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原 りょう「さらば長き眠り」






400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、

浮浪者の男だった。

男の導きで、沢崎は元高校野球選手の魚住からの調査を請け負う。

11年前、魚住に八百長試合の誘いがあったのが発端で、

彼の義姉が自殺した真相を突き止めてほしいというのだ。

調査を開始した沢崎は、やがて八百長事件の背後にある、

驚愕の事実に突き当たる・・・。






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山本 甲士 「ALWAYS 三丁目の夕日」







傘をなくして町内中を探し回る和広君の章が好き。

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和広の家には傘が一本しかない。

黒い綿の洋傘で、何度も修繕してあるせいで、

つぎはぎや違う色の縫い目がある。

お母ちゃんによると、ナイロンの洋傘一本を買うおカネがあったら、

コメを七升ぐらい買えるらしい。

洋傘はそれぐらい高い、簡単には買えないものだ・・・


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映画でこの和広君の傘のシーンがないのが残念・・・

お給料は安いが一生懸命働いてくれるお父さんが大好きな和広君。

大事な傘を学校帰りにどこかに忘れて来てしまい、

町内中を探し歩く。

途中、和広君と同じ傘を持っていた上級生を盗んだと誤解してケンカしたり・・・

結局傘は見つからなかった・・・

和広君は、お父さんを迎えに駅まで行き泣き出してしまう。

事情を知ったお父さんは、近くの傘屋さんへ連れて行き、

新しい傘を3本買ってくれる。

「そろそろみんなの分の傘を買うつもりだったんだ。くたびれてたからな。」

と言って笑った。

ちょっと無理した笑顔だったが・・・

和広君は心の中で言った。

おとうちゃんごめんなさい。

おとうちゃんありがとう。



福井 晴敏 「川の深さは」



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彼女を守る。

それが、おれの任務だ!


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昏い(くらい)澱み(よどみ)の中を、

鮮烈に走り抜ける命。

明日知れぬ逃亡、そして戦い・・・

熱く、切なく、深い・・・

失われた誇りを蘇らせる修羅の軌跡・・・


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手負いの獣となって、

追手から逃げ延びてきた少年。

傷だらけの体に自動拳銃(クロック17)。

世界を敵に回して。

その瞳にかつての自分を見た警備員は、

彼を匿う(かくまう)ことで底なしの川に引き込まれていった・・・

少年を追う者たちはやがてその姿を現し、

風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が封印されたこの国の亀裂とともに、

白日の下に曝(さら)される・・・


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「助けて・・・くれますか?」

落ち着いた問いかけだった。

思わず「なに?」と聞き返した桃山に、少女はハサミを捨ててまっすぐな目を向けた。

「お願いします。助けてください。怪我してるんです」

懸命な目と声が、今度ははっきりと耳朶(じだ)を打った。

上げていた手を下して、桃山は一歩、彼女に近づいた。

「怪我って・・・あんたか?」

「いえ・・・」背を伸ばし、その一歩を受け入れた少女の顔が、

苦しそうに伏せられた。

「あたしの・・・友達です」


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「質問!」と不意に口を開いた。

悪戯な笑みを含んだ顔で二人の男を交互に見、

開いた雑誌を胸に隠す。

「あなたの目の前に川が流れています。

深さはどれくらいあるでしょう?

1.足首まで。2.膝まで。3.腰まで。4.肩まで 」

「なんだそりゃ」

「心理テスト」雑誌の巻末をちらと示して、葵(あおい)は文字通り試す目を向けてきた。

「考えちゃダメよ。パッと思いついた印象で答えて」


「肩までだろそりゃ」と桃山が答えたのと、

「肩まで・・・かな」と保が言ったのは、ほとんど同時だった。

「これはね、あなたの情熱度を表しているの。

足首までって答えた人は、あんまり情熱のない人。

膝までは、あるにはあるけどいつも理性の方が先に立つ人。

腰までは、なんにでも精力的で一生懸命、いちばんバランスの取れてる人。

「肩まではどんな人だい?」

「情熱過多。暴走注意だって」


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曙光(しょこう)が水平線の向こうに生まれ、

ゆったり広がる朝の光が雲を薄桃色に染め、

海を金色に染めて、世界の色を変えてゆく。

長い夜の終わりを告げる光。

実体のなかった明日が、確かな今日になる瞬間だった・・・

冷えきった体に朝陽を浴びながら、

桃山は声も涙も出ない、飽和した顔を海と空の界面に向けた。


そうするしかなかったのか保・・・

これでよかったのか。

おまえの川は、このだだっ広い海に流れ着くことができたのか?

今日は、昨日よりマシな今日になったのか・・・?





山本 幸久 「幸福ロケット」


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クラスで八番目にカワイイ「あたし」(山田香な子、小五♀)と

深夜ラジオ好きでマユゲの太いコーモリ(小森裕樹、小五♂)の

可笑しくて切ない初恋未満の物語。



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ふたり同じ未来を見てた。

京成電車にガタゴト揺られながら・・・



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「コーモリ、あのあと、なにをいおうとしたの?

あれは別れの言葉だったの?

わかりづらいよ!」


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京成電車のなかで、ホームの白い光のしたで、

言葉にならない言葉がこぼれてく。

時間はもう止まらない。

胸にこみあげてくるものを感じながら、

あたしは走り続ける。

確かめなくちゃ、聞かなくちゃ・・・

誰も知るはずのない

“未来の笑顔”をコーモリがくれたから・・・


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「おれはいつか山田の前にふたたびあらわれる。

一年後か、二年後、もっとさきかもしれない。

でも必ずだ。

そのときおれの顔がわかるようにそれをもっていてくれ。

山田の未来の似顔絵は、おれ、もっておくから・・・」


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山本幸久

1966年、東京都八王子市生まれ。

中央大学文学部卒。

「笑う招き猫」で第16回小説すばる新人賞受賞。

他に「はなうた日和」「凸凹デイズ」など。



辻内 智貴 「帰郷」 



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「帰郷」

亡くなった夫の故郷を訪れる妻。

生前夫が世話になった「ある人」に一言お礼を言いたくて会いに行くのだが、

夫が話してくれたその人は存在していなかった・・・。

夫の孤独な幼少期・・・。

悲しく切ない物語でした。


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列車は、あの人の故郷に向かって駆(はし)っている。

夕方に乗り込んだ筈の急行の車窓は、

いつからか私の傍らで夜を映し始めていた。

私は、その心地よい揺れに身を任せたまま、

遠く頼りなく過ぎて行く窓向こうの灯りの中に、

あの人の面影をぼんやりと映し出してみる・・・





安住 洋子 「いさご波」


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国を追われた武家の哀歓(あいかん)・・・

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何があろうとも、

歩いていくしかなかった・・・。

お家断絶に見舞われ、

藤野親子は江戸を目指した。

艱難辛苦(かんなんしんく)の末、

息子の代に前橋で仕官は叶ったが、

よそ者ゆえの密命を課された・・・


時代と人生の「波」に揺らぐ武家の生きようを描く秀作群。

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1.いさご波

2.暁(あかとき)の波

3.ささら波

4.夕彩(ゆうあや)の波

5.澪(みお)の波

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「父上、生きていくとは難儀なことですな。」






乙川 優三郎 「生きる」





「生きる」で直木賞受賞した乙川さんの短編時代小説。

この作家の本は、いつも装丁が凝っている。

「乙川 優三郎」と言う名前と字もとても好きです。

この方の短編が好きです。



乙川さんを知ったきっかけは、

いつぞや書店で、

「生きる」の本を探していた高齢のご婦人に向かって、

店員さんが面倒くさがって後回しにしているのを見かけ、

いたたまれずご婦人の探し物を見つけて渡したら

「まぁ!ご親切にありがとうございます。

友人に贈りたいと思いまして、二冊購入します。」と言っていたので、

興味が湧き、自分も買って読んだのがきっかけで、

乙川さんファンになりました。

あの時のご婦人に感謝です!





向田邦子 新春ドラマスペシャル 「花嫁」



東京は根津界隈の片倉家。
この家の亡くなった主人・浩三の七回忌の日、
無事法要を終えてほっと一息の妻・ちよ(泉ピン子)に、
別居している長男の良一(佐野瑞樹)が改まって話があると言い出した。

家の立ち退きを期に、自分たちと同居しないかと提案する良一。
それに対し、ちよは住み込みで家政婦をすることに決めているという。
良一と妻の雪子(京野ことみ)は自分たちが笑われると反対するが、
ちよは意に介さない。


そのやりとりを聞いていた長女の節子(小林綾子)は、
ちよに縁談があると割って入った。
相手は浩三の親友の黒崎宇一(小林稔侍)。
小さな会社を経営している黒崎は3年前に妻を亡くしている。
子どももおらず、老後の蓄えもたっぷりある。
条件は申し分ないと強く勧める節子に、
次女の巴(仲間由紀恵)はちよが可哀想だと猛反対し、兄妹喧嘩が始まる。

その頃、ちよに正式にプロポーズした黒崎も
実の妹の波子(岸本加世子)に再婚の決意を告げる。
相手のことは何も話さない兄をいぶかった波子は、
自分でちよのことを調べ上げ、家まで押しかけてくる。

そんな矢先、黒崎の会社が倒産する・・・


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このドラマでとても印象に残るのは、立てつけの悪い引き玄関。

玄関の上を少し持ち上げないと開け閉めがうまく行かない。

上がり框から廊下に上がると「ギーッ」と音がなる程の安普請の古い家。

最後、母親が嫁ぐ日次女巴が廊下で母親へ語る言葉を

ちよは「ギーッ」と廊下を踏みつける事で返事をする。

「帰りたくなったらいつでも帰っておいでね」

「ギーッ」

「病気になったら私の病院へ来るんだよ」

「ギーッ」


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昭和な家の雰囲気がとっても懐かしくステキでした。

手動でネジを巻く柱時計を毎日かかさず巻いて寝るちよ。

こういう時計は一日でもネジ回しを怠ると故障するそうです。

またボーンボーンと時報が鳴っている時にネジ巻しても壊れるそうです。

こんなワンシーンワンシーンに凝っているドラマでした。

丁寧な撮影方法と設定に目新しさも感じつつ懐かしさとほのぼのさに

最後まで見入ったドラマでした。

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一番感動したと言うか、さすがだなぁと思ったのは、

再婚相手黒崎の妹役の岸本加代子さんでした。

このドラマは何度かドラマ化していたそうで、

以前は、次女役巴を岸本加代子さんが演じたそうです。

今回は意地の悪い妹役でしたが、

岸本加代子さんの演技は素晴らしい!

「お腹に物をためて置けないのよ私!

だからはっきり言うけど、兄とあなたの結婚は反対です!!」

これが、初対面のちよと妹岸本加代子さんのセリフだったのですが、

はぎれの良いセリフ回しと、間の取り方、目付き・はっきりとした声。

どれを取っても本当に上手でした。

再婚は兄の財産を狙っていると誤解した岸本さんは、

後にちよに土下座して謝るのですが、

このシーンがまた、おばさん丸出しをうまく演技しておりまして、

人気の仲間由紀恵さん・可愛い川島 海荷さん・安定の小林稔侍さん・

何より存在感と演技派の泉ピン子さんより

私は、演技派女優岸本加代子に感動しながら見ました。





蝶が舞うリースの時計
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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