佐藤 秀峰 「特攻の島9 完結編」

『生還を許さない兵器』
人を魚雷に乗せると言う
前代未聞の水中特攻兵器「回天」。
この兵器は実在した。
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俺は死が怖い…
理由は死に意味を見つけられないからだ。
もし死ぬことに何か意味を見出せれば、
死は単なる恐怖ではなくなるはずだ。
そして死に意味を見つけられるのは、
生きる意味を見つけられた人間だけなのかもしれない。
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死を恐れているんじゃない。
犬死にを恐れています。
すでに親はなく、兄弟もなく、友もいない…
大海を漂う木の葉のように名もなく、何者でもない…
俺は俺だ。
誰からも強制されず、自らの意志で戦うのだ。
誰の為でもない。
俺の為に俺は戦う…
これは俺が俺になるための戦いだ。
早く出撃させてくれ。
心が焼き付きそうだ。
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「この兵器で貴様達を死なせることに
本当に意味はあるのか?」
「たとえどんな死に方であろうと、
自分の死に意味が持てるかどうかは個人の問題に過ぎません。
ここで命を燃やします」
「何のために?」
「俺自身の人生を俺のものにするためです」
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主人公の渡辺。
まだ10代の若者が直面する生と死の意味。
回天特攻隊員達が遺した遺書の中に
渡辺の遺書もあります。
しかし渡辺の遺書は艦長に宛てたものでした。
「本土基地隊の皆様に伝えて下さい。
基地隊の皆様、
どうか生きて帰った者を温かく迎えてやってください…
涙を呑んで帰るのです…
どうか温かく迎えてやってください。
先に逝く私には、
このことだけが、ただ一つの心配事なのです。」
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1〜9巻までの表紙の絵の渡辺の変遷は、
最後の最後に分かります…
生きて生還した艦長が
渡辺の遺した自分を描いたスケッチブックを
一ページ一ページめくりながら渡辺への思いを語ります…
そして…
この漫画の最後のページに
作者佐藤秀峰さんの一番言いたかった言葉が
大きく描かれています。
圧倒的な画力でリアルに描かれた特攻の島。
普段漫画は読みませんが、
この特攻の島だけは新刊を待ちわびました。
いつもありがとうございます

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