石塚 夢見 「またね!」
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猫好きが泣ける21の物語。
猫と暮らす。
猫と遊ぶ。
猫を撫でて、猫に話しかける。
なんでもない時間が、
素晴らしい時間なんです!
6ページで泣ける猫にまつわるショート・ストーリー集!!
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飼いネコとの別れがテーマとなるマンガです。
ネコちゃん自身が亡くなる物語や、
飼い主が亡くなる物語、
里親が見つかって離れていく物語などなど・・・。
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前に飼っていたネコちゃんが忘れられなくて、
似ているネコちゃんをボランティアさんから頂いたものの、
どうしても前のネコちゃんと比べてしまい、
今のネコちゃんを可愛いと思えず、
ボランティアさんに帰そうとする飼い主の前で
一生懸命「上手にできるよ!」と「ふみふみ」する猫ちゃん・・・。
しかし飼い主は「だから!やめなさい!」とうるさがり
結局ボランティアさんに返されることに・・・
ボランティアさんは、
里親が見つかるまでの間につけた仮の名「みーちゃん」を返してもらった時、
みーちゃんは、また捨てられないようボランティアさんの前で
一生懸命「ふみふみ」します。
ボランティアさんは、「みーちゃん、ごめんね」と
泣きながら謝り、
里親を探す事はせずに自分が親になる事を決心します・・・。
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別れや死をテーマにしているので、お涙頂戴的になっていますが、
長年家族として大切に育てたペットとの覚悟の死と別れを経験した人には、
意味深いものになる物語と思いました。
いつもありがとうございます。

バッグとポーチとブレスレット
本日誕生日でした
誕生日前祝い
小西 修 「多摩川猫物語」
![]() | 多摩川猫物語 それでも猫は生きていく (2013/03/26) 小西 修 商品詳細を見る |
それでも猫は生きていく。
捨てられても
飢えても
傷つけられても
命ある限り
くじけない。
多摩川に棲む猫たちの
現実を知って欲しい。
四半世紀にわたって
撮り続けられた、
壮絶ないのちの記録。
愛するとは、守るとは・・・?
多摩川の猫たちは、厳しい環境におかれても
ひたすら生きようと努力します。
それなのに、
無念にも虐待や病気などで命を落としてしまう猫が
どれだけ多いか・・・。
そういった猫たちの現実を知っていくうちに、
彼らの生きた証を残し、
人に伝えていくのが義務ではなかろうかと
思うようになりました。
(「はじめに」より)
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子猫から老猫まで様々な猫たちの過酷な現状を、
写真と共に綴られています。
傷だらけの顔、病気で痩せ細った体、
野生の厳しい表情、
ホームレスやボランティアさんに守られながらくつろぐ姿、
仲間を護るために心無い人間の虐待に立ち向かうボス猫・・・
作者の小西さんは、ご夫婦で保護活動もしているとの事。
里親探しや、避妊治療や、病気・ケガのケアなどなど・・・
ホームレスさん達のおかげで助かった猫ちゃんも沢山いるという・・・
可愛い猫ちゃんの映像やら写真やら本も大好きで多く拝見していますが、
こちらの作品のように悲惨な猫たちの現実にも
目を向けなければと思いました。
そうする事によって、あたりまえの自分のペットへの愛情が、
より愛おしく大切にしようと思うわけです。
私の猫も保護された猫ちゃんの娘でした。
震災前の保護でしたが、もし震災当時だったら津波で亡くなっていたかも・・・
そんな風に感じて、「縁」と言うものを強く感じます。
「ご縁」があってメイと巡りあい今に至りますので、
愛情を注ぐと共に、メイからもいっぱい愛情をもらっていることを
つくづく実感します。
可愛がられて当然の存在であるのに、
綱渡りのようにどちらか側に落ちた時の運命の差が悲しいです。
同じように大切にされて当然なのにと思います。
我が家はメイが初めてのペットなので、不慣れな事もあり、
メイを責任もって育てることで精いっぱいです。
猫ちゃんが、こんなに可愛いと、飼ってみて初めて知りました(^^)
夕べのメイとワタクシ・・・
毛布の隣りに寝ちゃったメイちゃん。
起こさないよう静かに隣に寝たワタクシは。
お布団掛けられず、そばにあったスポーツタオル一枚だけ掛けて寝ました・・・

いつもありがとうございます。

北 重人 「夏の椿」
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天明六年。
江戸が大雨に襲われた日、甥の定次郎を何者かに斬殺された旗本の三男坊である
立原周乃介は、その原因を調べるうちに、
定次郎が米問屋柏木屋のことを探っていたことを知る。
柏木屋の主人、仁三郎には暗い陰が見え隠れしているようだ。
核心に迫りだした周乃介の周りで不審な事件が起き始めた。
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雨はいよいよ繁くなっていた。
木立や築地(ついじ)を打つ音が、両側から圧(お)しかかってくる。
風が出て、時折、あおられた梢から雨が滝のように落ちてきた。
そのたびに、定次郎の傘が激しく鳴った。
坂下で、辻番の灯りが滲んで揺れている。
それはひどく遠くに見えたかと思うと、
番屋の戸口が浮き出るかと思うほど近くに見えたりした。
降った雨が坂を流れ下っていく。
地面に食い込んだ高下駄の歯先で、土が抉(えぐ)られていくのがわかる。
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海賊橋から見る楓川の水面は、すっかり色を失っていた。
それでも、堀と落ち合う小網町の辺りは、
空の残り陽を映して青い色を帯びていた。
河岸蔵(かしくら)の屋根が、大鋸(おおのこ)の歯のような影絵を描いている。
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伝通院は岡の上にある。
岡は、小石川と江戸川の谷に挟まれている。
門前の安藤坂に立てば、牛込御門のお堀まで見通せる。
番町から牛込辺りの武家屋敷の屋根屋根が、
きらきらと秋の西陽を浴びていた。
周乃介は伝通院を過ぎ、
江戸川に向かって細い道を折れる。
片側に寺があり、張り出した梢が空を覆っている。
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周乃介は、稲荷新道の五十鈴屋の二階に居た。
露地庭に面した、いつもの部屋である。
形の佳い楓が枝を広げている。
この間は、萌え出た緑がみずみずしかった。
いま、楓は露地の空を埋め、窓際から部屋に入り込んできそうだ。
傾いた陽射しが、細かな葉の間から洩れている。
微かな風で葉は揺れ、畳の上に光の漣(さざなみ)が立つ。
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両側は武家屋敷である。
坂を秋風が走って、頭上で梢が騒いだ。
坂下では外堀が陽を浴び、手前には辻番の小屋が見えている。
坂を下りきって左手に折れる。
牛込の河岸と揚場町の片町が続く。
河岸には木材やら俵物が積み上げられていた。
河岸が尽きると橋がある。
船河原橋である。
北から流れてくる江戸川が、橋のすぐ下手で外堀と落ち合う。
江戸川と外堀の間に落差がある。
外堀に引き込まれるように、江戸川の水は落ちていく。
水勢に応じて落とし口が盛り上がり、その度に
どぉーん、どぉーんと水音が高まる。
それで近くの者たちは、船河原橋をどんどん橋とも呼んでいた。
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夜半、月が出た。
寝待ちの月であった。
月影に両岸の蘆(ろ)が浮かんだ。
川に沿って曲がるたびに、曲がるたびに、
船縁(ふねべり)の間際まで蘆(ろ)の葉が近づく。
時に、船棹が葉を鳴らし、水音を立てた。
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周乃介は暗いうちに須川の旅籠(はたご)を出た。
宿々の門口から洩れた灯りが、道に縞模様を描き出している。
前方に山の気配が蟠って(わだかまって)いた。
陽が昇ると、山並みが迫る。
木々が色づき、真っ青な空が高い。
これならば今日中に越後に入れる、と周乃介は思った。
川を左手に見下ろしつつ、
道は徐々に高くなっていく。
やがて猿ケ京関所を抜け、永井宿に出る。
山腹に貼り付くように家並みが連なっている。
街道はそこから、胸を突く登りになる。
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北重人さんの文章表現が素晴らしくて、
一ページ一ページゆっくり楽しみながら読んでいます。
物語の面白さで読む本もありますが、
重人さんのような魅力的な文章で読む本もあります。
もう亡くなられているので、限られた作品となりましたが、
じっくり味わいながら読ませて頂いています。
本当に素晴らしい作家さんでしたね・・・。
いつもありがとうございます。
