今回は長~い記事なので自己満のみで投稿。
読むの疲れるし飽きるでしょうから
すっ飛ばしてくださいませ(^^)
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ピーター・キャメロン原作「最終目的地」の映画化

2009年アメリカ公開映画

日本では2012年と3年も遅れて公開。
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:アンソニー・ホプキンス(アダム役)
ローラ・リニー(キャロライン役)
シャルロット・ゲンズブール(アーデン役)
オマー・メトワリー(オマー役)
アレクサンドラ・マリア・ララ(ディアドロ役)
真田広之(ピート役)
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先に映画を鑑賞してから原作を読みました。
原作と映画では描き方に少し違いがあります。
個人的には映画の描き方の方が断然素敵!
まさしく「観る文学」と思いました。
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素晴らしい映像美からご紹介!

のっけから美しい音楽に合わせてこの風景を
カメラが導くように走ります。
絵画のような風景に物語へ吸い込まれて行きます。
ウルグアイという国のとてものどかな片田舎の設定。
アンティークなお屋敷に住む
ちょっと変わった家族構成の面々。

ストーリーとしては・・・
この世にたった一冊しか刊行しなかった有名作家がいます。
この作家が自殺し数年後、
大学講師であるオマーが作家の伝記を書きたくて
遺族に承諾を得る為手紙を書きましたが
断わりの返事が来ます。
そこで直談判しに直接アメリカから南米のウルグアイへ
30数時間もかけやって来ます。
彼がウルグアイにやって来た事により
そこに住んでいる遺族たちが
自分たちの人生感を再度見直すことになるというお話。
そうしてそれぞれの幸せの最終地を見つける事に・・・
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ウルグアイに住んでいる自殺した作家の遺族と関係者は、
作家の兄アダム(アンソニー・ホプキンス)
作家の妻のキャロライン(ローラ・リニー)
作家の愛人アーデン(シャルロット・ゲンズブール)と
その娘。
そしてアダム(アンソニー・ホプキンス)の恋人が
ピート(真田広之さん)
つまりゲイなんですね。お二人は。
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さて、直談判にやって来たオマーは
アーデン(シャルロット・ケンズブール)に挨拶して
ものの数分で恋に落ちるという展開。
もちろん本人同士はまだ気づかないけど・・・
直談判にやって来た青年は「若くてハンサム」の設定。

このかたが若くてハンサムなオマーです(微妙・・・)
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この若くてハンサムな大学講師であるオマーが
ウルグアイに来た事により
作家の家族たちの間でそれぞれ葛藤が起こります。
自殺した作家の伝記を執筆する事に反対していた
シャルロットは青年の登場により執筆を許す事にします。
断固反対しているのが
作家の妻キャロライン(ローラ・リニー)

この映画で知ったアメリカの女優さんなんですが、
とても素晴らしい女優さんで一瞬でファンになりました!
プライドが高く孤独でありながら寂しがり。
意固地で人を寄せ付けない姿勢がありながら
寄り添う人を欲している。
アルトの声から発せられるセリフ一つ一つが魅力的。
この映画で一番の存在感あふれる人でした。
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アダム(アンソニー・ホプキンス)には下心があり、
オマーの伝記執筆に協力的。
その下心とは・・・
アダム(アンソニー)と25年も共に暮らしている
パートナーのピート(真田広之さん)へ
お金を残したいので、
自分の母親の形見の高価な貴金属を、
アメリカに持って行ってもらい、
付き合いのある商売人に渡してくれたら
執筆を承知するという条件付き。
なぜピート(真田広之さん)の為にお金が必要なのか・・・
この二人のとてもせつない関係が映画の見所です。
アダム(アンソニー)と仲良しのお話好きのマダムさえ
「アダムとピートの話を書いた方が面白いわよ」と言う程。

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原作本では、若くてハンサムなオマーと
アーデン(シャルロット・ケンズブール)を主軸に
恋愛ものとして描かれているのですが、
映画を観ると、むしろ自殺した作家の妻キャロラインや
アダム(アンソニー)と
ピート(真田広之)の存在感が圧倒的で
主軸であるオマーがかすんでしまいます。
アーデン(シャルロット)は美人ではありませんが
ウルグアイの自然に溶け込みキラキラした演技で素敵!

儚げなしぐさやセリフの言い回しが演技力の高い女優さんと思いました。
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アダム(アンソニー)とピート(真田広之さん)

親子ほど歳が離れている恋人カップルです。
25年前アダム(アンソニー)が連れてきて以来の同居。
原作ではタイ人のピートとなっていますが、
アイヴォリー監督が真田さんに出演して欲しくて
日本人に設定を変えたそうです。
ピート(真田広之さん)は自殺した作家家族の中では
唯一自分の幸せと言うものに揺るぎがありません。
年老いたアダムに対する愛情と尊敬と、
これからの暮らしも覚悟をしています。
原作本のピートとアダムの今後の描き方は
映画とは違っています。
原作の方はピートが積極的で行動的。
少々アダムを困らせる程。
ですがほとんど出番がないので
最後の描き方がちょっと寂しい。
映画ではアンソニーと真田さんのツーショットのシーンが
とても魅力的に描いていましたし
二人の今後も素敵な描き方となっています。
真田広之さんはハリウッドへ行ってからは
侍だったりマフィアのボスだったり宇宙飛行士だったりと
笑顔も少ない役が多いのですが、
この映画では優しくて笑顔のある自然な役を好演。

でもまさかゲイの役とは・・・
ですが濡れ場はなく、
ヌードになってアンソニーに寄り添っている場面が
一瞬あるだけ。
アンソニーとほんの少しキスをするシーンもあります。
真田さんは日本映画でも何度か男性とキスしたり
(沢田研二さんや奥田 瑛二さん)
ヌードにもなっている(病院へ行こう・新宿鮫)ので
慣れていると言うか(笑)別に衝撃でもありませんでした。
むしろ日本映画の時の方が過激でしたネ。
「新宿鮫」の奥田 瑛二さんとのキスシーンなどは
体にナイフで十文字に傷をつけられ
ピストルで脅迫されながら無理やり
奥田さんにキスされるというシーンは結構ハードでした。
ちょっと話がそれましたね・・・
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そのアダムとピートの二人のシーンが美しいです。

アダム「お前のために金を作るのだ」
ピート「僕のため?なぜ?僕には仕事がある。
金が要るのはあなたでしょ?僕は幸せだ。」
アダム「ここにわしといても幸せになれん」
ピート「僕がいても幸せでない?」
アダム「幸せだとも」
ピート「じゃぁなぜ追い払うんですか?」
アダム「老人の為に人生を無駄にするな。
私は着古したコートと同じさ。
自分の人生を送れ、頼むから。」
ピート「あなたとは25年間暮らした。
ほかの人生は望まない。」

真田さんの涙を浮かべ訴える表情が素晴らしいです。

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この映画はいろいろなシーンが絵になります。

アダム(アンソニー)と
キャロライン(ローラリニー)のこのシーン。
セリフのみですが一言一言が味わい深いです。
キャロライン「アダム人生が好き?」
アダム「永遠に生きたくはないが、しばらくなら悪くない。」
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風景も素晴らしいです。

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直談判に来たオマーの存在に心が乱されるキャロライン。
アーデンとキャロラインのシーン。

アーデン「考えが変わるのが怖いの?」
キャロライン「正気を失うのが怖いわ」
毅然とクールに言うキャロライン(ローラリニー)が
かっこいいです。
アルトの綺麗な言い回し。
大好きなシーン。
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こちらも好きなシーン。

アダム(アンソニー)が
キャロライン(ローラリニー)に
手紙をしたためます。
その手紙を声を出して読むピート(真田広之さん)。
真田さんの英語の発音が素晴らしいです。
耳に心地良い声で、聴き取りやすく、
周りの人と全く違和感なしです。

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こちらはキャロライン(ローラリニー)が着ていました。

ハッピですよネ!
なんか嬉しい(^^)
映画の中でローラ・リニーと
シャルロット・ケンズブールの
おしゃれな服装も見所なんですが、
まさか日本の衣装が登場するとは!(^^)
大きな粒のネックレスを付けて素敵でした!
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【人生とは、
自分の立ち位置を少し変える勇気を持つだけで、
もっと素敵になっていく】
というテーマだそうです。
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おまけ。

優しい雰囲気の真田さん久しぶりな感じ。
この映画と同時に撮影していたのが
ジャッキーチェンさんの
「ラッシュアワー3」だったそうです。
マフィアのボス役で
ジャッキーとアクション対決してましたねぇ。


同じ人物とは思えない変わりようですねぇ。
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この映画は原作を後から読んだのですが、
伝記作家青年のオマーが優柔不断で幼く
恋人がいながらウルグアイに来てアーデンに恋しますが
流されやすかったオマー自身が
アーデンや他の家族と知り合う事により
勇気と決断と自分の「最終目的地」を見つける事になります。
オマー役のオマー・メトワリーが
演技もちょっと下手で…
まず声が悪い…
セリフの言い回しが単調で
シャルロット・ゲンズブールとの
演技の差が目立ちました。
それと何となく清潔感がない…
もう少し魅力的な俳優さんだったらなぁ…
シャルロットが良かっただけに
もったいない…
この映画の登場人物が非常に少ないので
演技力の高い俳優さんで成り立つ
「観る文学」と思いました。
感想としては
他は最高なのに主役に
魅力がなかったという事で★★★★4つ。
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最後にアイヴォリー監督が
真田さんに出演オファーした時の言葉・・・
「この本を読んでくれ。
できればイエスと言って欲しい。
アダムはアンソニーに決まったよ。」
だったそうです(^^)
いつもありがとうございます