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永井 路子 「北条政子」

永井路子 北条まさこ

平氏を滅ぼした源頼朝が征夷大将軍に任じられ、

鎌倉幕府は始まる。

実際に実権を握ったのは北条一族。

頼朝の妻北条政子の目を通して権力争いの確執と苦悩を描いている。

頼朝の死後「尼将軍」と呼ばれ御家人の尊敬を集めていた政子。

承久の乱では、上皇側につこうとした御家人を集めて演説をする。

頼朝将軍が武士の為の幕府を作った事を忘れてはいけない。

身分も保証されず、ひどい扱いを受けていたではないか!

土地を守る事ができるようになったのは誰のおかげであるか。

というような演説をしたと言われている政子。

婚期の遅れた娘特有のあせり・・・

父親の再婚へのショック・・・

感情豊かで嫉妬深い政子は、ごく普通の女性のようだ。

頼朝の鎌倉幕府の成立を支え続けた政子。

大変読みやすく引き込まれた小説でした。



いつもありがとうございます
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新田 次郎  「氷原・非常のブリザード」

2019021303.png

9つの短編集です。

この中の「神通川」を読みました。

日本四大公害

「水俣病」・「新潟水俣病」

「四日市ぜんそく」・「イタイイタイ病」の中の

「イタイイタイ病」について描いています。

富山県神通川流域に

長い年月垂れ流されていたカドミウム。

汚染された土地と水で引き起こされた病気の悲惨さ・・・。

特に女性に多く発症したそうです。

腎機能障害を起こし、

骨が軟化して折れてしまう病。

布団をかける事も出来ない程に

体の中の骨が折れるのですが、

それはそれは過酷で非常な痛みを伴い、

歩く事も動く事も出来なくなり、

寝たきりとなった後は、

激しい痛みを伴いながら衰弱死したそうです・・・

終戦後、

故郷富山に復員した熊野先生が、

開業医として15年もの歳月をかけ、

私財を投げ打ち原因究明と

治療に尽力したご苦労が描かれています。

公害認定されるまでの過程での

誹謗中傷を受けながら、

備州大学教授と共に闘い、

国の認定までこぎつけます。

戦争で衛生兵として任務につきましたが、

多くの負傷兵を助ける事が出来なかった苦しい思い・・・

戦地から引き上げる時に

「自分も連れていってくれ!」と

ジープにすがりつく負傷兵たちを、

銃剣で追い払わざるを得ない状況に

生涯心を痛め苦しみます。

熊野先生がイタイイタイ病患者を救う事で、

戦地で亡くなった多くの戦友たちへの

償いの思いも込め、

必死に病気解明に努める姿が描かれています。

新田次郎さんの

目に浮かぶ風景や

人の思いの情景が、

切々と伝わる素晴らしい作品でした。



いつもありがとうございます
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cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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