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宇江佐 真理 「憂き世店(うきよだな)」


憂き世店 松前藩士物語 (朝日文庫 う 17-1)憂き世店 松前藩士物語 (朝日文庫 う 17-1)
(2007/10/10)
宇江佐 真理

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蝦夷松前藩がお国替えとなり、

浪人となった相田総八郎とその妻なみは

江戸・神田三河町の裏店に移り住む。

内職に勤しむ総八郎と、二人を見守る長屋の住人たち、

共に帰封を願う松前藩士たちとの貧しくも温かい暮らしの中で、

なみは総八郎の子供を身籠るが……

時代小説の名手が、鎖国体制がゆらぎはじめた時代を背景に、

人々の生きる悲哀を丹念に情感たっぷりに描いた、傑作長編時代小説。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


松前藩を移封となり、

大名から小名へと格下げにもなったので、

大幅な人事の異動があった。

その時、務めを解かれた者が多かった。

総八郎も務めを解かれた一人だった。

総八郎は陽気もよくなったこの頃、

日傭取り(ひようとり)などの仕事で毎日出かける。

もはや禄を当てにできないので、

総八郎はとにかく働いて金を稼がなければならなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自然はすべて人の気持を映す小道具である。

空も雲も風も雨も。

せめて道端の名もない草花や、

木々のさやぎにつかの間でも気づく自分でいたいと

なみは思う。

たとい、どれほど辛いことがあったとしても。

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だが、それは総八郎の勝手な思い込みだった。

月日は容赦なく懐かしい景色を変える。

総八郎の周りにいた人々は自分にとって何者だったのだろう。

不遇をかこつ自分を慰めるために天が差し向けた使者だったのか。

そう思わなければ、

たった三年の間に何も彼も目の前から姿を消してしまうはずがない。

あの場所に帰りたい。

あの愛しい日々に戻りたい。

そこで自分がどれほど幸福であったかに総八郎は気づいた。

下谷に帰る足取りは重かった。

総八郎は自分の人生がもはや終わりに近いと感じた。


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脇役陣が良い。

久しぶりの宇江佐さんの長編小説を読んだ。

流れが良いので読みやすかった。



いつもありがとうございます。
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生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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