有島武郎 「一房の葡萄」

クラスメイトの持っている美しい西洋絵の具が羨ま しくて衝動的に盗んでしまい、
良心の呵責に苛まれ る内気な少年と、
若い女性教師の包容力に溢れる姿 を描いた表題作 「一房の葡萄」。
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① 一房の葡萄
② 溺れかけた兄妹
③ 碁石を呑んだ八っちゃん
④ 僕の帽子のお話
⑤ 火事とポチ
⑥ 小さき者へ
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① 一房の葡萄は、女性教師の肌の白さと紫の葡萄の色の対比の美しい描写が印象的でした。
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動物系のお話はやっぱり気になります。
⑤ 火事とポチは、悲しいお話。
自宅が火事になった時に一晩中鳴き通したポチのお陰で家族皆んな助かります。
しかしポチ自身は全身火傷を負い、倒れた物置の下敷きになって瀕死・・・
看病の甲斐なく翌日朝には死んでしまうというお話。
小さい兄弟三人がポチを探し回る描写とポチの最後の姿に泣けました。
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有島武郎さんご自身は、奥さんを亡くして5歳を筆頭に三人の子供さんを男手一つで育てたのだそうですね。
現代と違い大変なご苦労があった事と思います。
そんな有島武郎さんですが、なんと45歳で人妻と不倫し心中したんですねぇ・・・
お相手は『婦人公論』記者で人妻であった波多野秋子さん。
波乱の短い一生の有島武郎ですね・・・
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ハルキ文庫さんの今回の文庫本の紙質が厚手でしっかりしています。
カバーの髪質も滑らかで厚みがあり美しい製本と思いました。
11年前の本で、お値段が267円+税とお安い。
印刷製本は「図書印刷株式会社」さん。
いつもありがとうございます

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