佐藤 厚志 「象の皮膚」

第三十四回三島由紀夫賞候補作品。
仙台の現役書店員作家さん。
第49回新潮新人賞受賞者。
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五十嵐凜、非正規書店員6年目。
アトピーの痒みにも変な客にも負けず、
今日も私は心を自動販売機にして働く。
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小さい頃から全身の重度のアトピーで
好奇の目やいじめにあって来た女性の物語。
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爽やかな流れとはいきませんでしたが、
現実を受け入れ社会に溶け込み、
自分のやれる事を精いっぱいやっている姿を
描いています。
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仲の良い友人との推し活の趣味への
行動の場面は、
今までの流れの中で唯一「凛」本来の
歳相応の活発で可愛いと思えるシーンでした。
所々クスっとした程(笑)
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仙台駅前の一番賑やかな場所の書店での仕事。
お客様と言いたくない迷惑な輩や
クレーマー・粘着者などへの対応に奮闘する凛。
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それにしても小さい時からの全身のアトピーの
凄まじい葛藤に臨場感があり、
また、家族自体も凛を煙たがるのが
切ないや不憫を通り越して怒りすら感じました。
現実って案外こんな事が多々あるのかも・・・
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凛はこれからも自分の皮膚と折り合いをつけながら
生きていかなければなりません。
最後に凛は自分を全てさらけ出して
真夜中の公園を歩きます。
「私」の全てを世間に知って欲しい。
受け入れて欲しい。
そんな願いを表現しているようでした・・・
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決して負の感情と流れだけではない
希望も強さも描いている作品でした。
いつもありがとうございます

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