吉村 昭 「帽子」

癌で死期が迫った妻の為に
帽子を買い続ける夫。
「お嫁さんをもらっても、
帽子は買ってやらないでね」
短い物語です。
自宅で最後を看取る為
夫は妻を献身的に
見守ります。
妻の願いは素敵な帽子を
かぶりたいという事。
女性専門の帽子店で
気恥ずかしさを気にせず
妻の為に帽子を買う夫。
ベレー、ターバン、
キャスケット、クロッシェ、
キャップリン…
妻はとても喜び、
かぶりますが、
決して鏡を見ません。
「病院の鏡をみたわ。
お化けみたいになっているのを
知っているのよ。
もうみたくない」
妻が言います。
「死ぬ前にドライブさせてよ」
妻に帽子をかぶらせ
ドライブに向かった先は
危篤となり、
意識が薄れていく中での
病院へ向う道でした…
短い物語ですが、
読後静かな深い悲しみが
しみじみと…
長く心に残る物語でした。
いつもありがとうございます

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