「手伝い猫」

山形の昔話の中の「手伝い猫」のお話し。
昔ある所のお百姓さんの家に長いこと飼われて来た猫がいました。
その猫は若い頃はネズミを沢山獲りましたが
としをとって来てほとんど寝てばかりになりました。
田植えの時期で忙しいある時、
お百姓さんの奥さんが猫に向かって
「猫の手も借りたい忙しい時に
お前は寝てばかりで良いご身分だな」と言いました。
猫はその言葉が分かったのか、
ヒョイと立ち上がり何処かへ行ってしまいました。
それから間もなく、おおぜいで田植えをしていると、
一人の娘が一生懸命田植えを手伝っていました。
娘は男達の誰よりも早く田植えをしました。
お陰で陽の高い内に田植えをすませることが出来ました。
「こんなに早く終わったのも、
あの娘っ子のお陰だ。礼を言ってご馳走せねば…」と
娘を探しましたが、娘は何処にもいませんでした。
お百姓さんの奥さんが、娘を探していると、
廊下に泥の足跡を見つけます。
足跡をたどると、突き当たりに猫が寝ていました。
猫の足は泥だらけだったそうです。
奥さんは、役に立たないと言われた猫が
娘の姿になって田植えを手伝ってくれたのだと分かり、
手を突いて謝りました。
猫は、泥だらけの手で奥さんの膝をヒョイとたたいて立ち上がり、
歩き出しました。
そしてどこへ行ったのか二度と帰って来ることはありませんでした。
いつもありがとうございます

スポンサーサイト