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高田 郁 「出世花」   2014.1.3(金)


出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫)出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫)
(2011/04/15)
高田 郁

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不義密通の大罪を犯し、

男と出奔した妻を討つため、

矢萩源九郎は幼いお艶を連れて旅に出た。

六年後、飢え凌ぎに毒草を食べてしまい、

江戸近郊の下落合の青泉寺で行き倒れたふたり。

源次郎は落命するも、一命をとりとめたお艶は、

青泉寺の住職から「縁」という名をもらい、新たな人生を歩むことに―――。

青泉寺は死者の弔いを専門にする「墓寺」であった。

直に死者を弔う人びとの姿に心打たれたお縁は、

自らも湯灌場を手伝うようになる。悲境な運命を背負いながらも、

真っすぐに自らの道を進む「縁」の成長を描いた、

著者渾身のデビュー作、新版にて刊行!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「正念さまのこの手が、私の父を清めてくださいました。

骸(なきがら)だけではなく、父の抱いていた無念を洗い流し、

その魂を清らにして浄土に旅立てるようにしてくださったのです」

「この手が」正念は、苦しみの中で言った。

「この手が、信吉を手にかけて殺めようとした」

「私の父もまた、自身の妻と不義の相手とを殺めようとしておりました。

その一念で六年を過ごし、この地で力尽きて果てたのです」

お縁は正念の手を握り締めた。

温かい、大きな手だった。

「この手、正念さまのこの手こそが、

父の無念を洗い流してくださったのでございます。

私にとっては尊い、何よりも尊い手です」

お縁の言葉に、正念の双眸から熱い涙が溢れ出した。

堪えきれず、お縁に手を包まれたまま、彼は顔を覆った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「出世花」「落合蛍」「偽り時雨」「見送り坂暮色」

の4編の中でも、「偽り時雨」が特に好きです。

「惚れた女のため、惚れた女のためなんだ、正縁さん、

俺を髪切り魔に仕立てることで、

惚れた女が抜き差しならない状態から

浮かび上がれるなら、それで本望なんだ・・・」

聞こえるはずのない岩吉の声が、お縁の耳元に届く。


とてもせつない物語でした・・・

人から化け物と避けられて来た岩吉と正縁ことお縁との約束・・・

自分が死んだらお縁の手によって清めて浄土へ見送ってほしい・・・

その約束が、ある事件の濡れ衣を着せられる事によって、

あまりにも早い時期にやって来てしまいます・・・。

お縁の岩吉に対する湯灌の清め方に泣けます。



いつもありがとうございます。

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生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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