本日の映画は台湾映画です。

2010公開。
監督:中国フォ・ジェンチィ
(「山の郵便配達」で日本でもヒット)
脚本:田代親世(たしろちかよ)氏。
出演:チェンボーリン(モウ役)
トン・ヤオ(メイ役)
モー・ズーイー(新聞記者)
トニーヤン(メイのプロデューサー)
東京国際映画祭コンペティション部門公式出品
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優しく切ないほんのひとときの恋物語です。
台湾の風景を美しく撮影していて
カメラワークも素晴らしいと思いました。




物語は、ある新人歌手メイが失踪します。
精神的原因で声が出なくなってしまい失意の失踪。
台北から電車で数時間のチントンという小さな片田舎に
やって来たメイ。
そこにはモウという青年が小さな町の便利屋さんとして
毎日町の人々のお役にたちながら働いていました。
モウ青年は小さい頃に父親が亡くなり、
その後、母親がモウ少年を置いて出ていきます。
祖父に育てられましたがその祖父も間もなく亡くなり、
たった一人になったモウ少年を
この町の人々が世話をして育ててくれました。
その恩返しの為にモウ青年は町のどんな小さな雑用も
厭わず働いて毎日を過ごしていました。
年寄りのお医者さんの家には毎日寄って声をかけます。
年寄り医者はこの町から離れるよう勧めますが
モウ青年は母親が戻って来るのを待っているからと
町に留まります。
小さい時に祖父が「台北に雪が降ったら願いが叶うんだよ。」
と教えてくれました。
いつか台北に雪が降るのを待っているのです・・・
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この映画では悪人が一人も出て来ません。
みんな優しくて思いやりある人ばかり。
失意のメイと出会ったモウ青年は、
メイの為に部屋や医者や治療の為に一生懸命尽くします。

鏡に五月(メイ)と書くモウ(チェンボーリン)。
メイって台湾でも「五月」って書くんですねぇ。
優しい出会いの二人は互いに惹かれあいます。

優しい笑顔のメイ(トン・ヤオ)。
誰かに似てるなぁと思ったら、チャンツィイーに似てるんですね。
リトル「チャンツィイー」と言われているんだとか。

確かに似てますねぇ。
自然な美人系で品のある女優さん。
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さて優しい二人は惹かれあいますが
なにせ片や芸能人。しかも売り出し中の歌手メイ。
モウ青年もメイもお互いの想いを伝える事も
求める事もしません・・・
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食堂の手伝いをしながら心と喉の治療に
専念するメイの前に、
ある日新聞記者モーズーイーが登場します。
失踪した歌手の記事を書くため探していたのです。

イケメンの新聞記者役のモーズーイー。
追いかけて来ますが、いやがるような事はしません。
メイとモウ青年の事を知った新聞記者は
二人を見守るようになります。
この人は演技の上手さが突出していました。

この人も誰かに似ているなぁと思ったんです・・・
私だけかもしれませんが、嵐の二宮君に似ているような・・・
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結局歌手のメイはモウ青年や町の人々のおかげで
精神的に癒され声が出るようになり、
プロデューサーのもとへ帰る事になりました。

このプロデューサーの事をメイは好きだったわけです。
想いを伝える事はなく一人思い悩み声まで出なくなった・・・
でもモウ青年たちのおかげで声を取り戻してからは
メイは歌う事に集中し頑張るわけですねぇ。
モウ青年とお別れのシーン。

絵画のようです・・・

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さて、モウ青年のその後は・・・
母親も出て行き、メイも行ってしまった・・・
「失踪する人は、実は誰かに探して欲しくて失踪するんだ」
ある日そう気が付き、
自分の母親も探して欲しいのではないだろうか・・・
その思いで母親を探しに町を出て行きます・・・
それから時間が経過し、
メイがモウ青年に会いにチントンへやって来ます。
しかしそこには、
いるはずの住人がいなくなっていました・・・
年寄りのお医者さんは自宅が火事になり亡くなっていました。
その時の消化作業中の消化ホースから浴びる
雪のような泡が幻想的・・・

まるで本物の雪のように・・・
雪が台北に降り出したように思ったモウ・・・
失踪した母親が自分の元へ戻る姿の幻想が
とてもせつなく映し出されていました・・・
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最後のシーンは、
メイとモウが再会するみたいですねぇ。
二人でランタンを空に浮かす場面も綺麗です。
想いや願いを込めて二人で笑顔。
それからの二人がどうなるのかは
観ている人それぞれが想像して欲しいと言う感じで終わります。

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映像の美しさで癒される映画でした。
ストーリーは特に面白さはありません。
メイ役のトンヤオさんの演技は正直下手です。
モウ青年役のチェンボーリンは
素朴な好青年をやらせたらピカイチと思います。
笑顔がとてもさわやかで可愛いです。
プロデューサー役のトニーヤンは
人気俳優さんなのだそうですが、
今回の役は似合っていなかったように感じました。
もう少し毒のある雰囲気の人の方が良かったかも。
別の作品でどんな演技をするのか観てみたいと思いました。
やはり突出して良かったのが新聞記者のモーズーイー。
演技がうまくて観ていて安心できましたし、
むしろ主役を食っていました。
イケメンと美女の二人の絵になる場面を抜きにしたら
魅力的な演技は彼だけだったと思います。
またほんの少しだけしか出演しませんでしたが、
メイの代わりに歌を録音する歌手のシーン。

この人、歌がとっても上手!
声量あって声が魅力的。
メイ役のトンヤオさんは可愛いアニメの女子系の声なんですが、
こちらのかたの声は小柳ゆき系なんです。素晴らしい声量。
ほんの一小節しか歌いませんが、
ワタクシは見逃しませんでしたヨ!(ってか)
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他にも素敵なシーンを少し・・・

モウ青年と新聞記者が対面したシーン。
カラフルなのれんから覗くようなカメラワークが素敵。
メイが皿洗いの手伝いをする町の食堂。

ここでも食堂のおばさんが家族のように親身になってくれます。
この映画の時のチェンボーリン君は26歳。

現在は34歳位でしょうか。
自然体の演技がとても似合う人ですねぇ。
感想:★★★★4つ
一つ足りないのは、メイのPVですか?って感じの
シーンが後半にあるのですが、
ストーリーの中では不要じゃないかなぁと思ったので・・・
いつもありがとうございます