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乙川 優三郎 「生きる」

生きる (文春文庫)生きる (文春文庫)
(2005/01)
乙川 優三郎

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この装丁の書は墨の造形作家村田篤美さん。
素晴らしい書ですよね。
乙川さんの本は、装丁がいつも綺麗で大好きです。

さて本作品の「生きる」は、
1.生きる
2.安穏河原
3.早梅記
の三作品収録。


再読しました。
読み直す度に新しい感想が湧きます。

1.生きる

 亡き藩主への忠誠を示す「追腹」を禁じられ、
生き続けざるを得ない初老の武士。
周囲の冷たい視線、嫁いだ娘からの義絶。
そして息子の決意の行動・・・。
惑乱と懊悩(おうのう)の果て、
失意の底から立ち上がる人間の強さを格調高く描いて
感動を呼んだ直木賞受賞作品。

・・・・・・・・・・・・・・・

2.安穏河原

「この眺めをようく覚えておくんだよ」
彼は言って、胸の底から吐息をついた。
娘はようやく安心したのか団子を食べている。
「いいね、ここから本当のことがはじまるのだから・・・」
言いながら、織之助は自分自身にも支えとなるものを
見つけた安堵に心が緩むのを感じた。
人が生きてゆく限り、不運や障害も生まれ続けて絶えることはないだろう。
童女ですら戦っている。
生きている証からも逃れようとして、
織之助は長い間、背を丸めて生きてきたような気がした。


・・・・・・・・・・・・・・・
3.早梅記

「わしには堪えられそうにない、それなのに何もできない」
「時とともに忘れられることもあります」
「しょうぶは強いな」
「いいえ、変われないだけです」
彼女はそう言ったが、喜蔵よりも遙かに気持ちはしっかりとしていた。
貧しい足軽の家に生まれ、
幼いときから思うようにならないほうが当たり前の
境遇に生きてきたから、自力で立ち直る術を知っているのだろう。
喜蔵が味わってきた貧しさとは比較にならない生い立ちが、
彼女を強くしたようであった。




いつもありがとうございます。
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生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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