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小杉 健治 「はぐれ文吾人情事件帖」


はぐれ文吾人情事件帖 (宝島社文庫 「この時代小説がすごい!」シリーズ)はぐれ文吾人情事件帖 (宝島社文庫 「この時代小説がすごい!」シリーズ)
(2014/03/06)
小杉 健治

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普段は小間物の行商をしている文吾は、

女と火遊びをした商家の旦那を脅して小判をせしめるなど、

危ない裏の仕事屋が本当の姿。

しかし情に厚い文吾は、江戸庶民の生活を脅かす悪の存在を知るや、

悪と対峙し、事件解決に汗を流します。


浅草八軒町の「どぶいた長屋」の文吾は二十四歳。

細身で背が高く、細面の好男子だが、

どこか軽薄な感じを漂わせている。

小間物商のかたわら、大店の旦那の女遊びをネタに小判を稼ぐなど、

裏では危ない闇仕事もこなす「ちょいワル」。

それでも、人情には篤い文吾が出会ったなにやらいわくありげな夜鷹とは…。

書き下ろし時代小説の人気作家の手による下町人情事件帖シリーズ第1弾!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ちょっと差し出がましい口をきかせてもらいますが」
たまりかねて、文吾は口を開いた。

「おさんさんはお里ちゃんを自分が腹を痛めてた子のように慈しみ、
可愛がっておいででした。
失礼ですが、内儀さんは二度、お里ちゃんを捨てているんですぜ」

「何を言うのですか」
お紋が抗議をするように膝を進めた。

「私がどんな思いでお里と別れてきたか、あなたには・・・」

「違うでしょう」
文吾はお紋の言葉を遮った。

「最初は磯吉さんから逃げた。
そのとき、どうしてお里ちゃんを連れていかなかったんですかえ」

「お里と一緒では働きに出られないからです。
だから、泣く泣く・・・」

「じゃあ、弥勒寺橋では、どうしてお里ちゃんを
引き取ろうとしなかったのですか」

「それは、私のことを気づかって」
花扇堂が口をはさんだ。

「いや、違いますね。
内儀さんは、せっかく掴みかけた花扇堂さんの
内儀の座を失いたくなかったんですよ。
内儀さんは二度とも、お里ちゃんより自分の幸せのほうを選んだ。
そうなんじゃないですか」
お紋が俯いた。

「もし、お里ちゃんが大切だと思うなら、
花扇堂さんにすべてを話すべきだった。
それが出来なかったのは、
自分のほうが可愛かったからです」
反論しようと顔を上げたお紋を制して、文吾は続けた。

「かどわかされてはじめて気がついたと仰いましたが、
その程度のことで、
お里ちゃんを可愛がっていけるんですかえ。
いっときの感情が去ってしまえば、
またお里ちゃんが邪魔になる。
それに、仮に、花扇堂さんの商売が傾いたら、
内儀さんは自分だけの幸せのために、
またお里ちゃんを置き去りにして
勝手な真似をしてしまうんじゃないんですかえ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

昔、商売をしていたお店に押し込み強盗が入り、

金銭だけではなく、凌辱された「おさん」。

財産も無くし、妻の辱めにも苦しんだ夫は自害する。

その憎い相手には太ももに大きな痣があった。

「おさん」は復讐をはたすために自ら夜鷹に身を落とす。

憎い男が見つかるが、すでに余命幾ばくもなく床に臥せており、

逃げた女房の行方を言い置いて息を引き取る。

残された幼い「お里」を母親「お紋」に託すべく弥勒寺橋で会うが、

「お紋」は引き取れないと踵を返してしまう。

幼い「お里」を文吾の助けにより、

人生のやり直しのために育てる「おさん」。

おさんと文吾の惹かれあいながらも一線を越えることなく、

想い合いながら物語が進んで行きます。

文吾とおさん、そしてお里とのふれあいを

いろいろな事件を絡ませながら描かれていて面白かったです。

第二弾も読みます!




いつもありがとうございます
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Author:cn7145
生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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