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畠山 健二 「本所おけら長屋 十三」

畠山 健二

 「本所おけら長屋 十三」

20190804.png
本日到着最新巻。

4つの笑いあり涙ありの人情物語。

・・・・・・・・・・・・・・

1.とりもち

万蔵の喧嘩友達で幼馴染みの栄太郎の婚活物語。

おせっかいご近所さんの勧めにより、

今で言うところの結婚相談所にて結婚相手とお見合いを繰り返す栄太郎。

若く器量が良い相手からことごとく断られる栄太郎。

相談所のお圭さんから

「次の人はあんたにとって最高に相性の良い人」

と言われ期待してお見合いの蕎麦屋で会います。

ところが実際に会った女性は、

年上で、男の子のいる地味な女性お夕でした。

ほどなくお夕の方から断りが入ります。

自分のような年上の子持ちで申し訳なかった。

自分は亭主を亡くして働きながら何とか暮らしているが、

朝太が可哀想で父親になってくれる人を探していた。

栄太郎のように若い年下の人がお見合い相手とは知らなかった。

栄太郎には普通に若い人と縁があるはず。

この話はなかった事にして欲しい・・・

しかし、栄太郎はどんな女性よりあの母子の事が忘れられなくなります。

朝太との触れ合いにより、

自分に父親として亭主としてやって行けるか・・・

一人でいる事が寂しい・・・

そんな栄太郎の思いを、

おけら長屋の喧嘩友達である万造が陰になり援護します。

栄太郎とお夕・朝太は家族として結ばれるのか・・・

男の子朝太の寂しい思いが、

栄太郎に巡り合ってから子供らしく活き活きと描かれています。

いつもいじめられ喧嘩をしても負ける朝太に向かって栄太郎が言います。

「喧嘩なんてえのは勝っても負けてもいいんでえ。

逃げなけりゃよ。

逃げることを覚えちまうと、

どんなことからも逃げるようになっちまうからよ。」


・・・・・・・・・・・・・・

2.よみうり

読売の青年の悲しい復讐。

新聞記者として生計を立てている春助。

大店のゴシップも暴き面白おかしく書いては売って、

江戸庶民の噂のタネにしていました。

春助が大店に対してゴシップを暴くわけは、

幼かった頃に関係していました・・・


ある日、大店の嫁の弟伊予吉が人を刺して遠島の刑になっていたことを

読売に書きます。

そのことにより大店の嫁は自責の念にかられ

身投げして自殺してしまいます・・・

その日から春助は世間の人から非難されるようになります。

おり悪く自殺した嫁の弟伊予吉が遠島からご赦免により江戸に戻っており、

姉の自殺を知るのでした。

伊予吉は、奉公していた旅籠で暴れた客ともみあい、

刃物を出した男を誤って腕を刺してしまったのでした。


春助が読売に書かなければ姉は自殺しなかった・・・

それから伊予吉は春助を狙うようになるのですが、

おけら長屋の面々により

「読売」を逆手にとって世間からも称賛される解決策を講じます。

春助・伊予吉の「未来ある明日」の為に動くおけら長屋の面々の活躍が痛快です!

・・・・・・・・・・・・・・・・

3.おいらく

おけら長屋の大家徳兵衛と、

住人の隠居与兵衛と大店の宋右衛門。

年寄り三人が繰り出した岡場所での悲喜こもごもを描いています。

それぞれの若かりし頃の思い出を、

これから先の日々に照らし合わせもう一度若い頃に戻り楽しもうとします。

高級料理屋兼岡場所で、

一人は30年前に夢中になった花魁との再会。

一人は娘と同じ年齢の女郎に対する慈しみ。

一人は年甲斐もなくはりきって腰もたたなくなる・・・

笑いと懐かしさと後悔とが織り交ざる年寄りと言うか

酸いも甘いも経験した大人の物語でした。

・・・・・・・・・・・・・・

4.ゆうぐれ

今回は、何と万松の松吉の生い立ちが明かされます。

松吉がどんな生まれ育ちだったか…

松吉の幼い頃も寂しく悲しいものでした。

しかし松吉を優しく守ってくれた人がいました。

今回、松吉はその優しく守ってくれた人を今度は自分が守ろうと奮闘します。

その奮闘の陰にはおけら長屋の面々、特に相棒の万蔵が力を発揮します。

そして、松吉にはもう一つステキな展開があります。

夕陽がどうして赤いか?

それはお天道様が今日あった辛い事や悲しい事を燃やしてくれる。

だから明日になったらそんな事は忘れて頑張れる。

そう教えて励ましてくれた人を松吉はどのように救うのか?

・・・・・・・・・・・・・・

今回も読後感が清々しかったです。

次回は2020年春刊行だそうです。

楽しみだなぁ(^^)



いつもありがとうございます
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畠山 健二  「本所おけら」12

畠山健二

「本所おけら」12

20190611おけら長屋12

1.しにがみ

2.ふうぶん

3.せいがん

4.おまもり

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「しにがみ」は、

間抜けで根は善良なコソ泥馬助が、

おけら長屋の面々と何故か人助けをし、

情けない自分に目が醒め

真っ当に生きる事を学びます。

・・・・・・・・・・・・・・・

「ふうぶん」は、

舶来のラクダが江戸にやって来る事から

町は大騒ぎ。

ラクダは神の使いとの事で、

フンにご利益があると万松もフントウします。

人は兎角、根拠のない噂やご利益を真に受けて、

本来の人の道をひと時見失いがち。

現実を知ると風聞の恐ろしさが

身に沁みると言うお話し。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「せいがん」は、

男勝りの武家の娘と

下級武士が剣を通して

真実の目でお互いを知り、

結ばれるお話し。

・・・・・・・・・・・・・・

「おまもり」は、

出稼ぎから帰らない亭主を探しに

江戸に来る女房お邦と

幼い娘お妙を

おけら長屋で育った八五郎の娘お糸が

手助けして探します。

亭主勘助は

仕事中の怪我により記憶を無くしていました。

何とか記憶を戻せるように

万松始め長屋の面々が奔走します。

晴れて記憶が戻った事で、

いつも大切に持っていたお守りを

お礼にとお糸に渡すお妙ちゃん。

健気なお妙ちゃんが持っていた

お守りに込めた思いがほろっとします。



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」11

畠山健二

「本所おけら長屋」11

201906おけら12

1.こまいぬ

2.といちて

3.ぬけがら

4.えんがわ

5.らくがき

・・・・・・・・・・・・・・・

「こまいぬ」は、親子の断絶を

松吉の活躍により、ま〜るくおさめます。

・・・・・・・・・・・・・・・

「といちて」は十手を勝手に細工して

自称岡っ引きになる弥太郎の騒動を描いています。

ミーハー弥太郎を懲らしめるおけら長屋の面々に

今度こそ弥太郎は、目を開くと良いのですが…(笑)

・・・・・・・・・・・・・・・

「ぬけがら」は、

後家のお染さんの辛かった過去のお話。

火事で両親を亡くし

叔母さんと縫い物の仕事をしながら暮らすお染が、

ほのかに想いを寄せていた若旦那に見初められ、

お店の嫁として幸せに暮らします。

しかし数年後、

商売がうまくいかず破産し

義父母は身投げ、

夫もお染と無理やり離縁したのちに身投げします。

それからのお染は、

ぬけがらとなり、身も心も荒んだ暮らしをします。

そんなぬけがらの時に、

盗賊の頭に惚れ込まれ、

無理やり妾にさせられます。

あまりに悪どい盗みをする頭達に、

お染自身もお咎めを受ける覚悟で

奉行所に密告します。

盗賊全員を捕縛できたことで、

お染はお咎めを受けず、

おけら長屋にて名前を変え、

ひっそりと暮らすことになり現在に至ります。

お染はおけら長屋で暮らす事で

今までの自分から殻を抜けだし、

長屋の面々と穏やかな幸せを噛み締めるのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・

「えんがわ」と「らくごき」は、

繋がったお話なのですが、

八五郎が江戸っ子らしい男気で、

親に見捨てられた小さな男の子を救うお話です。

八五郎が五歳の多吉に向かって言うセリフが泣けます。

叱りつけるのではない、

説教垂れるのではない、

五歳の子供にケジメを付けさせると言う八五郎は、

親として、男として最高です。

今回も男気ばかりで単純な八五郎を

しっかり支える万松は、

いつにない探索能力で輝いています。



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋」⑩

畠山健二

「本所おけら長屋」⑩

201906おけら10

1.さかいめ

2.あかぎれ

3.あおおに

4.おくりび

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「あおおに」が特に好きです。

おけら長屋に住む隠居には、

夫婦仲が悪い息子夫婦と、

喘息持ちの体の弱い孫と

息子の前妻の孫がいます。

息子の前妻の孫は、

愛情を受けられずにいましたが、

病弱の弟が大好きで、

弟の為に一生懸命看病します。

ある日、

引きこもりの青年と知り合うお兄ちゃん。

青年はおとぎ話を作っては

1日を過ごしていました。

お兄ちゃんは、

青年の作る「あおおに」というおとぎ話を、

病床の弟に話して聞かせます。

弟はお兄ちゃんの続きのお話を

楽しみにしていましたが、

いつも喧嘩ばかりする両親の姿に、

自分が病弱で困らせているから

仲が悪いのだと思ってしまいます。

その日から弟は、

食べ物を食べずに死ぬ覚悟をします。

お兄ちゃんは、

青年が作ったおとぎ話の中に、

ある神社の祠に願い事を書いた石を乗せ、

欲のない思いを神様にお願いすると

叶うとのお話を知り、

青年とその遠くの神社に向かいます。

願い事は一つ

「弟の病気が良くなりますように」

女医師のお満が、

兄弟の思いも分からず、

いつも喧嘩ばかりする夫婦に向かって、

万松よろしく啖呵を切っての説教をします。

息子夫婦を甘やかせた隠居に対しても、

オロオロして尻拭いばかりする番頭さんにも

責任があると叱ります。

お満の叫ぶような説教は、

隠居も息子夫婦にも響きます。

両手をついて詫びる息子夫婦…

夜遅くなってからやっと帰ってきた

お兄ちゃんと青年。

今まで愛情を示さなかった息子夫婦二人は、

お兄ちゃんを抱きしめ

無事に帰って来てくれたことを喜びます。

弟は、体だけではなく

心の病も癒され快方に向かいます。

そして、今まで引きこもっていた青年は、

自らがお兄ちゃんの為に行動を起こした事で、

自分の殻を開けることが出来ました。

弟の為に自分の寂しい立場を我慢して

一生懸命動くお兄ちゃんを通して

青年が救われるという

ご縁の有難さを描いています。

お満のこれでもかっていう程の

啖呵が気持ちいいです!(^^)

何と今回は、

あの万松が一切出て来ません。

万松に負けず劣らずのお満の活躍物語でした(^^)



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋」 ⑨

畠山 健二
 「本所おけら長屋」 ⑨

前回投稿した記事でくわしく書いていたものに

加筆修正(笑)

キャプチャ
1.まいわし
2.おてだま
3.すがたみ
4.かんざし
5.うらかた
・・・・・・・・・・・・・・・

「おてだま」
「かんざし」
「うらかた」が繋がっているお話でした。

・・・・・・・・・・・・・・

「まいわし」

本来の武士のありかたを描いています。

藩主は面目を守るのではなく家臣を守り、

民の幸せを守るのが第一である。

・・・・・・・・・・・・・・・

「おてだま」

謎の女「お浅」がおけら長屋に引っ越してきます。

お浅は言葉巧みに小金のある大家と

隠居与兵衛から寸借詐欺をし姿を消します。

お浅は本当に人を騙す性悪女だったのか…?

・・・・・・・・・・・・・・・

「すがたみ」

花魁の姿月にのめり込むお満の兄の

薬酒問屋若旦那の目を覚まさせようと万松が奔走。

花魁はあと二年で年季が開ける。

金持ち旦那達の身請けを望まず、

想いを寄せる相手と一緒になりたいとの

夢を持っていた花魁。

その想い人は

花魁の髪を整えてくれる髪結い清吉。

清吉と花魁は幼な友達でした…

花魁と髪結いは決して惚れ合う事は許されません。

二人は言葉を発することもなく、

姿見を通して見つめ合い、

心を通わせていたのです。

年季が開けるあと二年の我慢…

しかし…

ある日花魁道中の最中に、

花魁にのめり込んで身代を潰した男が

花魁を刺そうとします。

花魁を庇い自らが刺されてしまった清吉…

清吉と花魁の悲しい物語でした…

・・・・・・・・・・・・・・・

「かんざし」

おけら長屋から嫁に出た八五郎の娘お糸。

亭主は大工の棟梁文七。

金物問屋からの大仕事を受けるが、

出来上がりに難癖をつけられお金を払ってくれない。

このままでは仕入先や職人たちへの

手間賃を払えず暮らしも危ぶまれる…

お糸は亭主を励まし支える覚悟をします。

この続きが、次の「うらかた」へ繋がります。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「うらかた」

おけら長屋から寸借詐欺をして姿を消したお浅が、

お金を返しに現れ、自分の今までの事を話します。

お浅とお糸の亭主文七に

共通の裏切られた相手がいました。

タチの悪い金物問屋です。

そこでおけら長屋の万松、鉄斎、お染達が

金物問屋の悪事を暴くため奔走します。

後に晴れて解決しますが、

決して表に出さずに本人たちへも告げることはありません。

ひたすら「うらかた」に徹して、

「お天道様に恥じないことをしていれば、なんとかなる!」

を体現させるのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・

相変わらずの江戸っ子ぶりが粋で泣かせます!(^^)



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」⑧

畠山健二

「本所おけら長屋」⑧

キャプチャ

1.すけっと
2.うらしま
3.ふところ
4.さしこみ
5.こしまき
・・・・・・・・・・・・・・・

相変わらずのドタバタ人情長屋物語。

今回の五つの騒動も、物語としては良くある話。

再読で8巻まで読んでいて今頃気付いたんですが、

このおけら長屋シリーズは、

事件が起こりますが、

岡っ引きが登場しないんですよねぇ。

今で言うところの警察が介入せずに、

ご近所皆んなで解決しているわけです。

時に侍の斬り合いあり、

時に子供の虐待あり、

時に盗みあり、

時に暴行あり、

時に詐欺あり、

時に理不尽による悲惨あり…

どれもこれも本来岡っ引きや同心が出てきて

解決しなければならない事件ばかり。

物語の中には火盗改同心との協力により

盗賊捕縛もありましたが、

解決までの糸口はおけら長屋の面々が

奔走したからこそ。

岡っ引きが登場するまででもなく、

誰も咎人にさせずに解決する流れが、

このシリーズの人気なのだと思います。

吉本新喜劇でやったら

笑いと涙で受けるのではないかと思うほど。

一番似合うのは、

藤山寛美さんの舞台でしょうねぇ。

古いなぁ私も(笑)

今回の物語の中で

最期の「こしまき」が良かったです。

武士の父親の過去の行いを許せず

飛び出した娘との再会に、

父親が飼っている「富士」と言う犬が活躍して

親子の確執を解決します。

この解決するまでの流れは、

おけら長屋の「万造」と

聖庵堂の女医師「お満」が活躍します。

二人がそれぞれに対して絆を感じると言う

良い雰囲気で進むので、

これからの二人の進展が楽しみになります。

どちらも素直じゃなくて野暮天なのが、

焦ったくもあり微笑ましくもあり、

お似合いの二人です(^^)



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」⑦

畠山健二
「本所おけら長屋」⑦

20190605おけら長屋7

1.ねずみや
2.ひだまり
3.しらさぎ
4.おしろい
5.あまから
・・・・・・・・・・・・・・・

「2.ひだまり」は、

貧乏人に優しい診療所の聖庵先生の切ないお話し。

聖庵先生の父親が、

藩主の嫡男の赤疱瘡(はしか)を治す事が出来ず、

激昂した藩主から斬り殺された事で、

故郷を追われ、

母親と聖庵は、父親の知り合いの診療所を頼ります。

江戸では貧しく辛い暮らしとなりますが、

母親は聖庵に長崎への医学の勉強をさせたく

身を粉にして働きます。

しかし母親は命を削り過ぎた為、

聖庵への思いを残したまま亡くなってしまいました。

聖庵を慕っていたお歳は、

母親の思いを聖庵に叶えてもらいたく、

吉原に身を売り、大金を聖庵に渡し

長崎への医学留学を助けます。

聖庵は二年後江戸に戻り、

真っ先にお歳を身請けしようと向かいましたが、

お歳は労咳にかかっており臨終の時を迎えていました。

ひと目聖庵に会えた事、

りっぱな医学者となった事を確かめたお歳は、

聖庵に看取られながら静かに亡くなるのでした。

以来聖庵は独り身を貫き、

貧しい人々にも治療をする診療所を作り、

現在に至ります。

両親とお歳の思いを全うすることで、

聖庵は恩返しを続けています。

おけら長屋の面々と助手のお満が、

時にうるさくも忙しくさせてくれ、

弱音を吐く暇を与えずにいますが、

ひと時、ひだまりでお茶を飲みながら

昔の思い出に浸る聖庵の姿が、

しんみりしながらも心暖まる思いにさせてくれました。



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」⑥

おけら長屋6

 「2. ゆめとき」 から

・・・・・・・・・・・・・・・・

米屋に奉公している万造の生い立ちのお話。

万造は花見に行ったことが一度もない。

桜を眺めたこともない。

自分が捨て子だったことを思い出すから…

万造は、2歳の時の春の早朝、

ある長屋の井戸の柱に帯ごと結び付けられていました。

書き置きには

「このこ そだててください なまえ ありません」

とあるだけでした。

捨て子はその長屋の住人で面倒を見る慣わしだった為、

万造は五十歳の独り身の源吉が育てることになりました。

こまごました暮らしの面倒は、

長屋のおかみさんたちが見てくれました。

万造が10歳の時、源吉が亡くなってしまいます。

万造は10歳から今の米屋に奉公に出ました。

あれから17年…

万造は、源吉の夢を見ました。

源吉の若い時の夢…

源吉にも女房と娘がいたのです…

悲しい辛い過去の源吉の夢は、

万造にとって現実のことのように感じます。

子を思う親の切なさと、

捨て子として親への思慕を抱えていた万造が、

源吉の夢を通して交差します。

今まで、桜も花見も避けていた万造…

源吉が夢に出て来て、

万造が現在幸せに暮らせている事を教えるのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・

おけら長屋住人の浪人島田鉄斎が万造に言います。

「万造さんは、自分を捨てた親を憎んでいる。

だから花見に行きたくないんだろう。

満開の桜を見たら、

親を憎む気持ちが甦ってしまうからな。

だがな、万造さん。その逆も考えられるぞ。

泣く泣く万造さんを捨てた親は、

年に一度、

自分のことをおもいだしてほしかったのではないかな。

だから桜が満開の日に万造さんを捨てた…

源吉さんは、

万造さんに長屋のみんなと花見に行ってほしかったのさ。

だから夢に出てきて、それを教えてくれたんだ。

そんな源吉さんの思いを

汲み取ってやってもいいんじゃないかな」

・・・・・・・・・・・・・・・

万造が言います。

「おれは、おれを捨てた親に、

礼を言わなきゃいけねえな。

だって、親に捨てられたから、

今、こんなに楽しい花見ができるんだからよ。」

・・・・・・・・・・・・・・

普段のふざけた万造とは違う姿を描いていて、

とても優しい気持ちにさせてくれる読後感でした。



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」⑥

畠山 健二 「本所おけら長屋」⑥

おけら長屋6

おけら長屋シリーズの中でも特に⑥巻がお気に入りです。

1.しおあじ

2.ゆめとき

3.とうなす

4.やぶへび

5.だきざる

・・・・・・・・・・・・・・・

「1.しおあじ」は、

今で言うところのネグレクトのお話。

後家のお染がまだ15歳の頃に住んでいた長屋でのお話。

同じ長屋に住む又蔵の両親は、

まだ5歳そこらの又蔵の面倒を見ず、

呑んだくれ、荒んだ暮らしをしていました。

又蔵を風呂にも入れず、

食べ物も与えず放ったらかします。

長屋の住人にも嫌われている両親の為、

たった一人ぽっちで

灯りもない殺伐とした貧しい部屋に置かれる又蔵は、

長屋でもいじめられ、

毛嫌いされ、

いつも膝を抱えながら

部屋の隅で空腹に泣いていました。

その又蔵を助けたのは

当時15歳の後家のお染さんでした。

お染の家も貧しいのですが、

自分のご飯を残しておいて、

又蔵の為にお握りにして与えていました。

風呂に行けない又蔵の為、

長屋の人や両親がいない時に、

井戸水で体を洗い、

シラミだらけの頭を丸坊主に剃ってやり、

洗濯をして面倒を見ていました。

又蔵にとってお染は、

たった一人の味方であり救いの神でした。

そんなある日、

長屋で火事が起こり

又蔵の両親が焼け死に、

お染の両親も亡くなってしまいます。

又蔵もお染も火事のどさくさで、

それっきり会うことは出来なくなりました。

又蔵は遠い親戚に貰われ大工として成長し、

今では嫁も赤ん坊もいる一家の主として、

慎ましくも幸せに暮らしていました。

又蔵は、17年後の現在になり

偶然おけら長屋に住むお染と再会します。

小さい時の、あの辛かった日々の中で、

唯一楽しかったお染との触れ合いに感謝するのでした。

お染の優しさがしみじみ描かれる物語にホロっとします。



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ⑤

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ⑤

おけら長屋5

1.ねのこく
2.そめさし
3.はるこい
4.まさゆめ
5.わけあり
・・・・・・・・・・・・・・

「はるこい」が、辛く悲しい物語でしたが、

それで終わるのではなく、

冬は必ず春となるを期待できるような

津軽黒石藩の江戸詰め尾形清八郎の

藩主高宗への進言を描いています。

・・・・・・・・・・・・・・・

ある日、

三年前から江戸詰めをしている清八郎は、

津軽の実家で下男として働いていた佐助の娘美里と

吉原で再会します。

美里は清八郎が江戸に立った翌年の凶作により、

吉原に身を売って、

今はお葉と名乗っていました。

お葉は言います。

「みんなが辛い思いをして、悲しい思いをして…、

あたしたちが何か悪いことをしたのでしょうか。

どうすれば、こんな目に遭わずにすんだのでしょうか。

津軽の冬は長くて、厳しいですよね。

凍えそうになり、かじかんだ指先を摩りながら、

じっと我慢します。

我慢していれば必ず春が来るから。

あたしにも春は来るのでしょうか。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

清八郎の藩主高宗への進言の言葉。

「そのお葉さんは、気の毒な娘さんだと思います。

仮に、そのお葉さんを

今の身の上から救うことができたとしても、

それはその場しのぎでしかありません。

江戸に売られてきたのは、

お葉さんだけではありませんし、

また凶作となれば、

同じような目に遭う者が出ることになるでしょう。

藩主がすべきことは、

一人の娘を救うことではありません。

政によって、

そのような者を出さない藩の体制を整えることです。

頂から全体を見渡し、

長い目で政を行わなければなりません。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

まさに暮らしの礎を固めている

底辺の人々への救いの言葉に感動しました。



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ④

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ④

おけら長屋4

1.おいてけ
2.あかいと
3.すりきず
4.よいよい
5.あやかり
・・・・・・・・・・・・・・・

何と言っても「よいよい」が笑い過ぎてお腹が痛くなりました(笑)

容姿端麗、文武両道に秀でている24歳の浪人錦之助。

勘定奉行を務める名家の嫡男にもかかわらず

勘当されてしまい浪人となってしまいます。

勘当の原因は

お酒にだらしない男であったから…

酒乱というような乱暴な酒癖ではなくて、

一口酒が入ると気が緩み、

しまりのない姿になってしまいます。

この錦之助と

思い込みの激しい娘お雅が、

おけら長屋に騒動を持ち込みます。

ひょんなことから

おけら長屋の万造と松吉と知り合った錦之助は、

万松から勧められるままにお酒を飲んでしまいます…

只者ではない酒癖に

流石の万松も逃げるほど…(笑)

ここからの酔っ払った錦之助の行動が笑えて笑えて、

涙流すほどに笑えます(笑)

どんな物語だったかどうでも良い位に、

錦之助の酔っ払った姿でオチになる程でした(^^)

キーワードは…

「阿波でーす!」(笑)

思い出すとまたクスクスが止まりません(笑)



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ③

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ③

おけら長屋3

1.うたかた
2.こばなれ
3.あいえん
4.ふろしき
5.てておや
・・・・・・・・・・・・・・

5.「てておや」で

療養所の女医者のお満が登場します。

万造とお満は何かと言うと口喧嘩をするのですが、

絶妙の掛け合いがとてもお似合いの二人として描いています。

長屋の大家徳兵衛には

若い頃娘がいたと言うお話から、

娘のお孝が徳兵衛に会いに来る事で騒動が起こります。

大家徳兵衛とお孝、

そしてお満と不仲の父親宗右衛門の為に、

おけら長屋の住人達が一肌脱ぎます。

特に万造は、

お満と喧嘩しながらも

父親である宗右衛門の娘への思いを語るシーンは、

江戸っ子らしい、きっぷの良い啖呵となっています。

またお満も何かにつけて万造に言い返していましたが、

父親からの思いを教えられ、

親子が雪解け出来た事を感謝するのでした。

これをきっかけに度々お満女医さんが登場するのですが、

万造との仲が進展するようなしないような

焦ったさで進んで行き、

二人の成り行きも楽しみな物語です(^^)



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ②

畠山 健二  「本所おけら長屋」 ②

おけら長屋2

1.だいやく
2.すていし
3.まよいご
4.こくいん
5.あいおい
6.つじぎり
・・・・・・・・・・・・・・・・

「まよいご」が泣けました。

ある日、

おけら長屋の住人「万造」が仕事帰りの途中で

「勘吉」と言う5〜6歳の迷子を保護します。

自身番にも届けて勘吉の親探しをします。

やっと見つかった両親は

勘吉が迷子になったと言うのに

まるで他人のような冷たい扱いをします…

・・・・・・・・・・・・・・・・

勘吉は実は養子でした。

なかなか子供ができない両親が勘吉を貰ったのですが、

4年後子供が生まれ、

それからは勘吉を蔑ろにし、

辛く寂しい日々を送っていました。

万造はあまりに理不尽な勘吉への態度に

長屋に連れて帰り、

住人達と勘吉の世話をすることにしました。

それからの勘吉の生まれ変わったような

ハツラツさが描かれています。

しかし別れの時は来ました…

勘吉の本当の両親が見つかり

万造達とお別れをする事に…

勘吉は元々武士の生まれでした…

万造が勘吉へ本当の両親が見つかった事、

これからの事を

涙をこぼしながら伝えるシーンはもらい泣き…

別れの朝も万造は勘吉を見送らず

仕事へ出かけてしまいます…

勘吉が長屋から両国橋を渡って行く姿を

柳の陰から見送る万造の切なさが沁みる物語でした。



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋」①

またまた再読(^^)

2019.8月に最新刊の13巻目が出るので

それまでに再度最初から読んでみようと思いまして

読み始めているのですが、

忘れている物語もあって改めて面白く読書中です。

・・・・・・・・・・・・・・・

畠山 健二 「本所おけら長屋」①
おけら長屋1

1.だいくま
2.かんおけ
3.もののふ
4.くものす
5.おかぼれ
6.はこいり
7.ふんどし
・・・・・・・・・・・・・・・

おけら長屋の住人による笑いと涙の人情物語です。

落語さながらの流れがとにかく面白い!

締めのオチがあり読後爽やかになります。

一話目の「だいくま」を読んでこの本の面白さを感じ、

現在12巻まで出ていますが、益々面白くなっています。

長屋の住人達のキャラがとても良いです。

万造、松吉の「万松」。

浪人の鉄斎。

後家のお染。

八五郎とお里夫婦。

大家の徳兵衛。

頭が緩い金太。

真面目な久蔵。などなど…

一人一人にも人には言えない辛苦を持っています。

貧乏で日々苦しいながらも住人同士が助け合い

支えている家族以上の絆が、

時に騒動を起こしながらも、

人情解決して行きます。

会話を聞いているだけで笑っちゃいます(^^)

お節介の中にも心の闇には立ち入らない…、

一話目の「だいくま」では、

最近長屋に引っ越してきた「だいくま家族」が、

なんだかんだと言っては

支払いや家賃を踏み倒すので、

困った長屋の住人達が懲らしめるのですが、

ある日、懲らしめられた「だいくま家族」3人が

身投げをして一家心中してしまいます…

5歳になる男の子まで死んでしまった事で、

長屋の住人達は、大変心を痛めます。

ところが!

このだいくま家族は上手でした!

心中と見せかけて

騙してトンズラしていました!

全てだいくま達の企みで、

後に騙されたことを知った住人達でしたが、

万松他の住人達は、

小さな男の子が生きていてくれたと、

ただそれだけで泣きます。

だいくまへの恨みも憎しみも持たず、

子供が死なずにいてくれた事で

全て許す住人達でした…

自分たちへの仕打ちは、

自分たちへの借金となったとしても、

命を無くさなかった事で、

喜び合う住人達の心根が笑えて

ホロっとする物語でした。



いつもありがとうございます

畠山 健二  「本所おけら長屋十二」

20190209おけら

出ました最新刊!

笑いと涙と人情の人気シリーズ!

時代小説って少し苦手と言う人には、
こちらの小説をお勧めします。

落語のオチの締めくくりがクスッとして、
物語全体を心温かくさせてくれます。

おせっかいで困った人の為に奔走する
おけら長屋の面々。

時に風刺も効いていて、
世の中の理不尽さや本当に助けて欲しい人の心情を、
おけら長屋の住人を通して世間に伝えています。

登場人物一人一人が個性的で、
キャラがはっきり目に浮かびます。

新刊を待ちわびる作家さんのお一人。

今作の4つの物語全部が笑ってホロっとして、
しみじみとしました。

万造・松吉・鉄斎・お染・八五郎・
お里・徳兵衛・金太・お糸・お満・・・・

個人的には、
万造とお満の仲が今回進展する事を期待してたんですが、
今作では変わらぬ感じなので、
ぜひ次回作で二人のじれったい関係を
描いて欲しいと思いました(^^)

こういう作品を読むと、
しばし心豊かになり気持ちが晴れやかになりますねぇ。

また一巻から読み直したくなりました(^^)



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋 十一」

2018081901.png

出ました最新刊!

あ〜ぁ…

もう読み終わったよ…

何でこんなに面白いんだろう…

どんな貧乏だって、

惨めな環境だって、

人として曲げちゃあいけねぇことがあるじゃねぇか!

・・・・・・・・・・・・

粋で頑固でお馬鹿で面倒見が良くて、

子供を可愛がる。

この現代だからこそ受けるのかなぁ。

万造、松吉の万松と

八五郎の活躍が更にアップして登場。

八五郎の、親に捨てられた子供に向かって言うセリフが、

泣けますよ…

叱りつけるのではない、

説教垂れるのではない、

五才の子供にケジメを付けさせると言う八五郎は、

親として、男として最高です。

何気に万松の二人の探索能力の素晴らしさが

いつになく輝いています。

どの物語もオチが宜しくて読後感爽やかになります。

松吉は自分の家族の話をしません。

それは何故か?

万造のためです。

言いたい事を言い合う、

飲む打つ買うばかりで、

貧乏暮らしの二人ですが、

松吉の万造への優しさが伺えます。

最高の相棒ですねぇ(^^)

オススメ度★★★★★5つ!



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋(十)」

005.png
最新刊の第10巻目。

相変わらずの落語のオチよろしく

笑いあり、涙あり、笑いあり、切なさあり、笑いあり・・・

①「さかいめ」
オツムの弱い野菜の棒手振り金太の
底抜けにおバカぶりが人助けをします。


②「あかぎれ」
娘の不始末を
陰ながら助ける父親とおけら長屋の面々。

③「あおおに」
病気の幼い弟を想う兄ちゃんがいじらしいです。
弟思いの兄ちゃんを通して
人と接する事を嫌っていた青年が
行動を起こし、自らも目覚めます。


④「もりそば」
救いようのない惚れやすい男が
蕎麦の大食い大会で惚れた娘に告白を計画。
その陰には実は別の淡い恋物語がありました。
ここでまた野菜の棒手振り金太が活躍します、
てか担ぎ出されます。


⑤「おくりび」
田舎出の火消しの切ない活躍。
おけら長屋の住人達には
田舎出だろうが関係ない。
国に帰る火消しを励まします。


情景がストンと見えて
素直に笑えて泣けてほのぼの心暖かになる物語5編です。
とてもオススメです。



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋(九)」

キャプチャ

長屋の新入りが謎の失踪! ?
「笑い」も「泣き」もパワーアップした
大人気シリーズ最新巻。

金はないけど情はある、
個性豊かな面々が揃う
「おけら長屋」は今日も騒がしい。

“赤鰯"と呼ばれる腰抜け武士の本当の姿は……。

おけら長屋に越してきた謎の女が
忽然と姿を消したわけとは。

吉原に乗り込んだお満は
男と女の深い情話を知ることに。

お糸と文七が陥った苦境を知った長屋の住人たちは、
陰ながら奔走し――。

笑いと涙と人情が満載のシリーズ第九弾は、
ますます充実の五篇を収録。
文庫書き下ろし。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

待ってました新刊!

手許に届いた途端に読み始め

あっと言う間に読了。

とにかく「面白い」のひと言。

笑いはもちろんですが、

ホロっとさせられたり、

せつなくなったり、

そしてとても悲しいこともあります。

貧しい人々が助け合って暮らしている

おけら長屋の面々のキャラクターが光ります。

ドラマになったら誰が良いかなぁと

つい役者さんを考えるのですが

思いつく俳優さんがいません。

出来ればドラマにならないで欲しい。

読み手がそれぞれの思い描く様で

読んで行きたいと思わせる超オススメの一冊です。

9巻まで来たか~

また1巻から読み直したくなりました。

今回のお話は・・・

その壱「まいわし」
●本来の武士のありかた。
藩主は面目を守るのではなく家臣を守り
そして民の幸せを守る事が第一。

その弐「おてだま」
●なぞの女がおけら長屋に引っ越してきます。
その女「お浅」は言葉巧みに小金のある
大家の徳兵衛と隠居与兵衛から
お金を騙しとり姿を消してしまいます。
お浅は本当に人を騙すような性悪女だったのか・・・

その参「すがたみ」
●花魁の紫月にのめり込む薬種問屋の長男を
何とか目をさまさせようと万造と松吉が奔走します。
紫月花魁はあと2年で年季があける。
見受けを望まず想いを寄せる相手と
一緒になりたいとの夢を持っていた。
その想い人は花魁の髪結い清吉。
清吉と紫月花魁のかなしい物語です。
泣けます・・・

その四「かんざし」
●おけら長屋から嫁に出した八五郎の娘のお糸。
亭主は所帯を持った時に棟梁となり
職人2人を雇っている文七。
金物問屋からの大仕事を受けるが
出来上がりに難癖をつけられお金を払ってくれない。
このままでは仕入れ先や職人たちへの
手間賃を払う事ができず暮らしも危ぶまれる・・・
お糸は亭主を励まし支える覚悟をする・・・

その五「うらかた」
●おけら長屋から姿を消した「お浅」と
お糸の亭主文七が手掛けて支払をしてくれない
金物屋がひょんな事から繋がりがある事を掴む
おけら長屋の面々。
お浅も文七も金物屋からひどい仕打ちを受けていた。
そこでおけら長屋の万造・松吉・鉄斎・お染は
下調べから金物屋の悪事をあばき
奉行所役人を巻き込んで解決することに・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どの話も万造・松吉「万松」が活躍します。

頭も悪く、飲む・打つ・買うで

宵越しの金は持たずその日暮らしの2人。

店賃も滞る程の貧乏暮らしの2人ですが、

心根だけは人一倍の江戸っ子の2人。

仲間の為に奔走する少々おバカな活躍が

随所に彩りを添え落語のオチよろしく

クスクス笑わせてくれます。

揉め事も楽しむ二人のやり取りがとにかく面白い!

そんなおバカな二人を戒め引き締める鉄斎とお染。

一人では解決できない事を

仲間が集まり自分の暮らしそっちのけで

走り回る姿にとっても幸せを感じます。

万造と養生所女医のお満の

これからの関係も楽しみな物語となっています。



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋(七)」


キャプチャ
人情とお節介で名高い、江戸は本所亀沢町のおけら長屋に
今日も騒動が舞い込んで――。
市中を騒がせる義賊“ねずみ小僧"を長屋の住人万造、松吉が追う!?
名医聖庵の切ない過去が明かに。
旅芝居の座長、白鷺太夫は生き別れた妹と……。
小間物屋の主が吉原に足繁く通う理由とは。
藤沢の娘を訪ねた大家の徳兵衛は、とんだ難事に巻き込まれ……。
大評判のシリーズ第七弾は、著者入魂の五篇を収録。


・・・・・・・・・・・・・・・・

出ました新刊!

落語のテンポよろしくオチもあります。

そんな中、2話目の「ひだまり」は切なくてホロっとしますヨ!

大好きシリーズ!超オススメ本です!



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋(六)」

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本所亀沢町にあるおけら長屋は、今日も騒がしい。
密かにお染のあとをつける大工の又造。
その意外な理由とは。
花見で浮かれる長屋の連中をよそに、一人沈む万造。
ひょんなことから五十年前の真実が明らかに。
八百屋の金太に嫁取りの話が!?
お糸と文七の祝言が近づく長屋のあちこちで難事が発生。
折しも流行病が西方から江戸へ、そして本所にも…。
笑って泣ける大人気連作時代小説、シリーズ第六弾。


・・・・・・・・・・・・・・・・

落語を聞いているかのような掛け合いとオチ。

おけら長屋の万造と松吉(万松)の二人の

相変わらずの事件好きがひと騒動のきっかけになり、

過去にこだわる人の想いを引き出し解決して行く。

そんな二人のうちの一人万造の幼い頃の話が

今回は特にホロっとさせられました。

花見の季節が好きではない万造。

二歳の時にある長屋の井戸の柱にくくりつけられ捨てられた万造。

季節が春、桜が満開の時。

そんな幼い万造の育ての親の若い頃の話も重なり、

それぞれの人生の辛苦の物語が切なかったです。

また、医者であるお満が流行り病にかかり、

特効薬を求め江戸から常陸まで仕事をクビになるのも構わずに

走り回る万造。

万造とお満の素直になれない二人の姿がこれからも観れると思うと

シリーズ物の小説でこんなに待ち遠しい物語も久しぶり。

新刊が出る度に一巻から読み直しているおけら長屋物語。

何度読んでも笑わせてくれて、ホロっとさせてくれてます。

とてもお気に入りの物語です。



いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋④ 」


本所おけら長屋(四) (PHP文芸文庫)本所おけら長屋(四) (PHP文芸文庫)
(2015/03/09)
畠山 健二

商品詳細を見る


1.おいてけ
 本所亀沢町にある『おけら長屋』は、いつも騒動ばかり。
本所七不思議のひとつ、
おいてけ堀で河童の捜索を始めた万造と松吉が
巻き込まれた事件とは?

2.あかいと
 大工の八五郎の娘、お糸と文七の恋がついに決着?

3.すりきず
 島田鉄斎と因縁のある女スリが再び彼の前に現れて・・・。

4.よいよい
 易者に運命の人と巡り逢うと言われたお雅の相手は
酒癖の悪さで藩を追い出された錦之介。
そんな事は知らないお雅は錦之介に夢中になり
追いかけるのだが・・・

5.あやかり
 長屋で孤立無援となった松吉を、
相棒の万造は救えるか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.おいてけ
 「常吉。もうよいのです。私は・・・
奉公人は主を守るものだという、
大きな思い違いをしていました。
主が奉公人を守らなければならないのです。
私は主の娘です。
まずは常吉のことを考えるべきでした。
島田様に諭され、目が覚めました。
私はどのようなお咎めもお受けする覚悟でございます。
どうか常吉はお許しくださいますよう、
お願い申し上げます。」


2.あかいと
 「この前、お糸ちゃんに元吉さんの話をしただろ。
あの晩、布団に入ったら、元吉さんのことを思い出しちまって
涙が出てきた。
こんな歳になっても、女って厄介なものだね。
どうして涙が出てくるかわかるかい。
今さらどうにもならないことだからなんだよ。
だから切なくて涙が出てくるのさ。
お糸ちゃんにそんな思いはさせたくないからね。
心に引っかかっていることがあるなら、
自分ではっきりさせなさい。
逃げちゃだめ。逃げたら、あたしのようになる。
あたしの話はそれだけ。」


3.すりきず
 「ええ。天下泰平などとは名ばかりで、
捨て子なんて、そこらじゅうにいます。
十歳やそこらの娘が1人で生きていけるほど、
世の中は甘くありませんからねえ。
金持ちの懐から金子をスッて、
恨みを晴らすだなんて、とんだ御門違いだって、
わかってはいるんですけどね。
でもね、島田様、あたしが拾ってやらなかったら、
あの娘たちはどうなっていたんでしょうか・・・」



4.よいよい
 「阿波でーす」
錦之介は、そのまま表に出ていった。
井戸端で、大根を洗い、米を研いでいるのは、
八五郎の女房、お里と、佐平の女房、お咲だ。
何やら路地の方が騒がしい。
「き、錦之介さん、島田の旦那の家はそっちじゃねえ。
こっちですよ」
お里と、お咲が声のする方を見ると、
一人の男が千鳥足で近づいてくる。
その男の格好に二人は息を止めた。
素っ裸なのに、なぜか頬っ被り。
腰には帯をまいて竹ボウキを差している。
顔を見ると、鼻血を流しながら笑っているではないか。
「ギャー」
後ろからその男を追いかけてきたのは八五郎だ。
「心配するな。怪しいもんじゃねえ」
お里は、腰を抜かしたようだ。
「お、お前さん、これが怪しくないなら、
世の中に怪しい人なんて一人もいなくなるじゃないか」



5.あやかり
 「それだけじゃねえですよ、島田の旦那。
お熊ばあさんは、おれたちに挑んできやがったんでえ。
おけら長屋のお手並み拝見ってね。
こいつあ、しくじることはできなくなったぜ。
おけら長屋の底力を見せてやらなきゃならねえ。
「面白くなってきたな。
これだから、あんたたちと暮らすのはやめられない。
さあ、どうする万松」




いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋(三)」


本所おけら長屋(三) (PHP文芸文庫)本所おけら長屋(三) (PHP文芸文庫)
(2014/09/10)
畠山 健二

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2013年7月の1巻目刊行以来、「心から泣いて笑った」「今まで出会った小説でナンバー1です」と読者の大反響を得ている『本所おけら長屋』シリーズ。江戸落語や下町漫才の台本で鍛え抜かれた技をひっさげ、著者は文庫書下ろし時代小説の「オンリー1」に躍り出た。絶妙な会話のテンポと抜群のストーリー運びは、誰にも真似できない独壇場だ。
江戸の本所亀沢町にある「おけら長屋」は、貧乏人の吹き溜まり。しかし、江戸っ子ならではのお節介と人情に、お騒がせコンビ万造・松吉の暴走も絡んで笑いが絶えない。第3弾となる本作では、笑って泣ける「落語テイスト」にいよいよ磨きがかかった。
大家・徳兵衛の知られざる過去に発し、二組の父娘の複雑な情愛と絆を描いた長講「てておや」をはじめ、読みだしたら止まらない計5篇を収録。
30年来の親友・百田尚樹氏をして、帯文に「もう、たまらん! 」と書かしめた。佳作ぞろいの第3巻、ご期待あれ!
文庫書き下ろし。


・・・・・・・・・・・・・

1.うたかた
2.こばなれ
3.あいえん
4.ふろしき
5.てておや

・・・・・・・・・・・・・

面白い!

これの一言に尽きます!

これぞ江戸っ子!って感じの万造と松吉=万松の

シャレと粋と人情とそそっかしさで

物語が思わぬ方向へ行くも

なぜかいつも治まる所へ治まる。

お騒がせの万造と松吉である万松に加えて

八五郎の三人のキャラが

可笑しさだけでなくホロリとさせ、

読後感をさわやかにさせてくれます。

自分のことより人のことに一生懸命だが

それを面白がる三人(笑)

またおけら長屋の住人一人一人の個性がしっかりとしていて

皆んな魅力的です。

片思い・母と息子・夫婦・父娘・・・・

複雑な流れになりがちのお話も落語のようなオチが決まり、

もう、たまらん!(笑)


いつもありがとうございます

畠山 健二 「本所おけら長屋」 「本所おけら長屋2


本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)
(2013/07/17)
畠山 健二

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本所亀沢町にある「おけら長屋」は、

大家の徳兵衛、米屋奉公人の八五郎、

後家女のお染など、ひと癖ある店子が入り乱れて毎日がお祭り騒ぎ。

それもそのはず、お金はないけど人情に厚く、

かっとくるけど涙もろい。

自分より他人のことが気になって仕方がない。

こうした面々が、12世帯も軒を並べているのだ。

鉄斎がやってきた。

津軽の某藩を辞去し、江戸へ流れてきたのだ。

剣の腕がたち、冷静に物事に対処できる鉄斎は、

おけら長屋の連中が頼りにする心強い「旦那」。

鉄斎を迎えて、何かと騒がしい長屋の面々が遭遇する事件とは……。


著者は、本所育ちで演芸の台本などで複数の受賞歴を誇る手練の書き手。

今回は満を持して、文庫書き下ろし時代小説に初挑戦。

2013年本屋大賞作家・百田尚樹氏も「

この小説には、やられた! 」と太鼓判の出来ばえ。

江戸落語さながらの笑いと人情にあふれる作品世界をとくとご堪能あれ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「江戸は面白いところですなあ。

まだ半日だというのに、

次々と事件が起こる。

自分たちの振る舞いが、

天に恥じないことならば、

なんとかなるはずです」

この手の話に弱い八五郎が泣き出した。

「島田の旦那、あっしは旦那に惚れました。

あっしら三人、命に換えても、

お幸ちゃんを守ってみせます」


・・・・・・・・・・・・・・


本所おけら長屋(二) (PHP文芸文庫)本所おけら長屋(二) (PHP文芸文庫)
(2014/03/10)
畠山 健二

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笑いあり、涙あり。

テンポのいい会話と肩の凝らない文体で、

「新しい時代小説だ! 」と大好評を博した

『本所おけら長屋』の続編がついに登場。

お騒がせコンビ万造・松吉に、振り回される大家の徳兵衛、

わけあり浪人・島田鉄斎に左官の八五郎、おかみさん連中……。

「人情に厚く、おせっかいで大間抜け」な江戸っ子パワーはさらに倍増。

婚礼を控えた久蔵とお梅を思うあまりの

万松(万造・松吉の略)のおせっかいが大波乱を巻き起こす「だいやく」、

万造と迷子の勘吉との胸に迫る交情を描いた「まよいご」、

鉄斎の元主君・高宗が長屋を訪れて大騒動になる「こくいん」など、

読みだしたら止まらなくなる力作6篇を収録。

前作以上に、笑える、泣ける、温まるの江戸落語さながらの世界を、

小説で表現した意欲作。

『永遠の0』の百田尚樹氏をして「あかん、泣いてもうた! 」と

感嘆せしめた絶好調の連作時代小説シリーズの第2弾、満を持しての登場。

文庫書き下ろし。

・・・・・・・・・・・・・・・・


「人は血でつながってるんじゃねえ。

心でつながってんだ。

このおけら長屋の連中を見てみろ。

もとはみんな他人じゃねえか。

なのにこうして他人のことに必死になってやがる」

「あんた、重い荷物を一人で背負い込む気なのかい。

おけら長屋は何のためにあるんだい。

その重い荷物を、みんなで少しずつ分け合うためだろ。

この長屋に住む貧乏人はね、

そうやって生きていくのさ」

・・・・・・・・・・・・・・・

いつもありがとうございます
蝶が舞うリースの時計
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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