FC2ブログ

宇江佐 真理 「彼岸花」


彼岸花 (光文社時代小説文庫)彼岸花 (光文社時代小説文庫)
(2011/08/10)
宇江佐 真理

商品詳細を見る



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<つうさんの家>

家業が傾いたために見知らぬ「つうさん」に

預けられたおたえ。


『年老いて、何か望みがあるかと訊ねられ、

つうさんは、孫と少しの間でいいから一緒に

暮らしたいと洩らした。』


・・・・・・・・・・・・・・・

<おいらのツケ>

父親の病気で隣の梅次とおかつ夫婦に育てられた三吉。


『了簡の甘さがツケを増やし、

にっちもさっちも行かなくなったのだ。

自分も知らずに世の中のツケを増やしていたのだ。

本来は味わうはずだった寂しさのツケ、

しなければならなかった苦労のツケだ。』


・・・・・・・・・・・・・・・・

<あんがと>

小さな尼寺の四人の尼と捨てられたおと。


『「みょうみょう、あんがと」

おとは、はっきりとした声で応えた。

ありがとうと言っているのだ。

妙円は、はっとした表情になった。

初めておとから聞いた礼の言葉だった。

尼僧達の胸に感動のようなものが拡がった。』

・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼岸花>

江戸の小梅村で庄屋を務める家に生まれたおえいは

気の強い母親と一家を切り盛りしていた。

武家に嫁いだ妹は時折物やお金を無心に実家を訪れる。

そんなちゃっかりした妹が許せないおえいは、

ある日母親の不在を理由に妹の頼みを断る。

やがて妹の婚家から届いた知らせは―。

嫁ぎ先でいじめ抜かれた妹に

手を差しのべられなかった姉の後悔・・・。


『おえいは、そっと白い布を引き上げ、

おたかの顔を見た。

おたかの顔はむくみ、灰色になっていた。

そして、閉じた眼から血の涙を流していた。

ここで死ぬのは、さぞ無念であったろう。

おりくが大人になるのは、まだまだ先のことだ。

だが、おえいは思う。

生きていたところで、おたかの苦労は続いていたはずだ。

生きるのが地獄なら、いっそ死んだ方がよかったのか。

おえいにはわからない。』

・・・・・・・・・・・・・・・・

<野紺菊>

ぼけた姑を義姉おさわと世話するおりよ。


『今、生きている人間の死を望むことは人の道に

外れることだ。

人は誰でも年を取る。

年を取ればおすまのように、

頭がまともに働かなくなることだってある。

それは、おすまの罪ではない。

そんなおすまの世話をするのは、

残された者のつとめだ。

理屈はわかっているつもりだが、

世の中には、そのつとめと無縁で過ごす者もいる。

天の神さんは不公平だと、おりよは時々考える。』

・・・・・・・・・・・・・・・・

「振り向かないで」

親友の夫と不義に耽る(ふける)おくら。


『おくらは、おけいの言葉の意味を胸で反芻した。

おけいが何も知らなければ、

あんな言葉は出る訳がない。

すっかり片がついたといえども、

男は昔の女を、そうそう忘れるものではないだろう。

ついこちらを見てしまった巳之吉をおけいは制したのだ。

振り向かないで。

もしかして、それはおくらに対して言った言葉なのかもしれない。

(おくらちゃん、もういいでしょう?

もう、うちの人に構わないで)

おけいは、そう言いたかったのだろう。』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いつもありがとうございます
スポンサーサイト



プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

カレンダー
01 | 2014/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
日記
1652位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
683位
アクセスランキングを見る>>
最新コメント