小杉 健治 「冤罪(えんざい)」

渾身の長編時代サスペンス
一夜限りの女のために獄門台に首をさらすのか。
無実を晴らすことができるのは、倉賀野宿で出会った女郎だけ。
だが、女は大店の主と幸せを掴もうとしていた。
故郷から江戸にもどってくると、
見に覚えのない押し込みの疑いがかけられていた。
追手を振り切った半次郎は、殺しのあった夜、
一緒にいた宿場女郎を探し出す。
だが、女は大店の若主人に身請けされ、盛大な婚礼を間近にひかえていた。
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それにしても、半次郎は自分の前に現れることがあるのだろうか。お里と所帯を持つため身を粉にして働こうとした半次郎だ。なまじ、すれがらしの者ではなく、真正直な人間だけにお里っを追い求めて来るかもしれない。そう思ったとたん、半次郎との一夜が唐突に思い出され顔が熱くなった。半次郎を恐れながら、懐かしむ気持ちがあるのかと知って、驚いて顔を背けた目に隅田堤の緑がいっそう濃くなって飛び込んで来た。
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濡れ衣を着せられた半次郎の悲しい物語です。
やるせないと言うか・・・
あまりにに理不尽でくやしい気持ちの残る読後感です。
まだ25歳の半次郎の人生を、
やってもいない罪を自分がかぶる事で終わらせて良いのか・・・
裏切られ自棄になり荒れていた半次郎を救ってくれた人達・・・
半次郎を目の敵にして執拗に追いかける岡っ引き・・・
スピード感のある表現にあっと言う間に読み終え、
半次郎に手を合わせるような気持ちで本を閉じました・・・。
装丁の絵が素晴らしい!
いつもありがとうございます

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