藤井 邦夫 「投げ文―知らぬが半兵衛手控帖」
![]() | 投げ文―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫) (2006/06) 藤井 邦夫 商品詳細を見る |
1.勾かし(かどわかし)
2.残り火
3.雨宿り
4.投げ文
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1.勾かし(かどわかし)
下谷広小路の呉服商「菱乃屋」の主がかどわかされ、
三百両の身代金を要求する脅し文が
投げ込まれた。
探索を任された半兵衛は、
妻女と倅の様子に不審を抱くが、
事件は思いもよらぬ転がりを見せてゆく・・・
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表紙の絵は、「投げ文」の一コマ。
押し込み強盗をして金を盗む盗賊の一味に
加担する父親の為に、半兵衛の元へ
押し込み計画場所を書いた紙を投げ入れる娘おふく。
強盗を続けるよりお縄をちょうだいして
足を洗って欲しいとの娘心。
アジの干物売りで日銭を稼ぐ貧しいおふくに学はない。
いつも買ってくれる半兵衛の友人宅の母菊枝が
木の枝で文字を教える場面が表紙の絵。
娘おふくの為の盗人稼業に悪びれない父親。
しかし、犯行がバレ御用になった時に
娘が密告したと知った父親は、
「お前、父親を売ったのか・・・
親不孝者が!」と娘を罵る。
半兵衛は
「久助、そいつは違う。
おふくはお前が本当の盗人、悪党になって
磔獄門(はりつけごくもん)になるのを恐れ、
今の内に捕まえてくれと私に頼んだ。
お前を助けたい一念でね」
久助は言葉を失った・・・
「そいつが親不孝か親孝行か、
決めるのは父親のお前自身だ」
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