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藤井 邦夫 「迷い猫―知らぬが半兵衛手控帖⑫」


迷い猫ー知らぬが半兵衛手控帖(12) (双葉文庫)迷い猫ー知らぬが半兵衛手控帖(12) (双葉文庫)
(2010/05/13)
藤井 邦夫

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4話収録。

1.裏の裏

  大名旗本だけを狙う盗賊「天狗の仙蔵」。
  盗賊に忍び込まれ家宝を盗まれる事は武家の恥。
  五年前忍び込まれ家宝を盗まれた松岡家では、
  宿直の御家来衆を追放した・・・
  またそれを諌めた御家来の乾も暇をだされた・・・

  「新吾、おそらく乾は仙蔵を恨んでいた。
  そしてこれ以上、自分のような浪人をださない為に、
  仙蔵を斬った。違うかな」

  「お父上は武士としての矜持を守り、
  無念を晴らしたのです。」
  新吾はおかよを励ました。

  「武士としての矜持や無念を晴らすより、
  私は父に生きていて欲しかった」
  おかよは涙を零し続けた。
  新吾に慰める言葉はなかった。
 


2.迷い猫

  患者に毒を盛ったとして捕えられた御家人あがりの
  医者である囚人田中玄庵。
  ある日親しくしていた牢屋同心の堀田が殺された・・・

  「おなつ、子供の頃から好きだったのかい」
  半兵衛は微笑んだ。
  「貧乏御家人の三男坊、狭い家に居場所はなく、
  私は隣のおなつの家に入り浸っていました。」
  「おなつの婿養子になる話はなかったのかい」
  「ありました。ですが、島谷のおじさんが急に
  病で亡くなり、立ち消えになりました。」
  おなつの父親さえ生きていれば
  玄庵とおなつの運命は変わった。
  おなつは玄庵を裏切り、利用しただけだ。
  玄庵に悔しさは窺えず、哀しさだけが溢れていた。
  

   
3.半端者

  半端な博打打ちで強請りたかりを働く小悪党に過ぎない捨吉が、
  口入屋「吉野屋」の吉五郎を殺し、金を奪って逃げた・・・
  半次と鶴次郎は戸惑い、驚かずにはいられなかった。

  「捨吉。口入屋吉野屋の吉五郎を殺した咎でお縄を受けて貰うぜ」
  「うるせえ。悪いのは吉五郎だ。
  吉五郎たちがおしんとお師匠さまを騙したからだ。」

  「鶴次郎、世の中には私たちが知らん顔した方がいい事もある。
  そうしなければ、二十両の為に吉五郎を殺め、
  死んでいった捨吉、いや松吉が浮かばれないよ」

  「捨吉は子供の頃、妹のおみよと父親に捨てられた。
  それ以来、松吉って本名を使わず、捨吉と名乗ったそうだ」
  「哀れな話ですね・・・」
  半次は吐息を漏らした。


4.三行半

  鶴次郎の死んだ兄の元女房が、今の亭主伊佐吉を刺した・・・
  伊佐吉は、なにかというと女房おすみに殴る蹴るの
  暴力をふるっていた・・・
  伊佐吉が死んでしまえば女房おすみが罪になる。
  鶴次郎・半次は必死に伊佐吉を看病し命を助けようとする。
  一方おすみは、二年前に養子にだした文吉を一目見てから
  死のうと覚悟していた・・・

  
  「伊佐吉が助かれば、お前さんは亭主殺しじゃない。
  そして、お前さんが刺したのは、伊佐吉の乱暴から
  我が身を護ろうとした挙句に起きた事。
  そいつを伊佐吉は認めれば、お前さんは咎人じゃあないし、
  一件は事件にしないで済むんだよ」

  「義姉さん、伊佐吉は必ず命を取りとめる。
  だから、身投げをして死のうとなんか考えないでくれ。
  文吉もいつかは大人になり、自分が養子だと知り、
  実の親を探すかもしれない。
  その時、実の母親が罪人として死んだと知ったら哀しむだけだ。
  だから、死ぬな。
  文吉の為にも頼むから死なないでくれ」
  鶴次郎は必死に訴えた。

  おすみの頬に一筋の涙が伝った・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・

この時代は、離婚する時って、

旦那から女房へ「三行半」という離縁状を出さないと離婚に

ならなかったそうです。

女房が一方的に離婚したいと言っても認められなかったと。

女房は、逃げるか耐えるかだったのですねぇ。

「2.迷い猫」の中に出て来た猫ちゃんは、飾り紐をつけられた猫で、

半兵衛の家に入ってきたのがきっかけで事件解決へと続きます。

「3.半端者」では、ま~た半次が脇腹を刺されちゃいます。

何回半次を傷ものにするんでしょうねぇ。

読むこっち側の身にもなってもらいたいもんですよ。

まさか半次が殉職する設定にしないでしょうねぇ。

と思いながら読んでいます(^^)

「4.三行半」は、鶴次郎の義姉と言っても、

亡くなった兄の元女房ですから、付き合いはないに等しいのに、

おすみが今の亭主を刺して逃げた事を誰よりも早く情報を得、

半兵衛に探索依頼をお願いします。

のちに半次は、鶴次郎は、義姉に惚れていたのではないかと、

半兵衛に言います。

今も時々おすみの様子を気にかけていたからこそ、

今回の事がおおごとにならずに事件解決できたと推測しますが、

本人に確かめるような野暮なことはしないわけです(^^)



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生れも育ちも仙台。外見も性格もとても地味。物があふれているのが苦手。食べ物の好き嫌いほぼ無し。本と猫好き。好きな言葉「喫茶喫飯」。

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