畠山 健二 「本所おけら長屋(六)」

本所亀沢町にあるおけら長屋は、今日も騒がしい。
密かにお染のあとをつける大工の又造。
その意外な理由とは。
花見で浮かれる長屋の連中をよそに、一人沈む万造。
ひょんなことから五十年前の真実が明らかに。
八百屋の金太に嫁取りの話が!?
お糸と文七の祝言が近づく長屋のあちこちで難事が発生。
折しも流行病が西方から江戸へ、そして本所にも…。
笑って泣ける大人気連作時代小説、シリーズ第六弾。
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落語を聞いているかのような掛け合いとオチ。
おけら長屋の万造と松吉(万松)の二人の
相変わらずの事件好きがひと騒動のきっかけになり、
過去にこだわる人の想いを引き出し解決して行く。
そんな二人のうちの一人万造の幼い頃の話が
今回は特にホロっとさせられました。
花見の季節が好きではない万造。
二歳の時にある長屋の井戸の柱にくくりつけられ捨てられた万造。
季節が春、桜が満開の時。
そんな幼い万造の育ての親の若い頃の話も重なり、
それぞれの人生の辛苦の物語が切なかったです。
また、医者であるお満が流行り病にかかり、
特効薬を求め江戸から常陸まで仕事をクビになるのも構わずに
走り回る万造。
万造とお満の素直になれない二人の姿がこれからも観れると思うと
シリーズ物の小説でこんなに待ち遠しい物語も久しぶり。
新刊が出る度に一巻から読み直しているおけら長屋物語。
何度読んでも笑わせてくれて、ホロっとさせてくれてます。
とてもお気に入りの物語です。
いつもありがとうございます

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