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高田 郁 「夏天の虹 みをつくし料理帖 ⑦」   2014.1.15(水)

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))
(2012/03/15)
高田 郁

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想いびとである小松原と添う道か、

料理人として生きる道か…

澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。

「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客や、

料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。

天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、

決して譲れない辿り着きたい道が、はっきりと見えていた。

そして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに―

・・・・・・・・・・・・・・・・

「番付から外れたことで、

多くのひとを失望させてしまった・・・

澪さんは、そのことが何より辛いのでしょう。

ひとの想いを大切に扱うことは間違いではない。

けれど、その想いに押し潰されてしまわないでください。

料理人の本文は、

その喜びはきっと別のところにあるはずです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

「嘉兵衛が亡うなって、お前はんを料理人として

導く者がおらんようになった・・・

そない思うてました。

けど、それは間違いやった。

神さま仏さまは、お前はんの才を潰さんよう、

折々に必要な助言をくれはるひとを用意してなはるんやなあ」

はい、と澪は頷き、ふっと目を伏せた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「恋を知って、澪さんの料理は変わりましたよ。

自分で気付きませんか?」

問われて澪は戸惑い、小さく頭を振る。

りうは、腕を伸ばし、皺だらけの手で澪の両の手を握った。

「澪さんの料理には、

祈りが籠(こも)っているのですよ。

食べるひとの幸せを心から祈る、

切ない祈りがね」

己の狡(ずる)さや、

情けなさばかりが心に突き刺さる拙(つたな)い恋だった。

それでも恋は無駄ではなかった。

涸(か)れたはずの涙が、

澪の双眸(そうぼう)から溢(あふ)れた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は、澪と小松原の哀しい恋の結末と

澪が料理人として致命的体調異変が起こるのと

月に三回手伝いに来てくれていた又次の悲しい最後と

次から次へと至難が訪れます。

中にはこういった不幸続きが

好きではない読者も多いと思います。

私も「またかよ・・・」派です。

それでも面白いと思うのは、

澪だけの物語ではなく、

周りの人々それぞれの物語も描かれていて、

澪はその人達一人一人から学んで成長しているからです。

その学んだ事を料理に活かし、人を助け澪自身が助けられます。

また、澪始め、登場人物達の個性がしっかり描かれていて、

ちょっとした表現が目に浮かび読んでいて楽しいです。

例えば、つる家での仕事が終わると澪と芳が帰るのですが、

時々遅くなったり天候が悪いと、つる家に泊まります。

そんな時は住み込みのふきが、

ぴょんぴょんとはねて喜ぶのですが、

何とも可愛らしい表現が目に浮かんで微笑ましいです。




いつもありがとうございます。


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Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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