安住 洋子 「しずり雪」
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1999年第三回長塚節文学賞短編小説部門大賞受賞!
安住洋子
1958年兵庫県尼崎市生まれ。
大阪信愛女学院短期大学卒。
学習塾で国語科教材作成に携わる。
現在サンフランシスコ在住。
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しずり雪
寒月冴(さ)える
昇り龍
城沼の風
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安住さんの物語は、共通して
やりきれなさと悔恨を土台に
日々をぎりぎり乗り切る人々が描かれています。
どうしようもない事をあきらめるかふんばるか・・・
守り・勝ち抜き、それぞれが最低限の暮らしでも何とか
生きていけるよう賭けにも似た姿が描かれています。
また自分の事だけで悩み苦しむのではなく、
家族・友人・はては全くの他人の為に
自分を犠牲にしてまで奔走する姿に、
芯の強さと底力を感じ、励まされる思いと、
決して不幸で終わらせない安住さんの小説に
せつなさを感じつつも希望を感じとりました。
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しずり雪とは・・・
樹々に積もった雪が陽光を受けてしずり落ちること。
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「しずり雪」
一人で死んでいったのか、作次・・・
雪の重みでしなっていた椿の枝が
身震いするように跳ね上がり、雪が舞った。
孝太の顔に雪がかかる。
脳裏に幼い顔の笑顔の作次や、
遠慮気味に裏店にやってきては上目遣いに窺っていた作次が、
浮かび上がってくる。
孝太は感覚のなくなった手を握りしめ、
堪えきれずに嗚咽した。
顔を上げると、
枝から絶え間なく雪がこぼれ落ちていた・・・
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