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宇江佐 真理 「神田堀八つ下がり」 


神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (文春文庫)神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (文春文庫)
(2011/07/08)
宇江佐 真理

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神田須田町の大店を焼け出され、

浅草御厩河岸に越してきた十七のおちえ。

失意の日々の折々に大川を眺めるのは、

水の流れがやる瀬ない気持ちをなだめてくれる気がするから…。

情緒豊かな水端を舞台に、

たゆたう人々の心模様を描いた宇江佐流人情譚。

大好評の前作『おちゃっぴい』の後日談も交えて、

しっとりと読ませます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.『どやの嬶(かか)』

「あたしが川藤にお嫁に行ったら、

安心して邪険にするんでしょう?」

おちえは隣りの家の壁のすさを毟り(むしり)ながら言う。

勘次はその手を止めた。

「そんなことはねェって。お前ェは川藤のお内儀になる女よ。

皆んなも大事にしてくるって」

火事で焼け出された自分が人並みに嫁に行ける。

自分は、それほど運がない訳でもないだろうと、

おちえはふっと考えていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・
2.『浮かれ節』

「父上の気持はよくわかっております。

お唄が父上にとってどれほど大切なものか。

でも父上はお唄よりもお務めを選ばれたのですよ。

それこそ武士たるものです。

ですから、その日は武士として座興でお唄をなしあませと

申し上げたのです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・
3.『身は姫じゃ』

「辛いことはわかっているよ。

だが、楓様が必死でお姫さんをお守りしたから

今のお姫さんがあるんじゃねェか。

それを忘れちゃならなねェとおれは言いてェんだ。

手前ェ一人で生きていると思うのは大間違げェよ」

「ですってよ」

おちかが伊勢蔵の言葉を受けて敏子(はやこ)に言う。

敏子(はやこ)は袖で涙を拭うと

「わらわはよっく肝に銘じておじゃる」と、おちかに応えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

4.『百舌(もず)』

「本当のことだべせ。

姉っちゃは泣く泣く福蔵の所へ嫁入りしたはんで。

姉っちゃは若先生の嫁になりたかったんだ。

だが、お父は兄んちゃを江戸へ出す時、

福蔵の親に借金したのせ。

それを返せねェから姉っちゃを嫁にしたんだ。

姉っちゃは人質せ」

・・・・・・・・・・・・・・・
5.『愛想づかし』

両親に見放され、亭主に背かれ、子供とも離れ離れになったお磯は

独りにされるのが怖くて、始終、人の温もりを求めていた。

そのくせ、自分んが倖せになることには及び腰になる。

お磯を女房にすつと言った時、夢みたいと喜んだけれど、

果たして本気にしていたかどうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・

6.『神田堀八つ下がり』

「はい。拙者、恰好を調えるということを勘違いしておりました。

人によい印象を与えるためにだけそうするものと思っておりました。

言わば、見栄であると。

しかし、源次という板前は自分のためにそうしていた。

乱れた恰好をすれば料理も乱れると、

己れを戒めておったのです。

拙者、そこに感動致しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「身は姫じゃ」と「百舌」が特に面白かったです。

「おちゃっぴい」の後日談と言うのが「身は姫じゃ」ですね。

岡っ引きである伊勢蔵の手下が、

娘の婿なのですが、この婿さんの父親がかなり粋でいなせな

江戸っ子として描かれています。

なにせ、十四歳の時の子供が婿さん。

三十三歳で十九歳の息子という設定です。

普段は鳶職ですが、火消しの組の頭としても活躍しています。

おちゃっぴいも読んでみたくなりました。



いつもありがとうございます。
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Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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