谷崎潤一郎・吉行淳乃介ほか 「猫は神さまの贈り物」〈エッセイ編〉

16人の猫好き作家さん達によるエッセイ集。
中でも夏目漱石「猫の墓」が良かったです。
旧仮名遣いでの文章を読むのが久しぶりでした。
飼い猫が日に日に痩せ衰え、
そして死んで行くまでの様子が
淡々と綿密に描かれています。
日がな縁側に寝ているその猫の姿を
「ものうさの度をある所迄通り越して、
動かなければ淋しいが、
動くとなほ淋しいので、
我慢して、じっと辛抱してゐる様に見えた。」
と描いています。
また亡くなる前日の夜には
子供の夜具の裾でうなり声をあげていた様子や、
翌日、外の物置の片隅でひっそり亡くなった様子・・・
庭に埋めて、墓標には「猫の墓」と書き、
ガラス瓶に萩の花を沢山挿し、
茶碗に水を汲んで墓に置いたり・・・
四つになる娘さんの墓の前でのしぐさなど・・・
読後しみじみ心に残る作品でした・・・
いつもありがとうございます

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