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畠山 健二 「本所おけら長屋(九)」

キャプチャ

長屋の新入りが謎の失踪! ?
「笑い」も「泣き」もパワーアップした
大人気シリーズ最新巻。

金はないけど情はある、
個性豊かな面々が揃う
「おけら長屋」は今日も騒がしい。

“赤鰯"と呼ばれる腰抜け武士の本当の姿は……。

おけら長屋に越してきた謎の女が
忽然と姿を消したわけとは。

吉原に乗り込んだお満は
男と女の深い情話を知ることに。

お糸と文七が陥った苦境を知った長屋の住人たちは、
陰ながら奔走し――。

笑いと涙と人情が満載のシリーズ第九弾は、
ますます充実の五篇を収録。
文庫書き下ろし。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

待ってました新刊!

手許に届いた途端に読み始め

あっと言う間に読了。

とにかく「面白い」のひと言。

笑いはもちろんですが、

ホロっとさせられたり、

せつなくなったり、

そしてとても悲しいこともあります。

貧しい人々が助け合って暮らしている

おけら長屋の面々のキャラクターが光ります。

ドラマになったら誰が良いかなぁと

つい役者さんを考えるのですが

思いつく俳優さんがいません。

出来ればドラマにならないで欲しい。

読み手がそれぞれの思い描く様で

読んで行きたいと思わせる超オススメの一冊です。

9巻まで来たか~

また1巻から読み直したくなりました。

今回のお話は・・・

その壱「まいわし」
●本来の武士のありかた。
藩主は面目を守るのではなく家臣を守り
そして民の幸せを守る事が第一。

その弐「おてだま」
●なぞの女がおけら長屋に引っ越してきます。
その女「お浅」は言葉巧みに小金のある
大家の徳兵衛と隠居与兵衛から
お金を騙しとり姿を消してしまいます。
お浅は本当に人を騙すような性悪女だったのか・・・

その参「すがたみ」
●花魁の紫月にのめり込む薬種問屋の長男を
何とか目をさまさせようと万造と松吉が奔走します。
紫月花魁はあと2年で年季があける。
見受けを望まず想いを寄せる相手と
一緒になりたいとの夢を持っていた。
その想い人は花魁の髪結い清吉。
清吉と紫月花魁のかなしい物語です。
泣けます・・・

その四「かんざし」
●おけら長屋から嫁に出した八五郎の娘のお糸。
亭主は所帯を持った時に棟梁となり
職人2人を雇っている文七。
金物問屋からの大仕事を受けるが
出来上がりに難癖をつけられお金を払ってくれない。
このままでは仕入れ先や職人たちへの
手間賃を払う事ができず暮らしも危ぶまれる・・・
お糸は亭主を励まし支える覚悟をする・・・

その五「うらかた」
●おけら長屋から姿を消した「お浅」と
お糸の亭主文七が手掛けて支払をしてくれない
金物屋がひょんな事から繋がりがある事を掴む
おけら長屋の面々。
お浅も文七も金物屋からひどい仕打ちを受けていた。
そこでおけら長屋の万造・松吉・鉄斎・お染は
下調べから金物屋の悪事をあばき
奉行所役人を巻き込んで解決することに・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どの話も万造・松吉「万松」が活躍します。

頭も悪く、飲む・打つ・買うで

宵越しの金は持たずその日暮らしの2人。

店賃も滞る程の貧乏暮らしの2人ですが、

心根だけは人一倍の江戸っ子の2人。

仲間の為に奔走する少々おバカな活躍が

随所に彩りを添え落語のオチよろしく

クスクス笑わせてくれます。

揉め事も楽しむ二人のやり取りがとにかく面白い!

そんなおバカな二人を戒め引き締める鉄斎とお染。

一人では解決できない事を

仲間が集まり自分の暮らしそっちのけで

走り回る姿にとっても幸せを感じます。

万造と養生所女医のお満の

これからの関係も楽しみな物語となっています。



いつもありがとうございます
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宮本 輝 「命の器」

キャプチャ

どんな人と出会うかは その人の命の器次第なのだ。

私は最近、やっとこの人間世界に存在する

数ある法則の中のひとつに気づいた。

「出会い」とは、決して偶然ではないのだ。

でなければどうして、「出会い」が、

ひとりの人間の転機と成り得よう(本文より)。



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宮本輝さんのエッセイはお初読み。

小さい頃から大学そして社会人になってからの話。

一人っ子で存分に甘やかされて育ったという宮本さん。

お父さんの事業が失敗してどん底の貧乏を味わい

数年間を親戚に預けられた事。

お父さんの晩年は悲しいもので終わる。

宮本さんは若いころは飲む・遊ぶ・スポーツをする・・・

と活動的で大学の時はテニスクラブに入っていたそうですが、

同好会のような甘いものではなくハードな本格的なクラブ。

大学を卒業して就職はしたけど、

「不安神経症」というノイローゼ、

今でいうパニック障害とかうつ病となるのでしょうか、

その病気も発症した事と、

どうしても小説家になりたいと言う思いが強く

5年で退職して本格的に物書きになったそうです。

『泥の河』で太宰治賞。

『螢川』で芥川賞。

泥の河に関してはかなりご苦労されての執筆だっただけに

小説家としての原点となった作品とお見受けしました。

エッセイの中に犬好きの様子が描かれていたのですが、

昔の動物の飼い方でもあり、

大らかな育て方と哀しい看取りも胸を打ちました。

表題の「命の器」の章での名言とも言える言葉に

すっと胸の奥に入って心に留めておきたくなります。

「出会い」とは偶然ではなく「必然」

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自分という人間を徹底的に分析し、

自分の妻を、あるいは自分の友人を、

徹底的に分析してみるといい。

「出会い」が断じて偶然ではなかったことに

気づくだろう。(本文より)




いつもありがとうございます

金子 雅子 「お兄ちゃんが守ってあげるから」

無題

地域猫として生きる野良猫たちの物語です。

お兄ちゃん黒猫と白子猫なのですが、

本当の兄弟ではなく、

母猫に一晩置いてけぼりにされた白子猫と出会い

「この子をぼくが守る」と決意しお兄ちゃんとなります。

実はもうじき亡くなる白子猫の母猫。

誰かに子猫を託したくて一晩中探していました。

黒猫が「大丈夫、ぼくが子猫を守るから」

と母猫に言ってくれた事に安心し、

弱り切って命が消えそうな母猫は

姿を消してしまいます。

お兄ちゃん黒猫は白子猫に

地域猫として生きて行く術を教えます。

人間の玄関周りでオシッコやウンチをしてはいけない。

ゴミ集積所のゴミを漁ってはいけない。

どこで餌をもらえるか。

どこで雨や寒さをしのぐか。

獲物の捕らえ方ややさしい人間の見分け方などなど・・・

逞しく仲良く楽しく過ごしていた二匹でしたが、

かなしいお別れも経験します・・・。

本の中には絵が描かれていないので

表紙の絵で想像しながら読みました。

小学生向けの優しい本です。



いつもありがとうございます
プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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