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宇江佐 真理 「夕映え」


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(2014/03/25)
宇江佐 真理

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夕映え 下 (角川文庫)夕映え 下 (角川文庫)
(2014/04/08)
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常連客で賑わう江戸は本所の縄暖簾「福助」。

おあきと弘蔵夫婦、見世の切り守りを手伝う娘のおてい。

平凡だが幸せな暮らしを営む一家の心配の種は、

風来坊の息子・良助のこと。

奉公先を飛び出し彰義隊に志願したと風の噂で知り、

家族は気が気ではない・・・。

江戸から明治へと、大きな時代の波に翻弄される市井の

人々の暮らしと、いつの世も変わらない親心。

激動の時代を庶民の視点からダイナミイクに描きだす傑作時代長編!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


官軍と幕府軍の対立は激化の一途をたどるばかり。

彰義隊に身を投じた良助は、上野の山の戦に加わると言い、

おあきと弘蔵のもとへ最後の挨拶にやってきた。

お願いだから、生きていて・・・

ただひたすらな親の祈りは届くのか。

江戸から明治へと大きくうねる時代の波は、

人々の人生を容赦なく呑み込んでしまう。

移りゆく世相を克明に活写しながら、

日々を懸命に守ろうとする市井の者たちの

生きざま人情を謳いあげる感動長編!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「やい!何んだ手前ェ達は。
さんざっぱら大筒で人を殺しておいて、
まだ足りないのか。
確かに、この家の倅は彰義隊に入っていたさ。
そいつは誰が勧めた訳じゃない。
上様のためだと思って倅が勝手にやったことだ。
止められるもんかね。
戦が始まって、おかみさんは夜も寝られないほど心配していたんだ。
線香の匂いがするだろ?
今日だって朝から無事を祈ってご先祖様に拝んでいたんだよ。
生きているのか死んでいるのかわかりゃしない。
てて親はずっと倅を捜して上野のお山を駆けずり回っている。
え?そんな親の気持ちが手前ェ達にはわからないのか。
手前ェ達にも親はいるだろう。
言わせて貰えば、うちの倅だって薩摩っぽに雇われた浪人に
殺されたんだ。
誰にも文句のつけようがなかったよ。
泣き寝入りだ。
これ以上、手前ェ達の勝手は許さないよ。
家の中を改めるだ?
もしもいなかったら、どう落とし前をつけるんだ」
おすさは凄い形相でまくし立てた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「こいつは江戸の夕映えなんだな。
薩長が関ヶ原の仇を討つかのようにご広義を倒し、
それから幾つも戦があって、
とうとう江戸の時代は踏ん張り切れずに幕引きしちまった。
見ねェ、おあき。
きれえなもんじゃねェか。
いいこともたくさんあったから、
忘れねェでおくんなさいと、
最後の最後に渾身の光を放っているのよ。
おれはそんな気がするな。
こんな夕映えは東京にいたら滅多に見られねェよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いつの時代も生きて行くのは切ねェものよ。
だから人は、昔はよかったと愚痴をこぼすのよ。
昔だって、必ずしもいいことばかりがあった訳じゃねェのによ。
過ぎたことは、皆、よく思えるんだろう」

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いつもありがとうございます
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生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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