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宇江佐 真理 「心に吹く風」


心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)
(2014/01/04)
宇江佐 真理

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大人気シリーズ、10巻に到達!

絵師の修業に出ていた一人息子の伊与太が、

兄弟子と喧嘩をして実家に帰ってきた。

しかし顔には大きな青痣がある。

伊三次とお文が仔細を訊ねても、

伊与太はだんまりを決め込むばかり。

やがて奉行所で人相書きの仕事を始めるが…。

親の心を知ってか知らずか、移ろう季節とともに揺り動く、若者の心。

人生の転機は、いつもふいに訪れるもの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

伊三次とお文があまり登場しないのがちょっとさびしいかな。

息子や不破家や手下の松助夫婦の事件が主。

特に息子伊与太に関しては、何だかこちらも親心で読んでしまいました。

本人は周りが心配する程子供ではなかった。

将来の事も不破家の娘茜との事も今は手探り状態でも

真面目で素直な心持ちに取り越し苦労を感じる。

子供と思うから心配でもやもやするのだなぁ。

いつの時代も子を思う親心は同じだなぁ・・・。




いつもありがとうございます。
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ランチと酒菓   2014.1.27(月)

今日は取引会社社長ご夫妻と営業担当者の4人でランチ。

_東社長_

茶碗蒸し・青菜の煮びたし・えび天ぷら・牛肉・刺身・大根と牛肉の煮物・

お味噌汁にご飯に、デザートはごまプリン。

小鉢にいろいろなので、奥様と私は大喜び。

女性はこういう食事が好きですよねぇ。


社長ご夫妻から手土産頂きました。
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地酒で作った酒菓。

フワフワのスポンジ。

お酒の香りが程よくてお酒が飲めない人でも美味しく感じると思います。

酒饅頭と言うのがあるのですから、

酒スポンジケーキがあっても良いですネ。



いつもありがとうございます。

宇江佐 真理 「神田堀八つ下がり」 


神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (文春文庫)神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (文春文庫)
(2011/07/08)
宇江佐 真理

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神田須田町の大店を焼け出され、

浅草御厩河岸に越してきた十七のおちえ。

失意の日々の折々に大川を眺めるのは、

水の流れがやる瀬ない気持ちをなだめてくれる気がするから…。

情緒豊かな水端を舞台に、

たゆたう人々の心模様を描いた宇江佐流人情譚。

大好評の前作『おちゃっぴい』の後日談も交えて、

しっとりと読ませます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.『どやの嬶(かか)』

「あたしが川藤にお嫁に行ったら、

安心して邪険にするんでしょう?」

おちえは隣りの家の壁のすさを毟り(むしり)ながら言う。

勘次はその手を止めた。

「そんなことはねェって。お前ェは川藤のお内儀になる女よ。

皆んなも大事にしてくるって」

火事で焼け出された自分が人並みに嫁に行ける。

自分は、それほど運がない訳でもないだろうと、

おちえはふっと考えていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・
2.『浮かれ節』

「父上の気持はよくわかっております。

お唄が父上にとってどれほど大切なものか。

でも父上はお唄よりもお務めを選ばれたのですよ。

それこそ武士たるものです。

ですから、その日は武士として座興でお唄をなしあませと

申し上げたのです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・
3.『身は姫じゃ』

「辛いことはわかっているよ。

だが、楓様が必死でお姫さんをお守りしたから

今のお姫さんがあるんじゃねェか。

それを忘れちゃならなねェとおれは言いてェんだ。

手前ェ一人で生きていると思うのは大間違げェよ」

「ですってよ」

おちかが伊勢蔵の言葉を受けて敏子(はやこ)に言う。

敏子(はやこ)は袖で涙を拭うと

「わらわはよっく肝に銘じておじゃる」と、おちかに応えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

4.『百舌(もず)』

「本当のことだべせ。

姉っちゃは泣く泣く福蔵の所へ嫁入りしたはんで。

姉っちゃは若先生の嫁になりたかったんだ。

だが、お父は兄んちゃを江戸へ出す時、

福蔵の親に借金したのせ。

それを返せねェから姉っちゃを嫁にしたんだ。

姉っちゃは人質せ」

・・・・・・・・・・・・・・・
5.『愛想づかし』

両親に見放され、亭主に背かれ、子供とも離れ離れになったお磯は

独りにされるのが怖くて、始終、人の温もりを求めていた。

そのくせ、自分んが倖せになることには及び腰になる。

お磯を女房にすつと言った時、夢みたいと喜んだけれど、

果たして本気にしていたかどうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・

6.『神田堀八つ下がり』

「はい。拙者、恰好を調えるということを勘違いしておりました。

人によい印象を与えるためにだけそうするものと思っておりました。

言わば、見栄であると。

しかし、源次という板前は自分のためにそうしていた。

乱れた恰好をすれば料理も乱れると、

己れを戒めておったのです。

拙者、そこに感動致しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「身は姫じゃ」と「百舌」が特に面白かったです。

「おちゃっぴい」の後日談と言うのが「身は姫じゃ」ですね。

岡っ引きである伊勢蔵の手下が、

娘の婿なのですが、この婿さんの父親がかなり粋でいなせな

江戸っ子として描かれています。

なにせ、十四歳の時の子供が婿さん。

三十三歳で十九歳の息子という設定です。

普段は鳶職ですが、火消しの組の頭としても活躍しています。

おちゃっぴいも読んでみたくなりました。



いつもありがとうございます。

北 重人 「汐のなごり」

汐のなごり (徳間文庫)汐のなごり (徳間文庫)
(2010/02/05)
北 重人

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北前船が着き、米相場が開かれていた北の湊。

銭と汗の匂いのする町を舞台に運命に翻弄されながらもしなやかに生き抜く人々。


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1.海上神火(かいじょうしんか)

想い人を待ち続ける元遊女。

2.海羽山

飢餓で逃散以来、行方不明の兄と邂逅する古手問屋。

「酸っぱい味がしたように思えた。

だが、すぐに涙が溢れ、黒い物を漏らした。

その涙が黒い物の味を消した。

辰吉は噛んだ。

噛むたびに、母を想い浮かべまいとした。

そうだ。兄と別れわかれになって、辰吉は、あの黒い物を

噛みしめ噛みしめ、そのたびに母の姿を消し、

海へとたどり着いたのだ。

喜三郎の目からとめどなく涙が流れ出た。」


3.木洩陽の雪

叔母と弟を亡くし、自分の子供も亡くした知世の自責の念と孫への想い。

4.歳月の船

敵討ちのため30年間、漂泊した果てに、故郷に戻ってきた絵師。

5.合百(ごうびゃく)の藤次

米相場の修羅に生きる男。

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いつもありがとうございます。

宇江佐 真理 「深川恋物語」   2014.1.21(火)


深川恋物語 (集英社文庫)深川恋物語 (集英社文庫)
(2002/07/19)
宇江佐 真理

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大店のお嬢さんがお仕着せの人生を捨て

真に愛する人と共に生きようとする姿が清清しい「下駄屋おけい」。

互いを想う気持ちがすれ違っていく夫婦の

やりきれなさが胸に迫る「さびしい水音」。

交錯する恋心に翻弄されていく男女四人の哀しみが描かれる「仙台堀」など、

江戸・深川を舞台に繰りひろげられる六つの切ない恋物語。

第21回吉川英治文学新人賞受賞作。

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1.下駄屋おけい


何不自由のない暮らしが本当に倖せだろうか。

けいは訝(いぶか)しむ。

「彦爺い、思う人と思う通りに生きられたら、

これ以上のことはないのにねえ」

・・・・・・・・・・・・・・・

2.がたくり橋は渡らない


昨夜降った雪はまだ解け残っている。

大川は濁った水の色だ。

ひと際強い風が信次のそそけた髪を嬲った(なぶった)。

おれが渡っているのは新大橋で、

決して、がたくり橋じゃない。

信次は胸の中で強く思う。

・・・・・・・・・・・・・・・

3.凧、凧、揚がれ


「凧は見掛けより拵(こしら)えるのが面倒だから、

辛抱もいるし、工夫もいる。

いずれ空に揚げることができると思えば、面倒なことも我慢する気になるじゃないの。

世の中と同じだよ。偉くなるためには辛抱が肝心なんだって。

凧を造りながら覚えるんだよ、きっと・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・

4.さびしい水音


男の表情には苦悩の色が濃い。

その男の表情を橋の下から眺める構図になっていた。

夏にお新と会った時、自分はこんな表情をしていたのかと思う。

自分からお新との縁を切っておいて、

やり直そうなどと呑気なことを言ったのが今になって恥ずかしい。

お新は心の中で笑っていただろう。それがこの絵になった。

お新の唯一の報復だと思った。

しかし、その絵の下には『さびしい水音』という題がつけられていた。

寂しいのは男の抱えている事情か、それとも描いたお新の胸の内なのだろうか。

佐吉にはその答えがわからなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・

5.仙台堀


お葉は行方知れずになった日から三日後に仙台堀の下流で発見された。

お葉は堀に身を投げたのだ。

そうすることでしかお葉は与平に対する気持ちを断ち切れなかったらしい。

お葉のことは久助の心に長く暗い影をもたらすこととなった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
6.狐拳

「たかが板前風情に情けを掛けたのが身の詰まりでござんすよ。

わっちはようやく眼が覚めましたよ。

こんなことでもなけりゃ、この先もずるずると友さんの口車に

乗せられていたでしょうよ」

むっと友吉は頬を膨らませた。

「そういうことかい。何のことはねぇ、切れ話というものだ。

手前ェ、餓鬼ができたなんざ嘘だろう?

おおかた実入りのいい旦那でも見つけたんだな、おい、図星だろ?

答えねェか」

「小うるさい男だねえ。話は終わったって言ってるじゃないか。

早くお帰り。帰って芋の皮でも剝きな」

おりんは、きっと顔を上げて悪態をついた。

「鶴次・・・」

「それそのように、これからは気安く人の権兵衛名を呼んでほしくありませんやね。

わっちはこれでも深川で名の通った芸者なんだ。

板前風情に呼び捨てにされた日にゃ女がすたるというものだ」

友吉は取りつく島のないおりんに諦めて黙って腰を上げた。

「これで本当に仕舞いか?」

わずかに躊躇する表情で友吉はおりんを見下ろした。

おりんは間髪を容れず「くどい!」と吐き捨てた。

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いつもありがとうございます。

お祖母ちゃん大好きメイちゃん   2014.119(日)

キャプチャ

お祖母ちゃんと妹と私がおしゃべりしていると、

静かに静かにソファを上がって来て、

私の膝を通過し、隣りに座っているお祖母ちゃんの所へ。

ちょこんと膝の所に前足のっけてお座りしたメイちゃん。

仲間に入れて欲しいメイちゃんは、

一番目立つ所をちゃ~んと知っております(笑)



いつもありがとうございます。

猫譲渡会ボランティアさんのお手伝い   2014.1.19(日)

今日は、猫譲渡会のボランティアさんのお手伝いに行って来ました。

今回は17頭の譲渡会でした。

多くの方がいらして下さいまして、17頭中、10頭が譲渡契約しました。

片目の「政宗君」。

とっても落ち着いた大人しい猫ちゃん。
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結構大きな猫ちゃん。

里親さん決まりました。

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政宗君は、会場でも人気でセンターの人やボランティアさん達が、

里親決まって皆んでお別れの抱っこをしてお見送りしました。

理解ある里親さんは、猫を飼い慣れているので安心してお渡ししていました。



こちらは、エイズ猫ちゃん。
036.jpg

猫エイズってちょっと誤解して認識していました。

発症しなければ、普通に元気に長生きするそうです。

発症状況は、口内炎などがでるそうですが、

インターフェロン接種三回で落ち着いて、

現在14歳になるエイズの猫ちゃんもいるそうです。

ケンカなどして相手の猫を傷つけたり交尾した事によって、

伝染するそうですが、人間には伝染しないとの事。

エイズって聞くと尻込みしちゃいますよね。

今回の譲渡会のエイズ猫ちゃんも説明を受けた方が、

里親になって下さいました。

中学生の男の子がお母さんとようく相談して、

自分でその猫ちゃんに決めていました。

039_201401191727160ce.jpg

一目ぼれしたのか、その猫ちゃんだけず~っと

抱っこして離しませんでした(^^)

幸せにね!まろんちゃん!




気になる猫ちゃんがいました。

「ポコちゃん」。

出産経験ありの3~4歳位。

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とてもシャイで隅っこにじ~っとうずくまったまま。

口にちょっと障害があるのか、舌をいつもちょっとだけ

出しています。


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ゲージから出そうと抱くと、

必死にゲージの柵につかまって抱っこさせてくれなくて、

残念ながら今回は里親さん決まりませんでした。

いつか「ご縁」がありますように・・・。


今日は9時から15時位までのお手伝いでした。

初めての事ですし、皆さんの邪魔をしないよう大人しくしていました(笑)

譲渡されて里親さんが決まる時は、皆さんの笑顔が良いですねぇ。

初めて猫を飼う人もいまして、そばでお話を聞いていたら、

絶対このご家庭で飼われた猫ちゃんは、「ご主人様」になるなぁと

思いました(笑)

私がメイを頂く時と同じ心境だったからです(笑)

個性的な猫ちゃんそれぞれに触れられて、とても貴重な経験をしました。

来月もまたボランティアクラブさんの

お手伝いに参加させて頂く事にしました(^^)

邪魔にならないよう気を付けます(^^)




いつもありがとうございます。

高田 郁 「残月 みをつくし料理帖 ⑧」   2014.1.16(木)


残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)
(2013/06/15)
高田 郁

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吉原の大火、「つる家」の助っ人料理人・又次の死。

辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる家」の面々は新たな日々を迎えていた。

そんなある日、

吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れた。

あさひ太夫と澪の関係、

そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいという。

澪の幼馴染み、あさひ太夫こと野江のその後とは―――(第一話「残月」)。

その他、若旦那・佐平衛との再会は叶うのか?

料理屋「登龍楼」に呼び出された澪の新たなる試練とは・・・・・。

雲外蒼天を胸に、料理に生きる澪と「つる家」の新たなる決意。

希望溢れるシリーズ第八弾。


・・・・・・・・・・・・・・・・

「塩のあてかたにも、紙塩、立て塩、振り塩、撒き塩、

と色々あるの。

料理の味を決めるにも塩はとても大切で、

例えば『塩梅(あんばい)』と言う言葉は、

塩と梅酢が出会うと双方の味が丸くなり、

味わいが増すことから来ているのよ」

・・・・・・・・・・・・・・・


「この齢になってわかることだが、

残された者が逝っちまった者のために出来ることは、

そう多くは無ぇのさ。

中でも大事なのは、心配をかけないってことだ」

店主の言葉に、ふきは涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げる。

種市は湯飲みの中身をぐっと干して、少女に向き直った。

「そのひとを大事に胸に留めて、毎日を丁寧に生きようじゃねぇか。

身の回りの小さな幸せを積み上げて、なるたけ笑って暮らそうぜ。」


・・・・・・・・・・・・・・・

赤や黄、橙や茶、飴色など、樹木が彩りの衣を纏う(まとう)季節となった。

お裾分け(おすそわけ)か、色付いた葉がひとびとの頭上にはらはらと降り、

一陣の風に絡め取られる。

神保小路の日蔭に吹き寄せられた落ち葉が、今朝は白っぽく見えた。

じっと目を凝らせば、薄く霜が降りて凍えている。

道理で寒いはずだわ、と澪は小さく身震いして、

無防備な両の手に息を吹きかける。

吐いた息は一瞬、白く凍り、僅かに掌を湿らせてすぐに消えた。

・・・・・・・・・・・・・・

「子の幸せと親自身の幸せを混同しないことです。

いっぱしに成長したなら、子には自力で幸せになってもらいましょうよ。

そして、親自身も幸せになることです。

ひとの幸せってのは、銭のあるなし、身分のあるなしは関係ないんです。

生きていて良かった、と自分で思えることが、何より大事なんですよ」

・・・・・・・・・・・・・・・

「秋に蒔かれて芽吹いた麦は、冬の間、こうして雪の下で春を待つのです。

陽射しの恩恵をじかに受けるわけでもなく、

誰に顧みられることもない。

雪の重みに耐えて極寒を行き抜き、やがて必ず春を迎えるのです。

その姿に私は幾度、励まされたか知れない」

・・・・・・・・・・・・・・・

柳吾は外の陽射しに見入ったあと、改めて、強い志の宿る瞳を芳に向けた。

「亡くなった嘉兵衛さんへの想いもあるでしょう。

気持に区切りをつけることは難しいかも知れない。

けれど、私はそうした想いも全て受け止めて、

あなたというひとと生きていきたいのです」

ゆっくりと、柳語は畳に両手をついた。

「芳さん、どうか、私のもとにいらしてください。

あなたが受けてくださるまで、この命のある限り、待たせて頂きます」

耐え切れず、芳は顔を覆って泣いている。

その姿が昨夜の芳の後ろ姿と重なった。

これまで幾度も幾度も、芳の涙を見てきたけれども、

今の涙はこれまでのものとは全く違う。

澪にだけはわかることだった。

泣き続ける芳に腕を差し伸べて、澪はその背中を撫でる。

ご寮さん、どうぞ幸せになっておくれやす。

・・・・・・・・・・・・・・・

澪・芳・ふき・種市・・・

それぞれの方向性が具体的になって来ます。

澪のさらなる料理人としての旅立ちの決意。

芳の幸せ。

ふきの料理人としての成長。

そんな周りの者を寂しくも覚悟の上で見守り背中を押す種市。

まだまだ試練はやって来るも、

澪の料理人としての迷いはなく、

先を観る目と常なる精進が潔いです。


いつもありがとうございます。

高田 郁 「夏天の虹 みをつくし料理帖 ⑦」   2014.1.15(水)

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))
(2012/03/15)
高田 郁

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想いびとである小松原と添う道か、

料理人として生きる道か…

澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。

「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客や、

料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。

天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、

決して譲れない辿り着きたい道が、はっきりと見えていた。

そして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに―

・・・・・・・・・・・・・・・・

「番付から外れたことで、

多くのひとを失望させてしまった・・・

澪さんは、そのことが何より辛いのでしょう。

ひとの想いを大切に扱うことは間違いではない。

けれど、その想いに押し潰されてしまわないでください。

料理人の本文は、

その喜びはきっと別のところにあるはずです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

「嘉兵衛が亡うなって、お前はんを料理人として

導く者がおらんようになった・・・

そない思うてました。

けど、それは間違いやった。

神さま仏さまは、お前はんの才を潰さんよう、

折々に必要な助言をくれはるひとを用意してなはるんやなあ」

はい、と澪は頷き、ふっと目を伏せた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「恋を知って、澪さんの料理は変わりましたよ。

自分で気付きませんか?」

問われて澪は戸惑い、小さく頭を振る。

りうは、腕を伸ばし、皺だらけの手で澪の両の手を握った。

「澪さんの料理には、

祈りが籠(こも)っているのですよ。

食べるひとの幸せを心から祈る、

切ない祈りがね」

己の狡(ずる)さや、

情けなさばかりが心に突き刺さる拙(つたな)い恋だった。

それでも恋は無駄ではなかった。

涸(か)れたはずの涙が、

澪の双眸(そうぼう)から溢(あふ)れた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は、澪と小松原の哀しい恋の結末と

澪が料理人として致命的体調異変が起こるのと

月に三回手伝いに来てくれていた又次の悲しい最後と

次から次へと至難が訪れます。

中にはこういった不幸続きが

好きではない読者も多いと思います。

私も「またかよ・・・」派です。

それでも面白いと思うのは、

澪だけの物語ではなく、

周りの人々それぞれの物語も描かれていて、

澪はその人達一人一人から学んで成長しているからです。

その学んだ事を料理に活かし、人を助け澪自身が助けられます。

また、澪始め、登場人物達の個性がしっかり描かれていて、

ちょっとした表現が目に浮かび読んでいて楽しいです。

例えば、つる家での仕事が終わると澪と芳が帰るのですが、

時々遅くなったり天候が悪いと、つる家に泊まります。

そんな時は住み込みのふきが、

ぴょんぴょんとはねて喜ぶのですが、

何とも可愛らしい表現が目に浮かんで微笑ましいです。




いつもありがとうございます。


ふき煮物他    2014.1.14(火)

今夜の夕飯。
セリの塩もみ。
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ふきの煮物。
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切干大根とにんじんの煮物。
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ひじき・切干大根・油揚げの煮物。
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雪菜・しらすの胡麻和え。
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これだけでお腹いっぱいなのでご飯はナシ。
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今日の簡単弁当。
梅肉・しらす・大根葉・沢庵を混ぜておく。
ご飯とご飯の間に刻みのりをふりかけた上に乗っけただけ。
玉子焼きとウィンナーを添えて。
5分とかからない簡単弁当(笑)
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福島から贈って頂いた「香の蔵」の「蔵キムチ」
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四角いバケツいっぱい。
かなりの量です。
キムチ鍋でもしようかな。
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いつもありがとうございます。





高田 郁 「心星(こころぼし)ひとつ みをつくし料理帖 ⑥」


心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)
(2011/08/10)
高田 郁

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酷暑を過ぎた葉月のある午後、

翁屋の桜主伝右衛門がつる家を訪れた。

伝右衛門の口から語られたのは、

手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。

一方登龍楼の采女宗馬からも、

神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移って来ないか、

との話が届いていた。

登龍楼で奉公をしている、ふきの弟健坊もその店に移して構わないとの事に、

それぞれが思い揺れていた。

つる家の料理人として岐路に立たされた澪は決断を迫られる事に――

野江との再会、小松原との恋の行方は!?


・・・・・・・・・・・・・・・・


「今は丸いあのお月さんも、

明日からまた徐々に身を削がれて、

晦日には消えてしまう。

けど、時が経てば少しずつ身幅を広げて、

またあの姿に戻る。

ひとの幸せも、

似たようなもんやろなあ」

・・・・・・・・・・・・・・・・


つる家は本当に良い常客に恵まれた、

と澪はつくづく思う。

昔、天満一兆庵の嘉兵衛から教わったことだが、

何かを美味しい、と思うのは、

ただ料理の味のみで決まるものではない。

どんな場所で誰と食べるか、

というのも大いに味を左右する。

見知らぬ者同士が料理をきっかけに話したり、

ほかのお客の会話に相槌をうったりして、

和やかな雰囲気の中で食べるものは、

いずれも美味しく感じるものだ。

・・・・・・・・・・・・・・・


「与えられた器が小さければ、

自分の手で大きくすりゃあ済むことですよ」


・・・・・・・・・・・・・・・


「土の上に生るものはお湯から、

土の下にできるものはお水から茹でる、

と覚えておけば便利ですよ」

「では、里芋や大根、牛蒡は水からですね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・



いつもありがとうございます。

タンゴ・アリエント ラテン音楽ライブ    2014.1.13(月)

無料の一時間ライブに行って来ました。

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バンドネオン奏者が友人の息子さん。

膝に乗せて両手で鍵盤演奏。

ロビーコンサートなのですが、ぎっしりで会場からも溢れていました。

多分500名位はいたと思います。

ご年配の方々が多かったのですが、

リズミカルに体を動かしたりと楽しんでいました。

フルートとタンゴって合うんですねぇ。

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大きな拍手でアンコール演奏を三回もしてくれました。

バンドネオンって素晴らしいですね!



いつもありがとうございます。

高田 郁 「小夜しぐれ みをつくし料理帖 ⑤」   2014.1.13(月)


小夜しぐれ (みをつくし料理帖)小夜しぐれ (みをつくし料理帖)
(2011/03/15)
高田 郁

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>季節が春から夏へと移ろい始める如月のある日。

日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。

美緒の話によると、

伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。

それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。

果たして、美緒の縁談の相手とは!?――(第三話『小夜しぐれ』)。

表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、

『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。

恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾!!

・・・・・・・・・・・・・・・


あれこれと考え出せば、道は枝分かれする一方だ。

良いか、道はひとつきり・・・

すっと心の重石が外れる。

澪は両の腕を広げて、胸一杯に春の空気を吸い込んだ。

そう、与えられた場所で一心に精進を重ね、

料理に身を尽くす、という生き方を貫けば良い。

そうすることで、きっと道は拓ける。

今はそう信じよう。

・・・・・・・・・・・・・・


昔から、働き過ぎで精根尽きた時には、

大根や昆布、蒟蒻や蓮根など

「こん」の付くものを摂ると良い、と言われている。

それに加えて滋養のある玉子と消化に良いお粥を

合わせるのだ、と澪は娘に教えた。

・・・・・・・・・・・・・・・


「見目形の美しさはもとより、

教養の高さ、機転、そして度胸。

どれひとつ欠けることのない、

まさに太夫と呼ぶのが相応しい。

澪さんの幼馴染の野江さんは、

ただ運命に翻弄されるだけではない、

自ら運命を切り拓いていく強さをお持ちです」

・・・・・・・・・・・・・・・




いつもありがとうございます。

高田 郁 「今朝の春 みをつくし料理帖 ④」  


今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
(2010/09/15)
高田 郁

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月に三度の『三方よしの日』、

つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、

繁盛していた。

そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、

澪は包丁使いの指南役を任されて―――(第一話『花嫁御寮』)。

戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。

少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは

―――(第二話『友待つ雪』)。

おりょうの旦那伊左三に浮気の疑惑が!? 

つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは―――(第三話『寒紅』)。

登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。

澪が生み出す渾身の料理は―――(第四話『今朝の春』)。

・・・・・・・・・・・・・・・・


どんな時にも乱れない包丁捌きと味付けで、

美味しい料理を提供し続ける。

天賦(てんぷ)の才はなくとも、

そうした努力を続ける料理人こそが、

真の料理人

・・・・・・・・・・・・・・・


あのかたは、私にとっては、

御膳奉行の小野寺さまなどではなく

浪士の小松原さま。

これからも、ひとりの娘としてではなく、

つる家の料理人として、

時折りあのかたがお客として

ここに来られるのを待っていられたら、

それで充分です。

口にする料理であのかたを健やかに保ち、

お守り出来るなら、それで・・・。

脳裡に浮かん小松原の母の面影に、

詫びるように澪にそっと呟いていた。

・・・・・・・・・・・・・・・


あの水害さえなければ、澪は塗師(ぬし)の娘として

慎ましく育ち、おそらく今頃は職人の女房となり、

子の母となっていただろう。

また野江は淡路屋の末娘として何不自由なく暮らし、

同じく大店の若旦那のもとへ嫁いでご寮さんに

おさまるに違いなかった。

それが、あの天災を境に、

片や天涯孤独の身となり江戸で女料理人として生き、

片や、吉原へ売られて遊女として生きることとなってしまったのだ。

詮無いことだが、水害さえなければ、

と思わずにはいられない。

・・・・・・・・・・・・・・・・


「あんた、よう覚えときなはれ。

今度あさひ太夫に関わったら地獄を見ますで」

焦点の合わぬ濁った眼を向ける女衒(ぜげん)に、

澪はゆっくりとこう言い添えた。

「次は助けへん。

それどころか、

私のこの手ぇでお前はんを三枚に下ろしたるさかいに」

・・・・・・・・・・・・・・


「白雪の色わきがたき梅が枝に友待つ雪ぞ消え残りたる・・・

と、古い歌に詠まれています。

あとから降る雪を待って、

まだ消え残っている雪のことを、

そう呼ぶのですよ」

昔のひとは美しい心を持っていますね、

と言い残して源斉は帰って行った。

・・・・・・・・・・・・・・



いつもありがとうございます。

高田 郁 「想い雲 みをつくし料理帖 ③」   2014.1.11(土)


想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)
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土用の入りが近づき、澪は暑気払いに出す料理の献立に

頭を悩ませていた。

そんなある日、戯作者・清右衛門が版元の坂村堂を連れたって

「つる家」を訪れる。

澪の料理に関心した食堂楽の坂村堂は、

自らが雇い入れている上方料理人に是非この味を思えさせたいと請う。

翌日、さっそく現れた坂村堂の料理人はなんと、

行方知れずとなっている、天満一兆案の若旦那・佐兵衛と共に

働いていた富三だったのだ。

澪と芳は佐兵衛の行方を富三に聞くが、

彼の口から語られたのは耳を疑うような話だった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

<主な登場人物>

澪:幼い日、水害で両親を失い、大阪の料理屋「天満一兆庵」奉公。  
  今は江戸の「つる家」で腕をふるう若き料理人。

芳:もとは「天満一兆庵」のご寮さん(女将)。
  今は澪とともに暮らす。
  行方知れずの息子、佐兵衛を探している。
  澪の食材を手に入れる為に宝物の簪を売って手助けする。
  後に種市が簪を取り返してくれるが・・・さらに失う事に・・・

種市:「つる家」店主。
   澪に亡き娘つるの面影を重ねる。
   亡き娘が、かどわかされ亡くなったのは
   自分が博打で家族をないがしろにした為との自責の念があり、
   澪を娘として、ふきと健坊を孫のように可愛がる。

ふき:「つる家」の下足番の少女。
   弟の健坊は「登龍楼」に奉公中。
   澪を実の姉のように、芳を母親のように慕う。
   りうばあさんを恐れている。(歯がないのに何でも食べるから)

おりょう:澪と芳のご近所さん。
     「つる家」を手伝う。
     夫は腕のよい大工伊佐三、子は太一。
     太一は火事で両親を失い、おりょう夫婦に引き取られる。
     声を出せない。

小松原:謎の侍。
    辛口ながら澪に的確な助言を与える。
    澪の想い人。

永田源斉:御典医・永田陶斉の次男。
     自身は町医者。
     大店の娘「美緒」から想われ、婿にと請われるも、断る。

采女(うねめ)宗馬:澪と対抗している高級料理屋「登龍楼」店主。

野江:澪の幼馴染み。
   水害で澪と同じく天涯孤独となり、
   今は吉原「翁屋」であさひ太夫として生きている。
   澪がつる家を火事で失った時に、野江が又次を通し、
   十両を出して再起の援助をする。

清右衛門:売れっ子戯作者。
     澪の料理を褒めるも皮肉も忘れない「つる家一」のお客。

りう:ふきを紹介した口入屋の店主の母親。
   若いころに料理屋で働く経験あり。
   「つる家」を手伝いながら客あしらいと適格な助言に
   何度も澪は助けられる。
   一本も歯がないが、歯茎だけで固いせんべいもバリバリ食べる。
   
美緒:大店の我がままお嬢様。
   町医者源斉に片思い。
   大奥に見習い奉公する為、澪に料理を教えてもらう。

又次:吉原「翁屋」花魁の野江に尽くす料理人。
   野江と澪の仲を取り次ぐ役目。
   澪に頼まれ月に三回「つる家」を手伝う。  

・・・・・・・・・・・・・・・・


澪ちゃん。

澪を呼ぶ、その声。

耳に残る幼い声とは違う。

なのに、切なくなるほどに懐かしく感じる。

澪は奥歯を噛みしめて涙を堪える。

白狐は被っていた面を少しだけずらした。

切れ長の美しい目が笑っている。

漆を刷いたように潤んだ黒い瞳。

ああ、やっぱり野江ちゃんや。

そう言ったつもりが声にならない。

涙が双眸から吹き出して、澪は堪らず野江に縋った。

脳裏に、あの夏の大阪の光景が蘇る。

ともに渡った天神橋。

新町、花の井。東横堀川に刻まれる水紋。

幸福な情景の中で、幼い野江と澪とが笑っている。

逢いたかった、ずっと逢いたかった。

ずっとずっと、逢いたくて、逢いたくて。

野江ちゃん。

・・・・・・・・・・・・・・・・・


遠く離れて生きる友ふたり。

片や、春に芽吹く樹を眺めて相手を想い、

片や、日暮れの雲を見て相手を想う・・・

眼下、遊里にぽつぽつと灯が入り始めた。

あの何処かに野江が居て、

同じ雲を見上がているのだ。

彼方から、澪の名を呼ぶ野江の声が、

確かに耳に届いた・・・。




いつもありがとうございます。

高田 郁 「花散らしの雨 みをつくし料理帖 ②」   2014.1.11(土)


花散らしの雨 みをつくし料理帖花散らしの雨 みをつくし料理帖
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高田 郁

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元飯田町に新しく暖簾(のれん)を掲げた「つる家」では、

ふきという少女を下足番として雇い入れた。

早くにふた親を亡くしたふきを、

自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪(みお)。

だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、

澪の創作したはずの料理と全く同じものが

「つる家」よりも先に供されているという。

はじめは偶然とやり過ごすも、

さらに考案した料理も先を越されてしまう。

度重なる偶然に不安を感じた澪はある日、

ふきの不審な行動を目撃してしまい・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

ふきには幼い弟健坊がいます。

両親を亡くし幼い弟を守る為に取ったふきの行動は、

実は奉公先である「登龍楼の料理長」からの命令でした。

ふきは「もういやです」と奉公先の料理長に言うと、

殴る蹴るの暴力をされます。

事情を知った澪が登龍楼の店主に直談判します。

店主は全く知らない事で驚き、澪に手をついて謝罪します。

店主は不始末を起こした料理長とふきを辞めさせます。

弟と離れたくないふきは懇願しますが、

両親の多額の借金の為に奉公せねばならず、

弟は登龍楼に残り、ふきは澪の店で働くことに。


「健坊」

姉ちゃん、と男児もふきに縋る(すがる)。

健坊、ごめんね、ごめんね、とふきは幼い弟を抱き締めた。

連れて行けなくてごめんね、とふきはそればかり繰り返す。

「姉ちゃんもしっかり働くから。

だから辛抱して待っていて」

亡父の残した借金が、

自分たちふたりを雁字搦め(がんじがらめ)にしていることを、

幼いながら理解しているのだろう。

弟は、小さな拳を握り締めて必死で耐えている。

澪は腰を屈め、健坊の顔を覗き込んだ。

「藪入りが来たら、お姉ちゃんを迎えに寄越すから、

つる家へいらっしゃい。

それと、時々、健坊の様子を見に来れるようにするから」

他にどうにもしてやれない切なさを押し隠して、

澪は優しく健坊の頬を撫でた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・


野江だ、野江があそこに居るのだ。

澪はその場で背伸びをして、

中を覗こうとしたが果たせなかった。

・・・泣いてへんか、

野江の言葉が蘇って、澪は無理にも奥歯を噛み締めて

涙を堪える。

野江ちゃん。

思いきりその名を呼びたい。

あの部屋へ駆け込みたい。

どれも叶わぬことだけれど、

せめて今は、涙を見せまいと、と澪は奥歯をきつく、

きつく噛みしめた。

・・・野江ちゃん、私、泣いてへんよ。もう泣かへんから

せめてそれだけを伝えたくて、

澪は、咄嗟に右の指を狐の形に結んだ。

そして、野江の居るだろう二階座敷へ向けて、

その手を差し伸べる。

涙は来ん、来ん。

胸の中で唱えながら、幼い日、そうしてたように空で振ってみせる。

涙は来ん、来ん。

その刹那。

障子の隙間から、そっと白い腕が差し出された。

夜目にも真っ白な細い女の左腕。

その手の先が狐の形に結ばれる。

・・・涙は来ん、来ん

まるでそう囁くように、細い手が弱々しく振られた。

澪の双眸から堰を切ったように涙が溢れ、頬を伝い落ちる。

それを拭うこともせずに、

澪は自分も狐に結んだ手を振り続けた。

・・・・・・・・・・・・・・・・


「食べるというのは本来快い(こころよい)ものなんですよ。

快いから楽しい、だからこそ、

食べて美味しいと思うし、身にも付くんです。

それを『食べなきゃだめだ』と言われて、

ましてや口に食べ物を押しつけられて、

それで快いと、楽しいと思えますか?」

こんな当たり前のことに、

どうして気が付かないんでしょうかねぇ、

と、りうは歯の無い口をさらに窄めて(すぼめて)みせる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・




いつもありがとうございます。

高田 郁 「八朔(はっさく)の雪 みをつくし料理帖①」   2014.1.9(木)


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神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」

店を任され、調理場で腕を振るう澪(みお)は、

故郷の大阪で、少女の頃に水害で両親を失い、

天涯孤独の身であった。

大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、

天性の味覚と負けん気で、

日々研鑚を重ねる澪。

しかし、そんなるある日、彼女の腕を妬み、

名料理屋「登龍楼(とりゅうろう)」が非道な妨害をしかけてきたが・・・

料理だけが自分の仕合せへの道筋と定めた澪の奮闘と、

それを囲む人々の人情が織りなす、

連作時代小説の傑作ここに誕生!

・・・・・・・・・・・・・・・

母わかは倹しい(つましい)暮らし向きの中にあって、

旬の食材を取り入れた手を抜かない料理を作った。

春は蕗(ふき)と若布(わかめ)の炊き合わせ、

夏は冬瓜(とうがん)の葛(くず)ひき、

秋は小芋の煮ころがし、

冬は風呂吹き大根、等々・・・

それを父伊助の塗った漆器と箸とで食べさせてくれた。

父の漆と、母の料理とが澪の舌を育てたのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

半日ほど水に浸けておいた昆布をその水ごと火にかけて、

沸騰する前に昆布を引き上げる。

そこへ削り立ての鰹節を入れ、

ゆっくりと十かぞえて火から離す。

削り節が沈んだら布巾で濾す(こす)。

それが、幾度も修練を重ねて、

澪が見つけた合わせ出汁の引き方であった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
<とろとろ茶碗蒸し>

「玉子が滋養になるのは明々白々。

海老は老化による体力の衰えに効くのですよ。

百合根は心身を健やかに保つ。

銀杏は肺を丈夫にし、咳を鎮めるのです。

この椀の中には、健やかさを保つ秘訣がぎっしり詰まっています。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

八朔の雪?

と首を傾げて(かしげて)いる澪に、

源斉がふっと頬を緩めた。

「八月朔日(ついたち)に吉原の遊女たちが

白無垢を着ている情景を『八朔の雪』と言うのです。

残暑厳しい季節に雪を思わせる風情から、

そう呼ぶのでしょうね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この吉原の遊女が、実は澪に大きなかかわりがある人でした。

そしてその遊女のお蔭で澪は救われ、

困難を乗り越えて行きます。

澪は下がり眉の決して美人ではない18歳の少女ですが、

素直で健気で情が深い。

澪の周りには貧しく、悲しい事情を抱えた人々がいますが、

料理を通してみんなが澪の周りに集まり、助け合います。

質素な素材をもお店の看板料理にしてしまう澪の手腕が

大変面白いです。

巻末には、澪が考えた料理のレシピを載せています。




いつもありがとうございます。


Mary’sの福袋    2014.1.5(日)

もう何年も福袋なるお楽しみを買っていない。

最後に買ったのは・・・5年前かな・・・

ドトールの福袋でしたが、

これがまたすごい豪華って言うか、種類と量と金額が

とっても嬉しかったのを覚えています。

ドトールの福袋お買い得ですヨ(笑)

さて本日は、チョコ好きの私を知ってか知らずか、

メリーチョコの福袋をお年賀挨拶で頂きました。


002_201401051519374d3.jpg

自分で買うのも良いけど、

こうして「福袋」を頂くって嬉しいものですネ(笑)




いつもありがとうございます。

高田 郁 「出世花」   2014.1.3(金)


出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫)出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫)
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高田 郁

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不義密通の大罪を犯し、

男と出奔した妻を討つため、

矢萩源九郎は幼いお艶を連れて旅に出た。

六年後、飢え凌ぎに毒草を食べてしまい、

江戸近郊の下落合の青泉寺で行き倒れたふたり。

源次郎は落命するも、一命をとりとめたお艶は、

青泉寺の住職から「縁」という名をもらい、新たな人生を歩むことに―――。

青泉寺は死者の弔いを専門にする「墓寺」であった。

直に死者を弔う人びとの姿に心打たれたお縁は、

自らも湯灌場を手伝うようになる。悲境な運命を背負いながらも、

真っすぐに自らの道を進む「縁」の成長を描いた、

著者渾身のデビュー作、新版にて刊行!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「正念さまのこの手が、私の父を清めてくださいました。

骸(なきがら)だけではなく、父の抱いていた無念を洗い流し、

その魂を清らにして浄土に旅立てるようにしてくださったのです」

「この手が」正念は、苦しみの中で言った。

「この手が、信吉を手にかけて殺めようとした」

「私の父もまた、自身の妻と不義の相手とを殺めようとしておりました。

その一念で六年を過ごし、この地で力尽きて果てたのです」

お縁は正念の手を握り締めた。

温かい、大きな手だった。

「この手、正念さまのこの手こそが、

父の無念を洗い流してくださったのでございます。

私にとっては尊い、何よりも尊い手です」

お縁の言葉に、正念の双眸から熱い涙が溢れ出した。

堪えきれず、お縁に手を包まれたまま、彼は顔を覆った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「出世花」「落合蛍」「偽り時雨」「見送り坂暮色」

の4編の中でも、「偽り時雨」が特に好きです。

「惚れた女のため、惚れた女のためなんだ、正縁さん、

俺を髪切り魔に仕立てることで、

惚れた女が抜き差しならない状態から

浮かび上がれるなら、それで本望なんだ・・・」

聞こえるはずのない岩吉の声が、お縁の耳元に届く。


とてもせつない物語でした・・・

人から化け物と避けられて来た岩吉と正縁ことお縁との約束・・・

自分が死んだらお縁の手によって清めて浄土へ見送ってほしい・・・

その約束が、ある事件の濡れ衣を着せられる事によって、

あまりにも早い時期にやって来てしまいます・・・。

お縁の岩吉に対する湯灌の清め方に泣けます。



いつもありがとうございます。

あさの あつこ 「待ってる 橘屋草子」   2014.1.2(木)


待ってる 橘屋草子 (講談社文庫)待ってる 橘屋草子 (講談社文庫)
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あさの あつこ

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おふくが「待ってる」ものとは・・・

少女の成長を通して語られる、

下町の絆と心意気。

「藪入りには帰っておいで。待ってるからね。」

母の言葉を胸に刻み、料理屋「橘屋」へ奉公に出たおふく。

下働きを始めたおふくを、中居頭のお多代は厳しく躾ける。

涙を堪えながら立ち働く少女の内には、

幼馴染の正次(しょうじ)にかけられたある言葉があったが・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・

主人公の「おふく」をはじめとする「橘屋」で働く人々の生き様が描かれています。

幼いおふくが家の事情で奉公先に選んだ「橘屋」は、

おふくにとって生きがいとなります。

おふくを厳しく躾ける「お多代」ですが、

そこにはイジメやイビリはありません。

厳しいながらも人を見る術を教え、不幸な道に行かないよう導きます。

橘屋で働く中居である女性たち一人一人にも苦しい事情があり、

諦めや逃げに負けそうになるところを、おふくの素直な行動と

お多代の厳しい戒めにより皆助けられます。

一年二年と過ぎる中で、おふくの成長ぶりが逞しいです。

それにしても切ない物語が描かれています・・・

最後におふくは「あたしは、もう誰も待たないって決めたんです。」と言います。

それがどんな意味なのか・・・

正次との事はどうなるのか・・・

そして、病に倒れたお多代は・・・


いつもありがとうございます。

高田 郁 「みをつくし献立帖」   2014.1.1


みをつくし献立帖 (ハルキ文庫 た 19-9 時代小説文庫)みをつくし献立帖 (ハルキ文庫 た 19-9 時代小説文庫)
(2012/05/15)
高田 郁

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大好評「みをつくし料理帖」シリーズで登場した料理を
あなたのご家庭に!!

「はてなの飯」「ありえねぇ」など、
本編ではご紹介出来なかったレシピを初公開。
澪がつくりだす料理を著者自らが完全再現。

また、つる家の間取り図や書き下ろしエッセイなど
余すところなく収録。
そして、ここでいか読めない、澪と野江の幼き日の思いでを描いた
書き下ろし短篇小説「貝寄風(かいよせ)」を
特別収録した豪華なレシピ本。

・・・・・・・・・・・・・・・

写真付きのレシピと、印象的なセリフも載せています。

「雪見鍋」「蓮根の射込み」「蕗の青煮」などなど・・・

きゅうりとタコと針生姜の酢の物が「ありえねぇ」というんですねぇ。

当時のお店の間取りも描いていて興味深いです。

お盆に乗せた料理を長床几に置き食べていたそうです。

体をひねったり、床几に足を折ったり、床几を跨いだりと、

自由な体制で食べていたそうです。



「料理に向かう時は、

胸に陽だまりを抱いていようと思う。」

(澪「想い雲」)より




いつもありがとうございます。

2014年 元旦

あけましておめでとうございます。

お天気も良く、さほど寒くもなく穏やかなお正月嬉しいなぁ。

皆んな集まってお雑煮を頂きました。

008_201401011310182e2.jpg

お雑煮・あんこ餅・ずんだ餅・・・

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ほんのひと口だけでのずんだ餅にしました。

お酒は「ゆず酒」。

梅酒のような飲み口の爽やかさで美味しかったです。

お花も飾ってお正月らしく(^^)

011_201401011321106ed.jpg

・・・・・・・・・・・・・・・

今年はどんな年になるのかなぁ。

昨年はちょっと面倒な事があり忙しい思いや悲しい思いもしましたが、

いろいろ勉強にもなりました。

先走らず、でしゃばらず、短気を起こさずを肝に命じて、

今年も体に気を付け、無事故で過ごせますよう、

喫茶喫飯で行こうと思います(^^)

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。



いつもありがとうございます。

蝶が舞うリースの時計
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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