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森 浩美 「ひとごと」

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8つの短編集。

その中の「捨てる理由」は、

コンビニに捨てられた犬の話。

仕事帰りに立ち寄ったコンビニの陰に

犬が捨てられているのを発見する博史。

警察へ通報すれば保健所行きで

殺処分の可能性がある。

コンビニ店員は

「お客さんが見つけたんでしょう」と他人事。

博史は自宅に連れ帰り

家族と相談の上、飼い犬にする事に。

ある日捨てた本人である老人倉本が

拾ってくれたお礼とお詫びに博史宅にやってくる。


妻を亡くし生活も行き詰まり、

老人ホームへ入る事になったと…。

息子家族はいるが老人倉本の世話や

犬の世話はしてくれない…

思い余って、

誰かに拾って貰えるようコンビニに置いて来たと…。

博史は老人に言います。

「そもそも飼い主が、

犬を捨てる理由を考えてはいけないんです。

たとえどんな事情があっても…

そこを曲げてしまったら、曖昧にしてしまったら、

しあわせな共存なんてあり得ません。

だから飼い主は、

絶対的な覚悟を持たねばならないという事です。」

厳しい口調で言う博史が最後に老人倉本へ

償いをさせます。

その償いとは…

老人倉本が思わす泣き出します…

こちらももらい泣きする博史からの言葉とは…

いや〜泣かせますよぅ。



いつもありがとうございます
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森 浩美 「ほのかなひかり」 


ほのかなひかり (角川文庫)ほのかなひかり (角川文庫)
(2011/10/25)
森 浩美

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夫を事故で亡くした私は、小学生の息子をひとりで育てながら、
傷心の日々を送っていた。
寂しく迎えたクリスマスイブの夜、
解約せずにいた夫の携帯電話からメールが送られてきて…(「聖夜のメール」より)。

不倫を疑う妻、若い部下の扱いに戸惑う中年部長、
仕事に行き詰まったキャリアウーマン…
どこにでもいる普通の人たちに起こった、8つの小さな奇跡。
日常の些細な出来事を丁寧に掬い取った、心あたたまる家族小説集。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.聖夜のメール
2.想い出バトン
3.噛み合わせ
4.リリーフはいない
5.じゃあまたな
6.ワイシャツの裏表
7.褒め屋
8.トイレットペーパーの芯
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.聖夜のメール
 「毎晩、仏壇に手を合わせるでしょ。そんときに、今日はこんなことがあったよ、あんなことで腹が立ったよってさ。生きていたときと同じで、あの人は何にも応えちゃくれないけど、口にすることで、あたしの気が済むの。愚痴るときは声を出さなきゃだめなんだよ。心の中で言っちゃだめ。そうじゃないと届かないの。きっと、あの世で煩せえ母ちゃんだなぁって思ってるかもしれないけど、自分は勝手に死んじゃったんだから、愚痴ぐらい聞いてもらわなくちゃ、遺されたあたしは割が合わないいよね」

2.想い出バトン
 「いいか、康祐くん。出張や残業が多くて、普段の様子を見られない私のために、家内が撮ってくれたものもたくさんある。君も子どもができたら、茜に撮ってもらえ。特別な日や行事には立ち会えても、男っていうのはなかなか普段の子どもの成長を見られない。ただ、その普通の暮らしの中に、ささやかなしあわせがあるってことを忘れちゃいけない。」

3.噛み合わせ
 「なぁ、思うんだけどさ、僕の人生は微妙に巡り合わせが悪いんだなって。不幸のどん底っていうほどじゃないけど、ちょっとしっくりこない。歯にたとえるなら、噛み合わせが悪いってところかな。君とのことも、母さんのことも、結婚して、離婚したことも・・・。歯の治療なら、いくらでも治す自信があるけど、人生の噛み合わせは治せないらしい、悔しいけどね」

4.リリーフはいない
 「ピッチャーならリリーフもいる。仕事だって代わりの人間ならいくらだっているんだ。だけど、人生はそういかない。人生のマウンドってやつはさ、一度上がっちまったら、自分ひとりで投げ抜くしかないんだ。先発完投だ。どんなに苦しい状況になっても、だーれもリリーフなんかしちゃくれない。だから、マウンドを降りるときは死ぬときなんだ。お前ら、そう思わんか?」

5.じゃあまたな
 「なあ、タケ、だから、お前も闘え。闘って闘って必ず勝て。勝って、社長になって、下請けを守れるだけの力を身につけろ。内部生はおぼっちゃまだって笑われないようにな」

6.ワイシャツの裏表
 大学進学で上京が決まると「そうか、もう、さゆりにアイロンを掛けてもらったシャツを着られないんだなあ」と、しみじみと父に呟かれた。後に母から聞かされた話だが、父は会社の同僚に「このシャツは娘がアイロンを掛けてくれたんだ」と自慢していたようだ。

7.褒め屋
 「褒め屋は根本的な問題の解決まではできないんですよ。そこが歯がゆいというか、ジレンマというか。最終的に乗り越えなきゃならないのは、やっぱりその人本人ですからね。そう思うと、このまま褒め屋のプロになるのはどうかなって・・・。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつもありがとうございます

森 浩美 「こころのつづき」

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(2012/12/25)
森 浩美

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シングルマザーに育てられた奈々は、
結婚を翌年に控えた12月、
実の父親が軽井沢で働いていると聞き、
ひとり訪ねていく。

ランタンが灯る教会で聞かされたのは
意外な事実だった・・・。
(「ひかりのひみつ」より)

愛犬を亡くした哀しみに暮れる男、
ダンナの浮気を疑う妻、
義母の介護を献身的に続ける主婦・・・

毎日を懸命に生きながら少しずつ
歩みを進める人たち。
大切な人との絆を丁寧に描いた、
心にじんわりとしみわたる8つの家族物語。

・・・・・・・・・・・・・・・

短編集なのであっという間に読めます。
特に悲惨な家庭状況の設定がないので、
ファンタジー系とでも言いたくなる感じの
優しい物語です。
理想的で羨ましい家庭とも言えるかな・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

<お日さまに休息を>より

 「ほら、そうやって頑張ろうとするでしょ。
あのね、世の中もうちの中も一緒、
我慢して頑張ったりする人がいるから、
当たり前のことが当たり前のように
流れているように思えるのよ。

でも、そういうことって忘れがちになる。
お父さんも公晴もそう。
もっとも、こればっかりはやってみた者しか分からない。
だから、分かる人が言ってあげないといけないのよ、
頑張らなくていいからって・・・

いつも明るく頑張ってるお日さまだって、
たまにはああやって、
雲に隠れてお休みするのよ。
ましてや、普通の人だもの・・・。
ね、だから私のために無理はしないでちょうだい・・・」
 


いつもありがとうございます。


プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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