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藤沢 周平 「初つばめ」

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驟り雨(はしりあめ)

遅いしあわせ

運の尽き

泣かない女

踊る手

消息

初つばめ

夜の道

おさんが呼ぶ

時雨みち(しぐれみち)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「初つばめ」


誰の為に自分の体も犠牲にして生きて来たのか・・・

そんな思いをぐっとこらえ必死に働いて来たなみ・・・

弟の友吉が奉公するようになると、肩身の狭い思いをさせたくないと

勤め先を替えるなみ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


友吉が連れてきた「おゆう」と言う娘と

なみの所へ挨拶に来る場面・・・

なみの思っていた二人とはかけ離れていた。

おゆうの高価な身なりに所作。

顔もほとんど上げず、友吉と共に挨拶だけして帰ろうとする・・・

友吉もすでに姉の存在は「結婚の報告」をする身内との態度・・・

二人は二人のこれからの人生があり、姉に対しては身内としてだけの

間柄であり、できればこれからはかかわりたくない存在となっていた。

なみは二人の前では何を話すにも壁があった・・・

長年、酒飲み相手の仕事をして来たなみの風体は、

あまりにもおゆうとは違い過ぎていた・・・

めでたい事だからと祝い酒を出そうとすると

おゆうは酒が嫌いだからと断られ・・・

では煮物と焼き魚だけの食事だが用意したから食べてくれと勧めると、

今から二人だけで料亭で食事して帰るからと断られ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結局は体を売って稼いで来た水商売の身内が迷惑な存在であることを

二人の顔付で理解したなみは、酒をあおり、

「ぐずぐずしてないで帰りなよ。

いかにも、あたしゃ、男に身を売って生きて来た女さ。

友吉だって、いまとなっちゃこういう身内が迷惑なんだ。

おまえらの前に顔を出さなきゃいいんだろ。安心しな。」

と啖呵を切る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


三十四の女が、たった一人残されちゃったねと思った・・・

人っ子一人見えないさびしげな道に、ぽつんと立っている自分の姿が見えた。

その姿はこっちに背をむけて、方途に迷っているようでもある・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


愚痴を言ってもどうにかなるわけでもなく、

現実を受け入れ、なだめすかしてやっとここまで生きて来たなみにとって

生き甲斐を失った喪失感の大きさをどのように折り合いをつけたら良いのか。

弟が姉に対して、これまでの苦労をねぎらう言葉や態度であるなら・・・

と読みながら何度も思いました。

物語として読むのではなく、現実としてもこのような報われない思いや

状況はあるだろうなぁ・・・と思いながら・・・



しかし、この物語は、ここで終わらない。

なみが弟友吉と娘が挨拶に来るとの事でお酒やおかずを買っているときに、

今年初めてのつばめを見て、「何かいい事がある」と思っていたことが、

実は弟の事ではなかった・・・

自分の幸せを考えずに生きて来たなみにも、

本当の意味での幸せがやって来ることになるのです・・・





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生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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