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千野 隆司  「野分の朝」

無題

己の腕を頼りに
懸命に生きる職人を描いた9つの物語。

千野さんは上手いなぁ。

臨場感のある動きの表現は秀逸。

男と女。親と子。親方と弟子。

「仕事はな、
気懸りなことがあっちゃだめなんだ。
落ち着いてやりゃあ、
仕上がりの良さは後からついてくる。

9つの物語の中で特に良かったのは
「木槌の音」

四歳の頃に親に捨てられた嘉藏と
盗人の父親の物語。

桶職人として店を構えた時に借りたお金を
返すことが出来ない嘉藏。

借金を返すために
盗みに入ろうとする嘉藏を押しとどめ、
自ら盗みに入り嘉藏にお金を渡す父親。

傷を受け父親が捕まってしまいますが、
自分の事も嘉藏の事も
一切白状する事なく死んでしまいます。

父親と名乗ることなく
嘉藏の幼い時から今まで、
陰になり見守っていた父親は盗人。

子供のため盗人である事を
隠し通していた父親文五郎。

嘉藏がある時期に身を持ち崩した時も
父親である文五郎がふらりと現れて
苦境を救ってくれました。

そして、最後の仕事だと言って
嘉藏の借金の四両を置いて行ったのでした。

天涯孤独だと思っていた身の上に、
影のように父親である文五郎の姿がありました。

死んで初めて
文五郎が父親である事を理解する嘉藏・・・

千野隆司さんは、
正統派時代小説作家と言う感じでしょうか。

文章に品がある作家さんと思います。



いつもありがとうございます
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プロフィール

cn7145

Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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