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高田 郁 「八朔(はっさく)の雪 みをつくし料理帖①」   2014.1.9(木)


八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
(2009/05/15)
高田 郁

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神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」

店を任され、調理場で腕を振るう澪(みお)は、

故郷の大阪で、少女の頃に水害で両親を失い、

天涯孤独の身であった。

大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、

天性の味覚と負けん気で、

日々研鑚を重ねる澪。

しかし、そんなるある日、彼女の腕を妬み、

名料理屋「登龍楼(とりゅうろう)」が非道な妨害をしかけてきたが・・・

料理だけが自分の仕合せへの道筋と定めた澪の奮闘と、

それを囲む人々の人情が織りなす、

連作時代小説の傑作ここに誕生!

・・・・・・・・・・・・・・・

母わかは倹しい(つましい)暮らし向きの中にあって、

旬の食材を取り入れた手を抜かない料理を作った。

春は蕗(ふき)と若布(わかめ)の炊き合わせ、

夏は冬瓜(とうがん)の葛(くず)ひき、

秋は小芋の煮ころがし、

冬は風呂吹き大根、等々・・・

それを父伊助の塗った漆器と箸とで食べさせてくれた。

父の漆と、母の料理とが澪の舌を育てたのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

半日ほど水に浸けておいた昆布をその水ごと火にかけて、

沸騰する前に昆布を引き上げる。

そこへ削り立ての鰹節を入れ、

ゆっくりと十かぞえて火から離す。

削り節が沈んだら布巾で濾す(こす)。

それが、幾度も修練を重ねて、

澪が見つけた合わせ出汁の引き方であった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
<とろとろ茶碗蒸し>

「玉子が滋養になるのは明々白々。

海老は老化による体力の衰えに効くのですよ。

百合根は心身を健やかに保つ。

銀杏は肺を丈夫にし、咳を鎮めるのです。

この椀の中には、健やかさを保つ秘訣がぎっしり詰まっています。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

八朔の雪?

と首を傾げて(かしげて)いる澪に、

源斉がふっと頬を緩めた。

「八月朔日(ついたち)に吉原の遊女たちが

白無垢を着ている情景を『八朔の雪』と言うのです。

残暑厳しい季節に雪を思わせる風情から、

そう呼ぶのでしょうね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この吉原の遊女が、実は澪に大きなかかわりがある人でした。

そしてその遊女のお蔭で澪は救われ、

困難を乗り越えて行きます。

澪は下がり眉の決して美人ではない18歳の少女ですが、

素直で健気で情が深い。

澪の周りには貧しく、悲しい事情を抱えた人々がいますが、

料理を通してみんなが澪の周りに集まり、助け合います。

質素な素材をもお店の看板料理にしてしまう澪の手腕が

大変面白いです。

巻末には、澪が考えた料理のレシピを載せています。




いつもありがとうございます。


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Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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