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山本 周五郎 「つゆのひぬま」より  武家草鞋(ぶけわらじ)




つゆのひぬま(露の干ぬ間)とは・・・

朝露も乾かないほど短い間という事で、

ほんのひとときという意味だそうです。


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武家草鞋(わらじ)

おしゃべり物語

山女魚(やまめ)

陽気な客

妹の縁談

大納言狐

みずたたき

凍てのあと

つゆのひぬま


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「武家草鞋」より


「こなたは世間を汚らわしい卑賤(ひせん)なものだと云われる。

しかし世間というものはこなた自身からから始るのだ。

世間がもし汚らわしく卑賤(ひせん)なものなら

その責任の一半(いっぱん)はすなわわち宗方(むなかた)どのにもある。

世間というものが人間の集まりである以上、

おのれの責任でないと云える人間は一人もない筈だ」



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藤沢 周平 「初つばめ」

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驟り雨(はしりあめ)

遅いしあわせ

運の尽き

泣かない女

踊る手

消息

初つばめ

夜の道

おさんが呼ぶ

時雨みち(しぐれみち)


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「初つばめ」


誰の為に自分の体も犠牲にして生きて来たのか・・・

そんな思いをぐっとこらえ必死に働いて来たなみ・・・

弟の友吉が奉公するようになると、肩身の狭い思いをさせたくないと

勤め先を替えるなみ・・・


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友吉が連れてきた「おゆう」と言う娘と

なみの所へ挨拶に来る場面・・・

なみの思っていた二人とはかけ離れていた。

おゆうの高価な身なりに所作。

顔もほとんど上げず、友吉と共に挨拶だけして帰ろうとする・・・

友吉もすでに姉の存在は「結婚の報告」をする身内との態度・・・

二人は二人のこれからの人生があり、姉に対しては身内としてだけの

間柄であり、できればこれからはかかわりたくない存在となっていた。

なみは二人の前では何を話すにも壁があった・・・

長年、酒飲み相手の仕事をして来たなみの風体は、

あまりにもおゆうとは違い過ぎていた・・・

めでたい事だからと祝い酒を出そうとすると

おゆうは酒が嫌いだからと断られ・・・

では煮物と焼き魚だけの食事だが用意したから食べてくれと勧めると、

今から二人だけで料亭で食事して帰るからと断られ・・・


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結局は体を売って稼いで来た水商売の身内が迷惑な存在であることを

二人の顔付で理解したなみは、酒をあおり、

「ぐずぐずしてないで帰りなよ。

いかにも、あたしゃ、男に身を売って生きて来た女さ。

友吉だって、いまとなっちゃこういう身内が迷惑なんだ。

おまえらの前に顔を出さなきゃいいんだろ。安心しな。」

と啖呵を切る。


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三十四の女が、たった一人残されちゃったねと思った・・・

人っ子一人見えないさびしげな道に、ぽつんと立っている自分の姿が見えた。

その姿はこっちに背をむけて、方途に迷っているようでもある・・・


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愚痴を言ってもどうにかなるわけでもなく、

現実を受け入れ、なだめすかしてやっとここまで生きて来たなみにとって

生き甲斐を失った喪失感の大きさをどのように折り合いをつけたら良いのか。

弟が姉に対して、これまでの苦労をねぎらう言葉や態度であるなら・・・

と読みながら何度も思いました。

物語として読むのではなく、現実としてもこのような報われない思いや

状況はあるだろうなぁ・・・と思いながら・・・



しかし、この物語は、ここで終わらない。

なみが弟友吉と娘が挨拶に来るとの事でお酒やおかずを買っているときに、

今年初めてのつばめを見て、「何かいい事がある」と思っていたことが、

実は弟の事ではなかった・・・

自分の幸せを考えずに生きて来たなみにも、

本当の意味での幸せがやって来ることになるのです・・・





土屋 賢二 「紅茶を注文する方法」

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笑う哲学者、危機一髪!



簡単なことがうまくいかない

難しいこともうまくいかない

考えれば考えるほど何もできなくなる



公私ともに問題山積みの著者が贈るお笑いエッセイ集!



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56本のエッセイが綴られている。

例えば・・・

文字が書けない
人の不幸を笑うな
検査は体に悪い
卒業生に贈ることば
知らないでいる権利
絶対に失敗しない方法
コーヒー一杯分
読者からの手紙

そして

紅茶を注文する方法


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土屋賢二さんの本を初めて手に取ったのが、

この「紅茶を注文する方法」でした。

題名と絵を見て、面白そう!と思いました。

たったそれだけだったんですが、

まさかこれほどまでに土屋先生のファンになろうとは

思ってもいませんでした。

お陰様で今では、新刊が出るたびに速攻買いしてます。


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「紅茶を注文する方法」


喫茶店でミルクティーを注文するには、

まず喫茶店に入ることが必要である。

正しい店に入って注文する場合、

「紅茶」と頼むとアイスティーが出てくることがあるから、

「ホットで」と付け加える必要がある。

しかし、「ホットの紅茶」と注文しても、

五回に一回は、ホットレモンティーが出てくるから

油断はできない。

確実にミルクティーを出してもらうには、

「ホットのミルクティー」と明確に発音する必要がある。




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どの章も2~3ページと短いので、

読みやすいですし、すぐに読み終えます。

でも、すぐに忘れちゃうので、

たまに再読します。

再々々読くらいしてますが、やっぱり忘れちゃいます・・・

ですので手放せない本となっているわけです。



これは・・・





もしかして土屋先生の戦略かしら・・・





プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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