言が原因でした・・・
・・・・・
「アプリ・ラ・ポルタ」。
日本語で「扉を開けて」と言う
ひきこもりからの手助けをするプロ集団は
メイドの恰好をして家政婦として
俊冶のひきこもりからの手助けをします。
・・・・・
ひきこもりではなくとも
社会・家庭においての心に刺さる、
胸を打つ、考えさせられ、反省させられ、
勉強になる言葉が沢山出て来ます。
・・・・・
「人は共感なしにコミュニティを作り得ません。
コミュニティを作る上で
最も手っ取り早く強力なのが趣味です」
・・・・・
「母親と比べて父親は
自分の意見を変えない傾向が強いです。
信念と言えば聞こえがいいですが、
柔軟性がないとも言えます」
・・・・・
「父さんの声が聞こえるたびに、
僕は昔、勝手に部屋に入られて
物を捨てられた記憶を蘇えらせていた。
おまえのせいでひきこもりになったんだと叫びたくなる」
・・・・・
「正論を言い続けるのはやめてください。
ひきこもりの方のほとんどは
自分に非があると自覚しています。」
・・・・・
「正論は論理です。
そこに感情はありません。
社会的弱者を一方的に非難するのは、
いじめと変わりません。
社会は動いても家族は動かないです。」
・・・・・
「大抵の方は他人に裏切られた過去があるから
警戒するのです。
その不安を取り除く為には
お父様の方針がぶれない事が重要です。」
・・・・・
「外で傷ついても
家で癒されるのならまた戦うことができます。
そこまでいけばひきこもりからの脱却は
見えてきたも同然でしょう」
・・・・・
「根気強く話しかけ、
褒めてあげ、認めてあげ、
自信がつけばあとは本人が動き出すものです。」
・・・・・
「そもそも、どうして人はひきこもるのでしょう?
それは社会に居場所がないせいです。」
・・・・・
「人と交流し、
信頼関係を築く。
これがゴールだとわたしは思っています。」
・・・・・
「本当は分かってる。
やらなきゃいけないんだ!
僕は自分の足で立たなきゃいけないんだよ!
だけどどうやって?
やり方を教えてくれよ!
学校にも行ってない。
社会にも出てない。
友達もいない。
教えてくれる人もいなければ、
思ってくれる人もいない。」
・・・・・
「それは、僕が必要がないからだ。
この世界で僕を必要としてくれる場所なんて
どこにもないんだ。」
・・・・・
家政婦の「クリス」がやって来た事によって、
俊冶、そして両親に大きな変化が起こります。
・・・・・
決して否定しない。
笑顔で自然に接する。
常に俊冶を思い褒めて安心させる。
・・・・・
俊冶が少しずつ社会へ足を出し始める時の両親、
特に父親の役割が大きいです。
息子を思う意識が自分本位であった事を
クリスによって教えられます。
・・・・・
結構長い物語ですが、
流れと読みやすさでいっき読み出来ます。
・・・・・
ひきこもりと言うテーマですが、
家族の在り方と人とのかかわり、
社会とのかかわりとしても多くの人が
共感できる静かな感動物語でした。



いつもありがとうございます

永井 路子 「北条政子」

永井路子 北条まさこ

平氏を滅ぼした源頼朝が征夷大将軍に任じられ、

鎌倉幕府は始まる。

実際に実権を握ったのは北条一族。

頼朝の妻北条政子の目を通して権力争いの確執と苦悩を描いている。

頼朝の死後「尼将軍」と呼ばれ御家人の尊敬を集めていた政子。

承久の乱では、上皇側につこうとした御家人を集めて演説をする。

頼朝将軍が武士の為の幕府を作った事を忘れてはいけない。

身分も保証されず、ひどい扱いを受けていたではないか!

土地を守る事ができるようになったのは誰のおかげであるか。

というような演説をしたと言われている政子。

婚期の遅れた娘特有のあせり・・・

父親の再婚へのショック・・・

感情豊かで嫉妬深い政子は、ごく普通の女性のようだ。

頼朝の鎌倉幕府の成立を支え続けた政子。

大変読みやすく引き込まれた小説でした。



いつもありがとうございます

新田 次郎  「氷原・非常のブリザード」

2019021303.png

9つの短編集です。

この中の「神通川」を読みました。

日本四大公害

「水俣病」・「新潟水俣病」

「四日市ぜんそく」・「イタイイタイ病」の中の

「イタイイタイ病」について描いています。

富山県神通川流域に

長い年月垂れ流されていたカドミウム。

汚染された土地と水で引き起こされた病気の悲惨さ・・・。

特に女性に多く発症したそうです。

腎機能障害を起こし、

骨が軟化して折れてしまう病。

布団をかける事も出来ない程に

体の中の骨が折れるのですが、

それはそれは過酷で非常な痛みを伴い、

歩く事も動く事も出来なくなり、

寝たきりとなった後は、

激しい痛みを伴いながら衰弱死したそうです・・・

終戦後、

故郷富山に復員した熊野先生が、

開業医として15年もの歳月をかけ、

私財を投げ打ち原因究明と

治療に尽力したご苦労が描かれています。

公害認定されるまでの過程での

誹謗中傷を受けながら、

備州大学教授と共に闘い、

国の認定までこぎつけます。

戦争で衛生兵として任務につきましたが、

多くの負傷兵を助ける事が出来なかった苦しい思い・・・

戦地から引き上げる時に

「自分も連れていってくれ!」と

ジープにすがりつく負傷兵たちを、

銃剣で追い払わざるを得ない状況に

生涯心を痛め苦しみます。

熊野先生がイタイイタイ病患者を救う事で、

戦地で亡くなった多くの戦友たちへの

償いの思いも込め、

必死に病気解明に努める姿が描かれています。

新田次郎さんの

目に浮かぶ風景や

人の思いの情景が、

切々と伝わる素晴らしい作品でした。



いつもありがとうございます

額賀 澪(ぬかが みお)  「ウズタマ」

2019020601.png

3歳の時に母親を目の前で殺された周作28歳。

加害者は当時18歳の大学生皆瀬悟。

皆瀬は周作の子守りや父親と母親の代わりに
家事を手伝ってくれて家族同然だった。

なぜ母親を殺したのか・・・

原因は何か・・・

脳梗塞で倒れる前に父親が周作に渡した通帳には、
320万以上もの額が定期的に振り込まれていた。

誰が何の為に振り込んだのか?

倒れて意識快復が難しい入院中の父親に
聴くことが出来ない・・・

周作は自ら本当の事件原因を探ることに・・・

周作と皆瀬・・・

父と母・・・

周作は父や母よりも皆瀬に懐いていた。

そんな皆瀬が母親を殺したとは思えない・・・

家族がいない皆瀬。

家族同然に周作を可愛がる皆瀬。

時系列が殺害当時→現在→殺害時→現在と
繰り返していますが、
戸惑うことなくストーリーが展開していきます。

ポイントとなるのが「うずらの卵」

周作と皆瀬の家族ではない二人の絆と罪の償い、
そして家族以上の思いやりが描かれています。

読みやすくて流れもスムーズです。

周作の心の声と行動がどんどん強くなって行き、
男らしくなる所がカッコいいですヨ。



いつもありがとうございます
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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